かないくん (ほぼにちの絵本)

  • 1481人登録
  • 4.10評価
    • (152)
    • (156)
    • (83)
    • (10)
    • (3)
  • 160レビュー
著者 : 谷川俊太郎
制作 : 松本大洋  糸井重里 
  • 東京糸井重里事務所 (2014年1月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865011074

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

かないくん (ほぼにちの絵本)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 「ほぼにち」で出した大人向けの絵本。
    生と死に付いて考えるためにはちょうど良い素材だが、残念ながら読み聞かせには重すぎて不向き。かといってブックトークにも使えそうも無い。
    ただ、あまり好きでもなかった松本大洋は、この作品でかなり見直すことになった。
    何かしら良い点はあるものだ。

    話は大きく3つに分かれ、最初は「かないくん」が亡くなるという部分。
    赤いマフラーをした「かないくん」が鉄棒でくるっと逆上がりをして、次の場面に進む。この部分は文字ナシ。
    2つ目は、その「かないくん」の話を絵本で作製途中のおじいちゃんが出てくる。
    孫娘とおじいちゃんの会話が素敵だ。
    3つ目に入るとき、再び文字ナシのページが見開きでふたつ現れる。
    そして、孫娘がおじいちゃんの訃報を聞くことになる。

    松本大洋の絵が少ない文字を補ってなお余りある。
    白の余白を効かせ、その沈黙がまるで多くの感情を物語るようだ。
    桜の樹のひこばえや、おそらくは学校で飼育しているのだろうたくさんのウサギたちを、効果的に場面に登場させている。そうか、この絵に2年も費やしたんだものね。
    紙質も特殊で、地色の入っているところや地模様のある部分を、話の中でよく生かしている。

    おじいちゃんの訃報を聞いたとき「はじまった」と思った孫娘の気持ちは、身内を亡くした経験のある方ならなんなく理解することだろう。
    亡くなった人の命は、生きている自分の中に確実に生き続ける。
    亡くなった人の目でものを見て、亡くなった人の考え方で考え始める。
    そうして、いくつもの生を抱えて、死の時まで懸命に生きようと努めるのだ。
    早逝であれ長寿であれ、生は死の始まりで、死もまた生の始まり。
    連綿と続く命の流れを、静かに淡々と語る絵本。

  • きょうせんせいが いつもとちがうこえでいった。
    「かないくんが亡くなりました」
    いきてれば みんなといっしょだけど しんだらひとりぼっち

    幼いころのクラスメートの死。
    これは”私”の祖父が創作途中の絵本のお話し。

    「死を重々しく考えたくない、軽々しくも考えたくない」
    「この絵本をどのように終わればいいのか分からない」

    人は死んだらどうなるの、命がなくなるってどういうことなの。分からない故に死を恐れもするし、生に固執することもある。死んで向こう側にある人は何も感じないし何も伝えられない。自分では決して経験できない死を考え、案じるのはこちら側の人だけ。

    絵本を書き終えぬままホスピスに入る祖父。
    「金井君の絵本、まだ書き終えていないのに」という”私”の言葉に、「死んだら終わりまで描ける」と囁く祖父。

    とても根源的な命題に、絵本を読んだ子供たちはどのように感じるのだろうか。
    向こうの世界で金井君と絵本のラストを描いている?

  • 死をテーマにした絵本。

    「死んだらいい」とか「死ね」とか安易に口に出す人がいるけれど、私は本当に死んでほしい人以外には使いたくない。

    「自分なんて死んだ方が・・・」みたいなことを言う人も甘えんな、と感じる。

    誰でもいつかは死ぬし、それは予想より早かったり遅かったりするけど、ただ生きている今を大事にするしかない。

  •  私にとって初めての身内の死は小学4年のころの父方の祖父でしたが、正直、あまり記憶にありません。ただ、父親が目を真っ赤にしていたのが強く印象に残っています。なんてことを思い出したのは、こちらを手に取ったから。

     “Gunosy”で知った一冊となります。糸井重里さん・プロデュース、谷川俊太郎さん・文、松本大洋さん・絵と、なんとも豪華なコラボで、ある日突然に“友達がいなくなる”、そんな始まりの物語です。

     “終わったのではなく、始まったんだと思った。”

     日本人にとっての「死生観」に一つの答えを与えてくれているのかなと、感じました。

     「死」とはなんなのだろうと、そして「死」と向き合うとはどういうことなのかと、久々に意識することになりました。世代を飛び越えて“伝えていく想い”、そんな見方もあるのかなと、なんとなく。

     淡々とした言葉の積み重ねと、淡い色合いの絵のマッチングが何とも印象的で、そしてなにより、雪と桜の対比は、日本人の心奥にスルっと入ってくるのではないでしょうか。息子が手にとるかどうかはわかりませんが、しばらくリビングにおいておこうと思います。

