鱈: 世界を変えた魚の歴史

  • 飛鳥新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784870313606

作品紹介・あらすじ

中世以来のヨーロッパ漁業史、アメリカ独立戦争、食品工業史、そして現代の環境問題まで、「鱈」を通じて語られる地球のエコロジー。視野の広さと有機的知識の結びつきにより、欧米で「認史認識が改まる」と高く評価された話題の書。タラ料理のレシピ付き。

感想・レビュー・書評

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  • 15世紀から現代まで主に大西洋の鱈を中心に、漁業通商史から海洋資源の問題まで触れたもの。米国東海岸史、英葡関係、アイスランドの主張など諸々興味深く。製塩に触れた部分があるのだが、同著者で塩の世界史も書かれているので合わせて読みたい。
    レシピが乗っているのも楽しみである。

  • 日本人の魚食文化とは、また違った歴史と文化が語られていて、とても興味深かった。鱈という魚が築いた文化、レシピもたくさん載っているのだが、今食べられる料理はどれぐらいあるのだろうか。特に貧しい人達が食べてきた料理については、記されることで残っているのではないか。

  • NHKの「世界街歩き」ノルウェー・ベルゲンでブリッゲンという木造の町がありました。ハンザ同盟の干鱈の倉庫だったという広い空間に「鱈?」と思ったのですが、この本を読んで疑問が氷解しました。先週ブリューゲル展を見たのですが、ポスターの「大きな魚は小さな魚を食べる」という作品は「鱈」だと思います。そのほか「痩せた台所」という貧しい家の風景には木槌で干魚をたたいている男が描かれていました。ちょうど16世紀ですからヨーロッパでハンザ同盟が鱈を売りまくっていた時代ですね。冷蔵・冷凍技術のない時代には干鱈は保存のきく安価なたんぱく質で、軍隊や奴隷、貧しい人の食料として大量に供給されたのでした。筆者がアメリカ人なので、主にアメリカ史に即した記述ですが、こういう視点からこの魚を見たことがないので新鮮です。日本近海の魚も減少しています。中国・韓国・ロシアなどと競合して魚を取っているわけですが、歴史や実態をあまり知らないなと思いました。それにしても各国の鱈料理があまりおいしそうではありません。食べたことがないからかしら?「たらちり」「粕漬け」「辛子明太子」「チーズ鱈」「棒だら」「たらこの粕漬け」ご飯と鱈は美味しい。大事にしないと。

  • 第1部 魚誌
    第2部 限界
    第3部 最後の漁師たち
    食物誌 タラ料理の六世紀

  • 「ニューイングランドの社会はあくまでも個人の自由を重んじ、あまつさえ、公然と奴隷制度を非難する一方で、カリブの砂糖農園主らに安い食料を大量に売り込み、奴隷に一日十六時間の労働を強いて自分たちは着々と富を蓄えたのである。十八世紀初頭、多いときには年間三百艘を超す船がタラを積んでボストンから西インド諸島に向った。」(p88より)

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著者プロフィール

マーク・カーランスキーはアメリカのコネチカット州ハートフォードで生まれ育ち、マイアミ、フィラデルフィア、パリ、メキシコなどを拠点にジャーナリストとして活動した後、1992年に「A Continent of Islands」で作家デビューした。その後、1998年に「鱈 世界を変えた魚の歴史」でジェームス・ピアード賞を受賞し、15カ国以上に翻訳され、(日本では飛鳥新社から刊行されている)世界的なベストセラーになった。

「2023年 『サーモン ―人と鮭の物語—』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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