翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり

  • 左右社
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本棚登録 : 339
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865281002

作品紹介・あらすじ

『赤毛のアン』『ロング・グッドバイ』『高慢と偏見』といった不朽の名作を、競訳! 勝つのは、作家か、翻訳家か? 片岡義男の翻訳術を初公開。翻訳から世の中のことが見えて来る。

感想・レビュー・書評

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  • ジェイン・オースティン『高慢と偏見』
    レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』
    J・D・サリンジャー『バナナフィッシュ日和』
    L・M・モンゴメリー『赤毛のアン』
    トルーマン・カポーティ『冷血』
    エミリー・ブロンテ『嵐が丘』
    エドガー・アラン・ポー『アッシャー家の崩壊』
    片岡義男さんと鴻巣友季子さんによる翻訳読み比べ。
    同じ題材からの翻訳がこんなに印象が違うなんて驚き!「おわりに」で紹介されたアーサー・ビーナードさんが訳したらまた、全然違うのでしょうね!

  • p.2014/8/1

  • ことば

  • 翻訳者、片岡義男氏と鴻巣友季子氏が7つの作品の書き出しの数段落をお題にし、それぞれが訳した文章や表現について語り合うという趣向の本。選ばれている作品はジェイン・オースティン『Pride and Prejudice』、レイモンド・チャンドラー『The Long Good-bye』、J・D・サリンジャー『A Perfect Day for Bananafish』、L・M・モンゴメリー『Anne of Green Gables』、トルーマン・カポーティ『In Cold Blood』、エミリー・ブロンテ『Wuthering Heights』、エドガー・アラン・ポー『The Fall of the House of Usher』。

    半分ぐらいは邦訳版を読んだことがあったけど、このお二人が訳すと既刊の邦訳書とは全く違った趣になり、翻訳次第で作品の雰囲気も受け止め方も大きく異なるんだな、ということに気づかされます。片岡氏は言葉に忠実に、でも削るべきは大胆に削る印象があり、鴻巣氏は原作から逸脱しない程度に自分なりの解釈を少しだけ滑り込ませる、という感じ。一方、タイトルも各自が訳してますが、片岡氏は本文の訳で遊ぶことが少ない分、タイトルで独自性を出していて、それもまた面白い。

    また、冒頭に「透明な翻訳」とは何か、というテーマの議論があり、それも面白かった。曰く、日本の「透明な翻訳」とは「訳者が隠れ、原著が透けて見えるもの」であり、欧米では逆に「原著が消え、最初からその言語で書いてあったように読めるもの」らしい。日本では訳者ならではの味付けや言葉の選び方は不要だということ。ただ、この考え方も村上春樹のような熱狂的ファンを持つ作家兼翻訳家には当てはまらないのでしょう。実際、村上春樹版のチャンドラーやフィッツジェラルドはちょっと独特な表現が多く、クセの強さが目立ちます。それが良いという人もいるのでしょう。

    お題として選ばれている作品には、それぞれに特徴的な表現が入っていて、英語を読んで自分なりに翻訳してみるのも楽しいです。各自の英語力、それまでに読み慣れてきた文章の種類、各作品のテーマにもよると思いますが、個人的にはチャンドラーやモンゴメリーは非常に読みにくかったです。

  • 参考になること満載。
    片岡さんは作家目線。鴻巣さんの苦労はよくわかる。
    こうしてみると、ほんとに翻訳は百人いれば百通り。

  • さいごに日本の英語教育の批判をはじめたのはまったく余計。
    「苦労しない(訳しやすい)」かどうか、どこにひっかかるか、で原文の効果や各作品の感触が伝わってくるのがおもしろい。
    片岡氏=作家と鴻巣氏=翻訳家("職人")の省略するしないの差異など。

  • 837

  • 作家の片岡義男と翻訳家の鴻巣友季子が、課題として与えられたチャンドラー、サリンジャー、カポーティなどの小説の一部を競訳し、お互いの訳について語り合う。作家と翻訳家による正に副題通り“英語と日本語行ったり来たり”の目眩く翻訳談義である。
    本書をより楽しむために、自分が翻訳家になったつもりで、7つの課題を訳してみて、片岡訳、鴻巣訳と照らし合わせつつ読み進むのもよいだろう。

    • kiyotchanさん
      翻訳家の能力の差は英語力よりも日本語力だと聞きます。戸田奈津子さんの字幕の超訳はスゴイですね。
      翻訳家の能力の差は英語力よりも日本語力だと聞きます。戸田奈津子さんの字幕の超訳はスゴイですね。
      2016/03/08
  • おすすめ資料 第272回 (2015.2.20)
     
    「翻訳作業は奥深い!」という気分を味わうことができる本です。

    「嵐が丘」など英文学作品の一部を翻訳者二人が訳しあって内容を検討するのですが、同じテキストから訳されたものの印象が違うのに驚きます。

    自分ならどう訳す?と考えながら読めば、対談に参加している気分になれるかも。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『日本語の外へ』『万年筆インク紙』『珈琲が呼ぶ』『窓の外を見てください』『いつも来る女の人』『言葉の人生』ほか多数の著書がある。

「2022年 『これでいくほかないのよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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