世界のしくみが見える世界史講義 (Knock‐the‐Knowing)
- ヒカルランド (2014年10月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864712248
作品紹介・あらすじ
これぞ現代世界を動かす原理!"中国・朝鮮の反日"から"プーチンのロシア"そして"イラクの内戦"まで丸わかり。-日本人が知っておくべき"世界のしくみ全て"がスッキリします!
感想・レビュー・書評
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つまり、だ。朝日新聞の購読者は妄想あるいは小説が好きなのだろう。北海道新聞や東京新聞を始めとする地方紙も同様である。沖縄タイムス、琉球新報に至ってはSFの領域に突入しつつある。
https://sessendo.blogspot.com/2022/01/blog-post_67.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史とは「解釈の学問」であると思う。
歴史を記述するとき、出来事と時系列を書くことは不可欠である。
当然、出来事の取捨選択が行われる。
その時点で、もう人為的操作が加えられていることになる。
ならば、解釈の段階になると、もう客観的真実とはいえなくなるだろう。
歴史ってそんなものであり、だから面白いのではないか。
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さて、この本は「予備校の講師」によって書かれた歴史である。
決して学者が書いた本ではない。
そこがユニークなのである。
なぜならば、彼には失うものがないからである。
彼にとって歴史は入学試験にパスする存在でしかない。
普通、歴史は暗記科目と誤解されている。
お分かりのとおり、歴史はあまりにも記憶する項目が多すぎて、暗記できる代物ではない。
そこで受験生の誰でも考えるのは、歴史で起きた事象に関連性を持たせる理解法である。
物事には必ず因果関係がある。
所謂、原因と結果である。
歴史を記述する人間の力量は、その因果関係のどこに着目するかで測られる。
この著者のユニークなところは、その着目点にある。
自分が納得できるストーリーにするために妥協しなかったことが分かるのである。
目的は入試突破であっただろうが、結果として、学者にはない歴史観を彼は提供するのである。
人は彼のことを右より過ぎると批判するかも知れない。
しかし、その批判は当たらない。
何故なら、「じゃあ、自分は徹底的にナゼを追及したのか?」との問いに自信を持って答えられる人は稀であるからである。
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この本は、歴史初心者が読んでも面白くない。
ぼくのような世界史のあちこちをミクロ単位で見てきた歴史アマチュアにとって、マクロの視野を与えることは有用である。
そういう意味で、この本はオススメである。 -
これくらいザックリ解説してくれると、隙間は埋まるし曖昧なところはクッキリする。本書一冊による一面的な見方にならないように、その後も様々な見方の情報を入れていく姿勢が大事だが、取っ掛かりとしてはとてもわかりやすい良書と思う。
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今まで歴史をうわべの事件で理解していたことに気づいた。目から鱗の書だった
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前作『経済は世界史から学べ』がすばらしく勉強になりましたので、著者茂木先生の最新刊を手にしましたが、正直前作ほどのインパクトはありませんでした。新進の出版社の以降なのか著者の思考がより自由に反映されてしまったのか(おそらくはその両方か)少々違和感のある書き方をしている個所が見られました(日中戦争が毛沢東の計算だったという話は結構聞きますが、その背後には満州から兵を撤退してほしいスターリンがいたこと、ソ連と日ソ中立条約を結び太平洋戦争へと同じくスターリンの描いたルートに沿った日本側の指導者がいたことetc)。とくに最後のアメリカに関する記述は、著述家としては問題ないとしても世界史講師としては(教師ではないだけ自由度は利くのか?)疑問がわきます。まあ本書は受験生を対象としていないので杞憂にすぎないのでしょうが・・・
また、分かりやすくするためか物事を単純化しすぎて言い過ぎた感のある個所もいくつか見受けられました。例えば中国の封建制について触れた23頁
「血縁に重きを置く、血縁しか信用しないというカルチャーが中国にはある。そこから、封建制度という政治体制が生まれてきます。」
確かに封建制が登場した周代などは宗族が重視されましたが、それが後代にまでつながる中国の伝統的資質というと問題です。東大の溝口雄三先生の『中国の衝撃』などを読むまでもなく、宋代以降に登場した会館・公所などにみられるように中国人は同郷同士による扶助が発達した文化をもっています。
