- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784866510774
作品紹介・あらすじ
イェール大学で23年連続の人気講義が、ついに日本上陸!
――人は必ず死ぬ。だからこそ、どう生きるべきか――
なぜ、余命宣告をされた学生は、
最後に”命をかけて”、
この講義を受けたのか!?
死を通すことでますます「生」が輝きを増す、世界的名著!
感想・レビュー・書評
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話題にすることさえ避けられがちながら、私達の誰もが避けられない「死」。その本質についての一般的な見方の誤りを、著者自身が主張する書。
たとえば、
人はいつ死ぬのか?身体の死なのか?認知機能の死なのか?
死は誰にも代わってもらえない。では、他のことなら代わってもらえるのか?
死は悪いものなのか?なぜ悪いのか?いつ悪いのか?
死が悪いものなら不死は良いものなのか?どうであれば不死は良いのか?
人生の価値をどうやって測るのか?死んでもこれだけはやりたいということはあるのか?
なぜ死を恐れるのか?
自殺には合理性があるのか?道徳的にはどうか?
……等々。
こねくり難しい話を、話の前提を変えながら、これはどうか?あれはどうか?と問うてくるのに加え、文末まで読まないと肯定文か否定文か疑問文かさえ確定できない日本語のために、ワーキングメモリを最大限に用いて読みましたが、よくわからず読み飛ばしたところも数々。
でも、特に不死について論じたところで、不死ってフィクションでは扱われることがあるけれど(手塚治虫の「火鳥」のが印象的でした)、本当に不死だったら、たとえ不老で健康が保証されていたとしても、辛いだろうなって思えました。
そう考えてみると、有限だからこそ尊いと思えるものっていっぱいありますよね。
自分にとって良いものも悪いものも、永久じゃないと思えれば、また受け取り方も違ってきます。
たまたま手に入る図書館で借りたこの本が日本縮約版だったので、魂の存在について論じた部分が割愛されていたのはとてもとても残念でした。
どこかで手に入れて読んでみたいと思います。
私としては、「生きがいの創造(飯田史彦著)」にあったように、死後の自分があると考えたほうがより良い生き方ができるという考え方を支持するのです。
「これを読めは死の謎が全て解けて死を恐れることがなくなる」とは言いませんが、少なくとも、冷静に考える糧にはなると思います。
*******追記*******
私のように残念な読者に向けて、文響社さんが、抜けている部分を読めるようにしてくださっていました。
https://bunkyosha.com/books/9784866510774/article/1
本書未読の方にも興味深いのではないかと思いますよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「死」とは何か?この深遠なる謎に対して、まったく未知の、あるいはこれまで抱いていた概念がガラリと変わるような、そんな知識を授かることを期待していましたが、その期待は外れました。著者はドラスティックに断言します。「人は機械である」と。機械は壊れてしまえばもうおしまい。つまり、魂など存在せず「死」は一巻の終わりであり、その後は無であると。私も、もとよりこの考えでしたが、それでは救いがない。どこかで永遠不滅の魂というものが存在することに期待を寄せていました。けれども、本書を通じて、そもそも「死」を深遠なる謎などと見なすことが不適切である、と考え直しました。そこには「死」に面と向き合うことを避ける心理が見てとれます。その先には、どう生きるか?なにを為すか?という問いが立ちません。「死」に対する不安や恐怖は依然としてあります。また、多くの人にとって「死」は早く訪れ過ぎると思います。技術の進歩が新たな生命の器をもたらし、自分が心から満足するまで生きることができて、いつの日か「もう充分」と思ったら、死に方や死ぬ時も意のままになる。そんな世界が訪れないかと幻想を抱きます。一方で、事実を受け入れ、恐れたり幻想を抱いたりしないようにしよう、という対立する新しいチャネルが自分のなかに立ち上がったことも確かです。本書は、「死」について考えるきっかけを与えてくれる良書だと思います
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KindleUnlimited3ヶ月で99円……に本日より。
この本、KindleUnlimitedだったので、読んでみます
KindleUnlimited3ヶ月で99円……に本日より。
この本、KindleUnlimitedだったので、読んでみます
2024/01/05 -
hei5さん、こんばんは。いつもありがとうございます。なんと!3ヶ月で99円はなかなかお値打ちですね♪hei5さん、こんばんは。いつもありがとうございます。なんと!3ヶ月で99円はなかなかお値打ちですね♪2024/01/05
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死というものを完全に現象としてとらえた哲学書。
天国も地獄も輪廻転生もない。
ただただ『死』は善か悪か。
死ぬことと生きることはどちらが得か
という命題が繰り広げられる。
人間は死を恐れるが、永遠の生命は求めない。
なぜか。
それは個人それぞれが考えるべきことなのだろう。
本書のコピーに「命を懸けて受けた授業」というようなものが書いてあったが、それはちょっと大げさかな。 -
