夢のなかの魚屋の地図

著者 :
  • 幻戯書房
3.52
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本棚登録 : 211
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864880374

感想・レビュー・書評

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  • 自分のお気に入りの作家の新刊がエッセイだと知った時がっかりすることがしばしばある。
    私はこの人の小説が読みたいのにと。
    その点、井上さんは本作が初のエッセイ集だと言う。そういえば読んだことがなかった。
    機が熟すのを待って(?)の出版。こういうの好きだな。

    意外って言うのも変だけど割と普通の人なんだなぁ。
    彼女の描く物語がエキセントリックなものが多いだけに、もっときわどい感性を持っているのかと勝手に想像していた。
    夫とは単なるパートーナーで不倫も公認とか言っちゃうのかと思っていた(笑)

    しかしながら文章の巧さは小説よりむしろ際立っているように感じた。
    ますます好ましい。

    作家である父への思い、夫との生活、料理へのこだわり、時折出てくる好きな音楽、そしてあの肉の会。
    井上さんさんの一ファンとして余すことなく楽しめた一冊。
    次のエッセイもぜひゆっくりとまとめていただきたい。わがままな要望ですが。

  • 初読みの作家さん、どなたかの書評で読みたくなりました(^^) 名前さえ間違って覚えていて、さらに本名とは。さらには福岡に所縁あるとは!
    井上光晴氏の娘で荒野(アレノ)さん、妹さんは切羽(キリハ)さんとは。二十数年間に書いたエッセイからグルーピングされた73編が順不同で並んでいて、とりわけ父上に纏わるモノが印象的ですし、ご主人や母上や妹さんたち家族に関するモノがいい。たまさか出てくる九州弁に親近感を抱きながら楽しく読みました。これは小説も読まなくちゃ と思った次第です♪

  • 時々読む井上荒野さん。エッセイ今まで出してなかったのですね。

    文章が淡々としていて味わいがあります。やはりお父さんや妹さんなど家族のことを書いた文章が特にいいなと感じましたね。
    今まで書いてきた25年?分のエッセイですから、文章の配置は順不同ですが時の流れも感じられます。

  • エッセイってほのぼのしたりしみじみしたりくすくすしたりするものだ。その中で荒野さんのは読み進めていくうちに素足で砂漠の砂嵐の中に踏ん張って立っていて、頬を砂粒が叩いていく感覚を一粒も逃さずに感じているような心持ちになる。特に「庭」というエッセイを読んだ後では。

  • エッセイ。井上さんの作品は結構読んできたつもりだけど、著者自身については猫を飼っているくらいしか知らなかったので、そうなんだあという感じ。

    「あちらにいる鬼」を読んだ後だったので、井上さんのお父さんのこととか、お母さんのことも親しみやすかった(?)なあ。
    「荒野」と同じくらいインパクトのある妹さんの名前も知れたし。

    へとへとになるくらい仕事をしたあと、頑張って自分で美味しいご飯を作るかどうか、料理が不慣れな夫に任せていまいち(?)なご飯を食べた後のもやもや感、些細だけどわかる。違うところは、私は料理が得意ではないということ。。。

    飼っている猫の呼び名が原形をとどめないほど変化するの、すごい共感して、旦那さんの「誰だそれ」のつっこみも面白くて、思わず笑った。

    松太郎さん、つぶちゃんの思い出と一緒に長生きしてね。

  • 初めてのエッセイ。
    井上さん、父親が井上光晴で、才能多く若い頃からバリバリ小説書いて売れっ子だったんだろうと勝手に思っていたら、10数年書けない時期があり、小説を再び多く書き出したのは40の頃とは。
    私が読み出したのはその頃なんだなー。
    荒野が本名とゆうことにもびっくり。
    小説家の父親による、平凡を良しとせず、なにものかにならなければの呪縛が生まれた時からついてまわるなんて、悩むなっていうほうがおかしいか。それが父親の真意なのかな。
    父親のこと家族のこと私生活のことをこざっぱりと書いてあり好印象のエッセイだった。
    小説のイメージでもっと難しく情熱的なのかと思えば、ご本人は渋めとゆうか地味に面白いような感じでまたいっそう好きになってしまった。

  • 井上荒野作品は結構好きなので、それならニガテなエッセイも読めるのではないか? と図書館で借りてくる。
    案の定、楽しめた。
    食へのこだわりは「わかる、わかる」。

  • ああなるほど、こういう人が作家になる、なれるのだなと感じた。
    やっぱり、物事に対する考え方とか感受性が一般人とは違って、独特なものがある。
    最後の数行、特に良かったです。

  • (269P)

  • 2世作家のエッセーでは作家を親に持つ家族の暮らしぶりに
    興味がわく。作家であった父が彼女に作家になってほしいと思っていたらしいことなどわかっておもしろかった。2世という前置きが必要ない作家になって久しい彼女だが
    、それまでにいろいろのことがあったのだなあと思った。夫を話題にしたものもよかった。

著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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