さらに83頁「キリストとアッラーは同じ神なんです」という記述も気になります。いや、明らかに誤りでしょう。キリスト=イエスは神の子であり、コプト教会などの単性論に立ったとしてもアッラー=神(alはアラビア語で定冠詞つまり英語のthaと一緒。lahはアラビア語で神=god。つまりallah(アッラー)とはtha godとなる※)と救世主=キリストを同じと断言してはまずいと思います。
ただ、いろいろと参考にもなった点がいくつもありましたので、それを備忘録として以下に記しておきます。
「中華帝国で儒学が重んじられたというのは、経典の内容がどうこういう以前に、まず共通語を作ろうということ。」(18頁)
これもそのまま無批判に信じるわけにはいきませんね・・・
「李氏朝鮮では(注 近年の高校世界史では「李氏朝鮮」という言い方はしない。朝鮮とか朝鮮(李朝)という)中央集権化が進みました。高麗時代から続く地方の豪族はみな潰され、地方長官として両班が派遣されます。(中略)日本では、各地に「大名」と呼ばれる領主がいました。封建制です。領主は自分の領地を荒廃させてしまったら、自分の首を絞めることになる。だから水路を作ったり、開墾して新田を作ったりした。こういうことが朝鮮にはなかった。千石から江戸期にかけて日本は地方でも開発が進みますが、同時期の朝鮮は、どんどん荒廃していくわけです。」(64~65頁)
「スンナ」は慣行、慣習。「スンニ」は「スンナに従う者」(110頁)
「七代目イマームであるイスマイルという人が若くして亡くなったとき、イスマイルはじつは死んでいない、という噂が流れました。あまりにも迫害がひどいため、アッラーによってどこかに匿われているのだと。この考えを、イマームの「お隠れ(ガイバ)」と言います。われわれシーア派が頑張って、悪の権化であるスンナ派政権を倒したあと、イスマイルが救世主として再び地上に姿を現す、と考える一派(イスマイル派)が生まれます。しかしシーア派の多数派は「イスマイルは死んだ」ことにして、彼の弟を八代目とします。やがて、十一代イマームが亡くなたときのお葬式に、見慣れぬ少年が姿を現します。この子は「みなさん、お父さんのお葬式は、後継者であるぼくがやります」と挨拶をして、そのままふっといなくなってしまった。その後、その子を見たものは誰もいない。この事件以後、「あの少年が十二代イマームで、迫害から身を守るためお隠れになったのだ」と信じられるようになりました。それで、シーア派の主流派を「十二イマーム派」と呼ぶのです。(111~112頁)
イラン革命がおこったのが1979年です。この年は、イスラム暦の1400年にあたる。つまり世紀の変わり目です。その変わり目の年に世直しをしよう、ということで立ち上がり、成功したのがイラン革命です。(131頁)
ソクラテスの弟子プラトンは、(ソクラテスが死刑宣告を受けたことで)アテネの政治に絶望して、城外にアカデメイアという自分の塾を作ります。そこでプラトンは、「民主主義は愚劣だ」と溶いたのです。(中略)理想の国家というのは、哲学者が民衆を指導する国家である。ところがいまのアテネは逆であって、民衆が哲学者に命令をしている。こんな国が続くわけがない、というのがプラトンの『国家論』です。(155頁)
神は人間のあやまちを補うため、あらかじめ「自然法」を定めていた。聖書に書いてあるとおり、もともと人間はアダムとイヴから始まった。人間は神様がお作りになった作品である。ということは、神様は人間を愛している。だから人間がむやみに殺されたり、差別されたり、奴隷になることを神は望まれていない。したがって、生命、自由、平等、財産などは民族を問わず全人類が生まれながらに神によって保障された権利―自然権なのだ、という思想です。別の言い方では人権(ヒューマン・ライツ)です。(209頁)
(ルソーの一般意志について)もしわれわれが個別意志(欲望など)にこだわっていると、人民の声はただのわがままであって、それを集めても国はまとまらない。まさにイギリスの議会政治はそれである。だから、個別意志を一人ひとりが押さえこんで、一般意志(社会全体をよくしたい、よりよい国をつくっていきたい、という理想に燃えている美しい意志)に合わせることができれば、全人類が同じ意志を持って同じ方向に進んでいく。そういう理想の国家は、議会もいらないし、選挙もいらないのだ。そうルソーは言うわけです。この一般意志を代表する優れた人間、これをルソーは「立法者」と言っています。立法者が全権を握って独裁を行うと、そこに理想国家が生まれるというのです。(218頁)
現在のアメリカ合衆国は北米大陸の半分を占める超大国ですが、イギリスの植民地として出発したときは東海岸だけの小国でした。ほぼ日本列島の大きさで、人口も300万人くらい。これは当時のスイスやオランダ程度です。しかも13の植民地がそれぞれ勝手にやっていた。住民代表が議会を作って自治を行っていたのです。(250頁)
※日本イスラーム学の泰斗である井筒俊彦先生の『イスラーム生誕』には、「アッラーはもともとアラブの一部族が信仰していた神」とも書いてある。