数年前に入手した際、これが原著の前半部分をすっぽり抜かした縮約版なるものであることに気がつき、バカらしくなって、そのままずっとうっちゃっていた。その後まもなく、版元に批判が集まったのか何なのか、完全翻訳版が新たに出され、かつ縮約版の割愛部分がネットで無料公開されたが、一度失せた読書欲は戻らなかった。
それを改めて読む気になったのは、やはりコロナ禍のせいである。コロナ禍は世界中の人間が、ほぼ同時期に死を身近に意識するという、有史以来未曾有の事態を生み出した。この時期に改めて死についての哲学に触れることは意味のあることのように思えた。
手元にあるのは縮約版だが、せっかく公開されているのだから、欠落部分も含めて全て読むことにした。縮約版で飛ばされた前半部分は、形而上学的な問題を扱っている。すなわち、魂はあるのか、死後の世界はあるのか、という問題である。著者がどのような結論を出すのかは本書を読んで確認してほしいが、私個人はほぼ同意見である。読み通して、これを抜かしたらあかんやろと感じた。後半部分単独でも読めることは読めるが、やはり前半部分の思索が全体のベースとなっている。
後半部分は死そのものを扱う。なぜ死は悪いものとされるのか、そもそも死は本当に悪いのか、それならば永遠の生には価値があるのか。さらには、自殺の問題にまで踏み込んでいく。
いくつもの哲学的、道徳的、宗教的な問題に著者は一つひとつ、自問自答を繰り返していく。それがくどいほどに繰り返される。なるほど、これが哲学的な手法なんだなと思った。正直、時に論理のすり替えではないかと感じたりもしたが。
個人的には文中で紹介されるカート・ヴォネガットの引用に心が動いた。確かに人生はそう捉えてもいいのかもしれない。一方で仏教や東洋思想へのざっくりした切り捨てが納得できなかった。まあ、それは西洋哲学の講義なのだから仕方がないところか。
著者も繰り返しているが、本書の内容が必ずしも読者にとっての正解とはならない。これを読んで多少なりとも死について考えたことが大切なのだろう。その意味では有益な読書の時間だった。 -
話題の本がアマプラで読めたので読んでみました。
大学の講義の本って面白そうだなと思ったのが最初です。
はじめにで先生が言っている通り、縮約版なので省略されている部分があります。
一回読んだだけじゃ理解しきれないです。
わかったような、わかんないような。
まさに大学の授業って感じです。
定期的に、長期スパンで読もうと思います。
(完訳ゲットしようかな)
第9講 自殺
で、「自殺を考えるということ自体が、正気ではない証拠なのだ。」という一文がありました。
そうなのかぁーと深く感心しました。
元気に生きてる人は自殺とか考えないんだなって。
自分しか思考は理解できないので改めて他人から真正面から言われると新しい発見でした。 -
死は、生きていれば享受できたかもしれない、人生における良い事を剥奪するので、良くない事だと思われている。いつ死んでも、死は早すぎると感じる。自分が死ぬ事で周りの人に悪い影響を与える可能性がある。生きている事が死よりも辛い事なのであれば、自殺もまた最悪の選択とは言い切れない。
そりゃそうだよな、と、一言で終わらせる事もできる考えを、色んな観点で深く掘り下げて説明してくれています。
このテーマに関しては、自分が思っている事と同意見な部分しか心に刺さらないだろうと思います。
自殺に関して思い悩む人を前に、この本を読んだ私が、読む前と違う事を言えるかと聞かれたら、結果変わらないと思います。
自分で自分の為に読んで自分の気持ちをどう整理するかの本です。
自分は機械である。機械は壊れる。それを受け入れる。
読んで良かったと思います。 -
そもそも「死」とは何か、はたしてそれは悪いことなのか、ひとりで死ぬとはどういうことなのか、自殺は否定されるべきものなのか、などとても興味深い内容が比較的分かりやすく書かれている。ただこれを読む人は多少当たり前の考えに対して懐疑的だろうと思う。死は悲しく恐れるものだという考えは、どこでも広く受け入れられているものだから。
自殺について考察する章を読んでいると、道徳というのは何を基準にして語るかによって答えが変わり、人は自分にとって都合の良い部分を選んでいるのだということに気づかされる。中庸を選び、極端に走らないようにするにはそうするしかないのだ。白黒はっきりさせられる問題は、思ったよりも少ない。 -
おもしろすぎる!!
分厚い本だったけど一気に読み終わった!
是非私もこの講義を受けたい。そして、その時にはシェリー教授に多くの質問をし、語り合いたい!!!
本当におもしろかった。 -
タイトルの通り、「死」について哲学的に論考した大学講義録です。
イェール大学の教授の語り口は読みやすく、内容もスッと頭に入ってきました。
人の「死」とはどのようなものか(生命機能が停止した時点が「死」なのか、はたまた思考等の”人間的な活動”ができなくなった時点が「死」なのか)、「死」は悪いものなのか(「不死」が望むべきものなのか)、さらには自殺は完全に”悪”なのか。
筆者の論調は、ときに極端な例を示しながらすすむ場面もありましたが、論旨は明快で、違和感を覚えたり矛盾を感じたりすることはありませんでした。
特に、自殺についての筆者の考えについては、賛成する部分もありつつも、やはり感情的には受け入れがたい部分もあり……。
筆者の考え方が100%正しいわけでも、また筆者の考えに100%同意できるわけでもありませんが、この本を読み、「死」について自分なりに考えるきっかけを持つことができた、ということ自体が(筆者も本書の狙いの一つといっていたように)この本を読んで得られた最もおおきな学びだったかもしれません。
380ページ近い大著ですが、読み始めるとすらすらと進めることができました(完訳版にはある、形而上学的な部分が割愛されているからこそかもしれません)。中高生のはこの「縮約版」が読みやすいかもしれません。