一〇〇年前の世界一周

制作 : ナショナル ジオグラフィック 
  • 日経ナショナルジオグラフィック社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863130852

感想・レビュー・書評

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  • 2009年発表。

    1905年、ひとりのドイツ人青年が
    世界周遊の旅(グランドツアー)に出た。

    彼はアメリカ、日本、朝鮮、中国、インドネシア、インド、スリランカなどを
    船で1年半かけて旅をし、
    特に日露戦争直後に滞在することになった
    日本の文化に魅了され、
    多くの貴重な着色写真を残した。


    江戸の名残まだ濃い
    明治初期の日本が鮮やかによみがえる写真を含む、
    117点を収録した
    歴史的価値ある写真集。



    第一次世界大戦で
    すっかり変わってしまう前の日本が、
    なんとカラー写真で収録されてるということに
    飛びつきました(^O^)

    今までは教科書の白黒の写真や浮世絵でしか見たことのない、
    昔の日本の姿に
    ページをめくる手が震えたし、

    愛国心など
    今まで意識したことのない自分にもかかわらず、
    この国を作り
    命を繋いできた先祖の姿に
    熱いものがこみ上げてきました(>_<)


    着色の技術は高く、写真であって写真でないような
    なんとも不思議な味わい。

    特に浮世絵そのままの富士山や
    当時の美しい日本の姿には
    本当に感動したし驚きでした。


    それと日本と同時期に
    他の国はどういう状況だったのかも、
    写真で比較して分かる点も
    かなり興味深かったです。
    (100年前のニューヨークに、もうすでにビルが建ち並んでたのにはびっくり!)


    しかし、いつも思うけど、
    昔の人たちは
    ホントいい顔してる。

    年をとるということは
    崩れるということで、
    人間的な深みがシワに表れるし、
    褪せた肌の色だって
    生きてきた証。

    それに比べて今の自分たちは、
    洗練されることを求めるあまり、
    人間的な部分、
    人間臭い部分を
    ふるい落としてきたのかもしれないな。


    時代時代で人が求めるものは違うかもしれないけど、
    命は旅をしている。

    自分たちの体は、
    たまたま命が宿をとった
    借り暮らしの場所でしかなくて、

    100年前の
    日本人たちの意志や思いは、
    今を生きる誰もの胸に
    ちゃんと息づいているんですよね。


    自分一人では
    自分のことは何ひとつ分からない。

    自分の欲望を知るには、
    人と出会う旅に出なくちゃ。

    もっともっと貪欲に
    知らないことを
    知っていかなくちゃ。

    この写真集を見て、
    改めて
    自分の目で
    世界を見てみたいって思いました(^_^)

  • 100年前の冒険記。主人公の破天荒振りが好き。

    シンガポールの100年前には驚くけど、ガンジス川は100年前とあまり変わっていない。色んな時代があるけど、近代化したこの100年は他と比べ物ニラならないほどいい意味でも悪い意味でも進化を遂げたのだなぁと考えさせられる。

  • カーンコレクションの図録とともに手に取った一冊。同時期の一独青年の世界一周の記録。流石に写真はカーンコレクションに比べると素人らしい記念写真的な印象を受ける。始めの米大陸では少し気弱な感じがする青年ワルデマールが、アジアに来てインドに到達するあたりではとてもしっかりしてきて世界情勢や欧州のアジアに対する態度への批判的な見方なども見られる。一青年の成長の記録とも取れる。日本を気に入ってくれたことも嬉しい。しかし旅行後彼とその一族の世界は一変する。独は第一次世界大戦で敗北し、ワイマール共和国となり、ナチスが台頭すると批判的だったワイマールは役人の職を失う。彼が再就職した化学薬品会社はチクロンBの製造に関わっていた。後年スイスに移住し独国籍を放棄してスイス国籍を選択したのはそういった背景もあるからだろう。この本が初めに出版されたのがカーンの母国であるフランスであること、ユダヤ人であるカーンがナチスによるユダヤ人が草津を知ることなく亡くなったように、ワルデマールガベルリンの分断の前に亡くなったことに偶然を感じてしまった。

  • 私が世界一周をした丁度100年前の世界一周旅行記。出国した動機や期間などが私と一致していたので内容にのめりこめた。唯一違う点は、外国から地元を客観的に捉えた時の所感がワルデマールと違い私は、つまらないくないポジティブなものだった。私もワイデマールのように数十年後に同じように旅でて、今はない現地の風景を見に行きたい。

  • 世界が繋がっていることを改めて実感させてくれる。世界的に均質化が進んでいる現代よりも100年前の方がより世界が異なりながらも繋がっていることを実感できるように思う。

  • 「100年前の世界一周」タイトルにひかれますよね。
    文章も多いですが、各国の写真がとにかく素敵です。
    こんな旅がしたい!と思う人も多いのではないでしょうか。もちろん私も、その一人です。
    この本を読んで、今はなき風景を旅した気分を味わいます。

  • Prussia人のWaldemar Abeggが青年時代に見た世界の様子を写真で垣間見れます。
    彼は公務員として真面目に働いていましたが、休暇で世界を周りました。

    日本には興味がないのでこの国以外の写真を眺めました。
    中でも印象的だったのが朝鮮の様子です。母国なので惹かれました。
    日本に侵略されて生気を失った町や国民。
    Waldemar氏が時間が止まったかの様だと感じた事も頷けます。
    そう思うと昨今の発展ぶりに凄いと感じます。この100年でSeoulの雰囲気がガラっと変わったのですから。

    USも日本同様興味がないのですが、写真を見る限り子の頃のUSは「自由の国」と欧州人が捉える程希望に満ち満ちていると感じました。

    100年前の様子を知り得ない私達に取っては良書となります。
    読んで損はしない1冊です。

  • 文は基本的に読んでいない。当時の様子を覗いしれる写真らがとても印象深い。パノラマは特に壮観。

    ドイツの公務員の青年、当時32歳の旅の回想録。20世紀初頭。

  • 20世紀初頭、世界が戦争という悲劇を迎える前の束の間の平和な時代にあるドイツ人青年が世界一周をした。

    日本に関するくだりや写真は、驚きと感動にあふれている。

    さまざまな人たちに出合い、さまざまな考え方、価値観、生き方に出合い、それまでそれが当たり前のようであった西欧中心主義の考え方を彼自身が改めていく。

    旅というのは、気楽なようでいて、やっぱり大変ででも楽しくて、でもそんな中で自分というものをとてつもなく、変えてしまうこともあるものだなと思った。

    私もいつか、世界一周をしたい。

  • 若きドイツ人青年が見て感じた100年前の世界。
    自分が過ごしてきた国の文化の中に閉じこもることなく(=排他的になることなく)、
    開かれた素直な目でさまざまな国の人々や文化を見つめているところに、とても好感がもてます。
    「欧米が進歩していて、アジア諸国は遅れている」という認識が主流であったと思われる当時にあって、興味本位で異文化をおもしろがるのではなく、その土地その土地に暮らす人々の精神文化にまで思いを致すことができたワルデマール。

    そんなワルデマールの写真と文章は、「古き良き日本」の人たちの善良さや礼儀正しさなどを敬意をもって表現していて、なんだか現代に生きるわたしまで、うれしくなってしまいます。

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