白隠禅師の不思議な世界 (ウェッジ選書 33 地球学シリーズ)

著者 :
  • ウェッジ
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863100268

作品紹介・あらすじ

江戸中期の禅僧、白隠。現代のZENはこの人から始まった。白隠禅画から読み解く、禅の深奥。

感想・レビュー・書評

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  • 禅画のトリックがわかる面白い本だが、禅そのものが分かるというわけではない。あまり科学と無理やり結びつけない方が良いのではないか。

  • 学者さんの禅文化対談、絵画を題材にして精神文化を話し合うところが斬新で良い

  • 上求菩提、下化衆生とは上に向かって悟りの道を求め、下に向かっては生きとし生ける一切の人たちを救っていくということ。
    心を求めたけれども、手に入りませんでした。
    そもそも意識で無意識をとらえようということ自体矛盾している。
    宗教というのは最終的には個人的な問題です。

  • 江戸時代の中期に活躍した禅僧で、白隠(はくいん)という方がいます。禅宗の間では、“500年に一人出るか出ないか”と呼ばれるほどの偉人です。達磨などの絵が有名で、禅僧としても超有名なので、すでにご存知の方も多いかと思います。

     白隠は静岡県沼津出身で、15歳のときに、生家に近い松蔭寺で出家いしています。そして19歳のときから諸国へ旅をし、様々な修行や体験を経て、再び33歳で松蔭寺に戻り、そこのご住職になられました。その名声は日増しに高まり、東海道の宿場町にあることから、諸国から多くの人が話を聞きにやってきたといわれており、

    「駿河には過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠」

    とうたわれたそうです。

     白隠は賛を入れた禅画を描くことでも有名で、特に迫力がありながらも、どこかユーモラスのある達磨の絵を思い出される方も多いかと思います。その絵の魅力は、一度見ると忘れらない余韻が残るのですが、どのような意味を込めていたのでしょうか。
     白隠は42歳で大悟したそうですが、そのときに「四弘請願門(しぐせいがんもん)」と呼ばれる4つの誓いを実践することこそが菩提心だと悟り、それ以降はその実践に励んだそうです。その実践の一つの形が禅画であったようです。

     この本からの抜粋ですが、白隠が実践した「四弘請願門」の内容は、
    「無限にいる生きとし生けるものすべてを救います。
     無限にある煩悩をすべて断ちます。
     無限にある教えをすべて学びます。
     そしてこの上ない教えである仏法を実現します。」
    ということです。

     四つあるうちのどの一つにおいても、実現不可能と思ってしまう私は、すでにその資格はありませんが、その四つとも全てを実現しようとし、そしてそれを実践した白隠は、まさにスーパースターです。

     どんな人柄だったのか、どんな声で、どんな話をしたのか、想像するとドキドキしてきます。東海道を行き交う人にとって、この沼津の原宿と呼ばれた宿場町を訪れることは、旅の途中の一服の清涼剤であったのでしょう。

     本の内容は、白隠禅師の生まれや育ち、そして禅画の解説はもちろんのこと、後半には現代の脳科学や、科学的な視点から見た共通点を語る座談会があります。現在解明されている脳科学の考え方と、白隠の世界観の接点がとても興味深く読むことが出来ます。

  • 白隠さんがおもしろそうなことはわかったけど、著者の熱をもっと感じたかった。

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著者プロフィール

1945年生まれ。同志社大学卒業。財団法人禅文化研究所主幹を経て、2014年度まで花園大学国際禅学研究所教授。現在、同研究所顧問。専攻は禅学、日本文化史。
(主要著書)
『諸録俗語解』(編注、禅文化研究所、1999)、『江湖風月集訳注』(禅文化研究所、2003)、『白隠禅師法語全集』全14巻+別冊(禅文化研究所、1999~2003)、『白隠―禅画の世界』(中公新書、2005、角川ソフィア文庫、2016)、『白隠禅画墨蹟』全3巻(二玄社、2009)、江月宗玩『欠伸稿訳注』乾・坤(思文閣出版、2009~2010)、悟渓宗頓『虎穴録訳注』(思文閣出版、2009)、『「瓢鮎図」の謎―国宝再読ひょうたんなまずをめぐって』(ウェッジ、2012)、別冊太陽『白隠』(監修、平凡社、2012)、別冊太陽『一休』(監修、平凡社、2015)、白隠和尚『荊叢毒蘂』乾・坤(訳注、禅文化研究所、2015)、『新編白隠禅師年譜』(禅文化研究所、2016)、東陽英朝『少林無孔笛訳注』3巻(思文閣出版、2017~2020)。

「2023年 『一休宗純『狂雲集』再考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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