- Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863102125
作品紹介・あらすじ
台北市内に残る日本統治時代の建築物を豊富な写真とともに紹介。歴史、文化、地理などの要素を盛り込み、日本人と台湾人がともに暮らした半世紀とは何だったのかを、振り返ります。
内容は、著者が15年ほどかけて取材・調査してきたもので、中には政府関係機関の計らいを受けたり、居住者と交渉の上、特別撮影させてもらったりしたカットも多く、また、引揚者や台湾の古老から提供を受けた貴重な古写真もあり、永久保存版の一冊です。
【本書の主な特徴】
◆台北市に残る日本統治時代の建築物の多くを美しい写真と見どころを押さえた簡潔な文章で紹介!
◆現地在住作家だからこそ取材できた、関係者のエピソードや建築図面も掲載!
◆竣工年月日、様式、歴史、データを押さえた資料性の高い一冊!
◆建築ごとに、著者がぜひ見てほしいと思うポイントを紹介!
感想・レビュー・書評
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台湾の台北市にある日本統治下時代に建てられた建築を紹介する。
紹介されている建築は約200例。行政機関や学校建築が多いが、商店建築や旅館、木造住宅もあり、バラエティに富んでいる。
横浜や神戸のレトロ建築と比べて当時の建築が随分残されている、と感じたが、それもそのはず、日本は明治中頃から終戦までの50年間台湾を統治下におき、一から台北の都市開発を行ったのだ。その事実を知らないで「昔の日本みたいで懐かしい感じ」なんて思ってしまった自分が恥ずかしい。
日本が撤収し、中国国民党が台湾に入ってきた際、日本色を消し去るように、多くの建物が取り壊され、塗り替えられ、形が変えられた。しかし、国民党政府による言論統制の時代が終わり、民主化が進められるようになった近年の台湾では、日本統治下時代を客観的に見直そうという動きがあり、残された建物を史跡に指定したり、ギャラリーやカフェ、若者の発信の場として積極的に再活用する動きが活発なのだそうだ。
日本の木造家屋に親しみやすさを感じる台湾人が多いそうだが、公共建築については質の良いものが多かったことも一因ではないかと思う。
その是非はともかくとして、残された建築からは、当時の日本の台湾統治に対する並々ならぬ熱意を感じる。
本書をまとめるにあたり、著者はさまざまな資料を調べ、多くの関係者から聴き取りを行っている。そのため、本書を読むと、建築の歴史的価値や意匠、といったことだけではなく、建物を利用し、その地で生活していた当時の日本人、台湾人の存在が浮き彫りになってくる。
学校建築の頁では、日本人と本島人が明確に差別されていた事実も記され、ノスタルジックな感情だけでは済まされない歴史の重みを感じる。
本書を読むと、台湾に行きたくなる。歴史を勉強したうえでいつか必ず訪れたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
国内では減る一方の和風モダン建築が台湾には数多く保存されています。修復されているものやコンセプトを活かしてリフォームしたものもあります。その受け入れる心ばえには感謝しかありません。旧台北大やハーフティンバーが美しいいくつかの建築は訪ねたくなります。
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図書館で借りた後、あまりに気に入ったので、旅行前にKindle本を購入。
日本統治時代の美しい歴史建造物を、綺麗な写真で眺めることができ、普通の旅行本には載っていない場所を巡る旅をすることができました。 -
台湾の近代建築を紹介した本。これだけまとまった量が載っているのは珍しい。
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台北市内に残っている、主に日本統治時代の建築など、古い建造物を多数の写真で紹介した一冊だ。
こんなにも往時の建物が残っているのか、と驚かされる。台湾では古い建物を楽しむブームがきているらしいけれど、カフェやショップにリノベーションされていたり、博物館になっていたり、保存するだけでなく活用されているというのもすごい。 -
見応えありました。
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日本統治期の白黒写真を除きカラー写真が豊富で、取り上げている建築も多く、豪華な本だ。やはり写真があると一目瞭然。どの頁からめくっても楽しい。有名な大型公共建築だけでなく個人宅や小規模商店もあり、生活感もある。日本人による建築に加え台湾人富裕層の邸宅も少しある。日本家屋に亭仔脚(騎楼やショップハウスと同じものだろうか)が付属していたり、西洋建築に日本式の黒瓦が載っていたりと、異文化の折衷もあるのを知った。
また、近年はこのような建築を保存対象とし、中には公共空間やカフェなどとして再利用する例が多いという。
惜しいのは、個別の建築自体の本だからか、台北及びその中の各地区の街としての成り立ちや雰囲気の紹介が物足りないこと。