     谷川さんがやさしく紡ぎだしている言葉と、松本さんの静謐な絵が、なんとも静かに染み入ってくるな、そんな風に感じた絵本です。

  • 【読了】かないくん
    悲しいけれど、ご飯は食べられる。
    悲しいけれど、笑える。
    悲しいけれど、忘れてしまう。

    悲しいけれど、私は生きている。

    そんな事を感じた。

  • 谷川俊太郎さんが文を書き、
    できあがった話をもとに、
    松本大洋さんが2年の歳月をかけて描いた、
    『死』をテーマにした絵本です。
    本のデザインは祖父江慎さんが担当しました。
    印刷は、白ダブルトーン2版を使用する
    6色刷りを採用しています。
    すべての漢字にひらがなのルビがふってあります。

    死ぬとどうなるの。

    生きているだれもが、
    やがて死にます。
    それは、どういうこと
    なんだろう。

    「ほぼ日刊イトイ新聞」より

    すごくシンプルに
    死ぬということを考える本
    味のある絵が
    心を穏やかにして
    冷静に考えてみようと
    させてくれる

  • 谷川俊太郎さんの新しい絵本…と思って手にとりましたが、こういう内容だったのですね。
    白いページで涙があふれてしまいました。

    誰かを亡くした経験のある人はその体験を、誰も喪っていないけれどそれを想像する人はその痛みを考えさせられる絵本です。

    私も、自分が小学4年だった時学校が分校して離れてしまった、友達ではなかったけれど同級生だった男の子が事故で亡くなったことを思い出しました。自分の記憶にある身近な死の最初の体験でした。
    そして、来年の桜は見られないとお互い知りながら父と一緒に見た最後の満開の桜も。

    大事な人の死が辛いのは当たり前。でもすれ違っただけの人の死が、思いもかけずすごく痛くなることも人生にはたくさんありますね。
    そしてその痛さが、大事な人を喪った時の辛さを支えてくれることもあると思います。

    絵の作家さんは私は知らなかったのですが、文章と良くあった懐かしい味わいです。
    おじいさんの回想と、今と、テイストや色合いを変えて描かれてあるところにまた味わいがあります。

    「始まった」と思うところから生きる「彼女」の今後は
    おじいさん以前と「以後」ではまた色合いが変わるのだろうなと想像できます。

  • しろいセーター
    ウサギ
    赤い目
    赤いマフラー
    絆創膏

    はじまり
    ***
    初めて読んだとき、「ああ、これは先に逝った大切な人との待ち合わせの本なのだ」と思った。2度目に読んで、なぜそう思ったのかを見失い…3度読んで、作品と写真ばかりが遺されていることへの感傷と「言葉のない2人が向き合う頁がそう思わせたのだ」と。あの見開き頁が好きだ。抱いている赤い目の白いウサギのぬくもりを感じなければ耐えられそうもない静謐な、“時”のない頁が。
    ***
    感想が絵についてばかりになってしまった。詩人谷川俊太郎の言葉に負けない松本大洋のすごい絵。言葉については、引用した谷川の言葉に付け加えるものは何もない。

  • 絵はいいんだけど、どうしてこれを世間がちやほやするのか、良く分からない。
    出版社や糸井重里の売りかたが上手いから乗せられているだけじゃないの。
    たいしたことなし。
    生と死を描いたもっといい絵本はいっぱいある。
    谷川俊太郎は世渡りの上手い人だなと思う。

  • >死ぬとどうなるの。
     生きているだれもが、 やがて死にます。
     それは、どういうことなんだろう。

    死をテーマにした絵本。
    白にこだわって作られた絵本とのこと。
    とても美しかったです。

    祖父が四年生の時に亡くなったかないくん。
    死期の迫っている祖父の回想なんですね。
    後半は彼の孫である少女がスキーに来ている時に祖父の死を知らされます。

    >何が始まったのかは分からない。
     でも終わったのではなく、
     始まったんだと思った。

    少女のこの言葉がとても印象的で胸に落ちる感じがしました。

    松本大洋さんは有名な漫画家だと聞いたことがあるくらい。
    詩人の工藤直子さんの息子さんだとは知りませんでした。
    谷川俊太郎さんの詩につかず離れず寄り添っている絵で素晴らしいと思いました。

    ほぼ日新聞のHPで本ができるまでのことや対談など色々書かれていてそちらも楽しめました。

全160件中 1 - 10件を表示

かないくん (ほぼにちの絵本)に関連する談話室の質問

かないくん (ほぼにちの絵本)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

かないくん (ほぼにちの絵本)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

かないくん (ほぼにちの絵本)を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする