無常の使い

著者 :
  • 藤原書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865781151

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  • 著者が親しい知己の逝去にあたって寄せた追悼文集であるが、冒頭の序文が美しく、それだけ読めばいいかなと。

    50年くらい前まで私の村では、人が死ぬと「無常の使い」というものに立ってもらった。必ず2人組で、衣服を改め、死者の縁者の家へ歩いていったものである。「今日は水俣から無常のお使いにあがりました。お宅の親戚の誰それさんが今朝方お果てになりました。お葬式は何時頃でございます。」

    個々の人生はひとしなみではないが、その葬儀に参加することで、人々はやがて来るべき自分の死をも思いの中に入れて、つかの間なりと生死の共同体を共にしていたと思われる。

    「恨み返すなぞ、のさりち思えぞ」
    のさりとは天の賜物の意である。迫害ものさりと思えと。
    「これがなぁ、一番むずかしか。恨み返すなちゅうことが」

著者プロフィール

1927年、熊本県天草郡(現天草市)生まれ。
1969年、『苦海浄土―わが水俣病』(講談社)の刊行により注目される。
1973年、季刊誌「暗河」を渡辺京二、松浦豊敏らと創刊。マグサイサイ賞受賞。
1993年、『十六夜橋』(径書房)で紫式部賞受賞。
1996年、第一回水俣・東京展で、緒方正人が回航した打瀬船日月丸を舞台とした「出魂儀」が感動を呼んだ。
2001年、朝日賞受賞。2003年、『はにかみの国 石牟礼道子全詩集』(石風社)で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2014年、『石牟礼道子全集』全十七巻・別巻一(藤原書店)が完結。2018年二月、死去。

「2023年 『新装版 ヤポネシアの海辺から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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