フェルメール 光の王国 (翼の王国books)

著者 :
  • 木楽舎
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感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240407

感想・レビュー・書評

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  • マウリッツハイス展、ベルリン展と行き、絶賛フェルメールブーム。しょせんミーハー。

    なんか売れてる生物学者、っていうイメージのあった作者さん。マニアック過ぎず、適度に絵の背景とか国の様子とかの解説されてて読みやすかった。

  • 福岡先生のフェルメールを巡る旅行記。歴史が一番ミステリアスであることを教えてくれる。フェルメール展行きたい。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、2階開架 請求記号:723.359//F82

  • ANAの機内誌の連載を単行本化したもの。
    現存するフェルメールの作品を追って、アメリカやヨーロッパ各地を旅しながら、彼の絵画や暮らし、人物に思いを馳せる紀行文となっている。

    福岡氏の持論というか想像というか(たとえばレーウェンフックとフェルメールは友人同士だったのでは、とか)も展開されつつ、各地のキュレーターたちの作品にまつわる話も興味深く、実際に絵を見に行ってみたくなる。

    作品を実際に収蔵している美術館全てに足を運ぶなんて、なんて贅沢な旅…。
    著者と同じく、フェルメール全点を鑑賞した朽木ゆり子氏との対談本が出るらしい。

  •  横浜ランドマークタワーのNHK文化センターでの講演会を聴きに行った妻から聞いた著者のことば「オタクはコンプリートしたくなる」

     フェルメール好きが高じて全作品を見たくなった著者は世界中を飛び回る。
    オランダに始まり、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスの諸都市でフェルメールを観賞しながら、その都市の紀行や風土、辿った歴史や、ゆかりの偉人などの随想をまとめた一冊。
     デルフトではエッシャー、ワシントンでは野口英世、パリではエヴァリスト・ガロア、アイルランドではライアル・ワトソンと全く接点のないような人たちとフェルメールがつながっていく。その想像の飛躍が面白い。随想というのはこういう文章のことを言うのだと思う。
     写真もきれいだし、文章もわかりやすく味わい深い。生物学者にしておくのはもったいないくらい。というか生物学者に名エッセイストが多いのは何故だ?

     最後の章ではフェルメールの友人で顕微鏡の発明者・レーウェンフックのスケッチブックにある絵がフェルメール作かもしれない、との仮説を紹介している。近い将来それが証明される日が来るかもと期待も湧く。
     
     銀座のフェルメールセンターに行くと、オタクの著者が監修した全作品のリ・クリエイト作品(簡単に言うと高品質の複製)が観賞できるので、一度出かけてみるのもいい。撮影OKなので『真珠の耳飾りの少女』とツーショット写真も撮れる。

  • 生物学者が絵画や画家について書くとどんななんだろうと興味津々。絵画として微分法を発見、科学と芸術は不可分、なるほど!でした。光と影、これもポイント!

  •  「動的平衡」の福岡伸一による、ANA機内誌「翼の王国」連載の単行本化。オランダから始まり、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、オーストリアと、フェルメールの作品を所蔵する世界各地の美術館を訪ね歩きながら、フェルメールの作品、画家自身、或いは美術館に関係する歴史や人物について述べる芸術紀行エッセイ。

     現存するフェルメールの作品をほぼ網羅する形で進むエッセイは、作品から読み取れる彼の画家としての変遷や当時の時代環境を、豊富な写真と共に紹介していくものであり、数多くのフェルメール作品が、数多く来日する今年、格好のガイドブックにもなる。

     又、フェルメール自身とその作品に端を発して、訪問先の国や地域、或いは美術館に関すること以外に、生物学者である著者らしい視点で、普段フェルメールとは関連付けられることのない歴史上の人物にも様々なリンクが貼られていく。例えばそれは、スピノザ、レーウェンフック、エッシャー、野口英世、ガロアという如く。
     著者が提示する、この時空を超えたリンクを繋ぐキーワードとなるのは、「動的な」世界にあって、「光のつぶだち」を描写し、「奇跡の微分」によって「時間を封じ込め」ることに成功したフェルメール自身と作品である。

     異なる時代に、異なる分野で偉業を成し遂げた人物たちを、フェルメールの作品を足がかりに結びつけていく知的冒険が楽しい。 

  • 購入 ANAの機内報で連載していたものをまとめた本。作者は生物学者でその独特の観点から本が綴られている。若干くどい面や切り口が独特すぎる点があるけど、それが後半に行くほどマッチしてきてようやく丁度よくなる……はず。
    ……機内で読んでた時はあんなに面白かったのに、一冊にまとめられると文章が頭に入ってこないのはなぜだろう……。ちょっと押しつけがましいのかな?若干悦に入ってる文章が、長文だときついっす。
    落ち着いた空間で図録を片手に、何日かに分け読むのがおススメ。

    ここからちょっと余談。
    フェルメールってどの程度知名度があるのだろう。
    真珠の耳飾りの少女は有名だが、フェルメールという名前を知っている人はどの程度いるんだろう。この本は3万冊、半年未満で4版出ている。
    本は重たく、2200と決して安くもなく、一般の本屋にもあまり置いていないこの本。フェルメール好きは熱狂的な人が多いと聞いてはいたが、なるほどと目に見えた瞬間でした。

    ちなみに、余談の余談。私は熱狂的ファンではないけど携帯の待ち受けにしている程度にはフェルメールが好きデス。
    でもなんで、フェルメールが好きなのか?と言われたら少し困る。
    自分はあまり美的感覚や感受性が鋭い方ではないから、絵で感動したり本物を見たいという衝動は少ない。図録や解説書だけでだいたい満足してしまう。
    そんな私でもフェルメールだけはできるだけ本物を見たいと思っている。たとえば真珠の耳飾りの少女、これを画像検索するとたくさん出てくるけどそのどれも同じ色をしていない。青が、全く違う。こんなに違うのかとびっくりするほど、違う。(保存の問題でもあるらしいが……)
    本物の色はどんな色なんだろう、そんな興味をそそられるのが私にとってのフェルメールなのです。
    フェルメールの青や白は(いわゆるレンブラントなどの)闇との対比ではなく光の先にある風景、日常として描かれておりその非日常性にびっくりする。
    青が鮮やか、白が綺麗だとか、それは塗料によるものが大きく純粋なフェルメールが好き、とは違うのかもしれない。それでも謎の多いフェルメール像とも相まって私は一番好きな画家として名前を挙げている。

    2012年6月に真珠の耳飾りの少女が来日予定。今からとても楽しみ。

  • 福岡伸一さんの持論(?)である、レーウェンフックの観察スケッチはフェルメールが描いていたのではないか、を根底に、フェルメールの絵を巡る旅。他にもいろいろな、仮説というか、妄想、いやよき想像・推理が旅のさらなる動機にもなっています。
    微分は流転する世界を一瞬止めるための発明で、絵画もまたそうだ、ということが、絵を解さない僕にも少しわかる気がします。

  • この人の文章はとても気取ってる。また、独特な視点だなぁと思う。
    フェルメールの画がとても好きで、夫がプレゼントしてくれたのだが、この本で新たな見方をたくさん提供してもらい面白かった。最後の仮説も、もしそうだったらかなり興奮する。

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著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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