- Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872575187
作品紹介・あらすじ
岡本太郎を愛して、生きた岡本敏子。その死の直前、おこなわれた恋愛に勇気が湧いてくる対話。
感想・レビュー・書評
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めもめも
狂気だなぁ…(好きだけど)
岡本敏子さんを「愛の最終形態」だと言ってる人がいたけれど、わたしはただただこわいなぁと。好きな怖さだけど。
個人的には「最近の子たちは自分を大切にしすぎる」っていうフレーズが何箇所もあったことに驚いた。時代の逆光性というか…。
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岡本敏子さんの遺作となった、よしもとばななとの対談集。亡くなってから刊行されたとか。恋愛についてっていうか、愛するということについて岡本さんが語ったという感じの本だね。よしもとばななは、ほぼ聞き手という位置づけ。
これがまた、ザクザクと現代の恋愛を切ってくれていて気持ちいい。それでいて嫌みがないのは、敏子さんが無償ともいうべき愛で、一人のひとを愛し抜いた、惚れ抜いたからだろうね。いやあ、こんなこと言う人なんてそういないってことを言ってくれているわけだけど、それらの言葉は決して奇をてらったものじゃないわけ。みんな常識に縛られて言えないけど、実は心のどこかで思っていることだと思う。だから納得できるんだよね。
書中で敏子さんが話していたんだけど、岡本太郎の危険なほうを選ぶ生き方というのもすごい。
太郎はパリにいた頃、自分のなかの譲れない火が燃えているのを感じながら妥協した日々を送り、そのことに悩んでいたそう。それである日、悩みながら映画館に入ったときに、「ああ、そうだ。この中に燃えているものを今まで守ろうとしていた。それを消すこともできないし、なんとかこうやって自分の力で守ろうとしていた。だから弱くなっちゃうんだ」(p.51)と気づき、これからは絶対守らないと決意して、岐路では危険なほう、マイナスに転びそうなほうを選ぶようにしたのだとか。そして、その後は翻意なくそのとおりの生き方をした。
たとえば、試験前に物乞いにお金を渡すのも、善行したことをあてに、いい成績をもらえるんじゃないかみたいに思わないように、わざと施さないようにするとかね。ちょっと「?」って感じだけど、そもそもそんなの人に理解してもらわなくていいこと。要は、自分の力で何とかするっていうことだろう。心のなかの燃えているものは、守らなくても燃えているはずだし、消えてしまうならそれだけのものだもん。夢とか恋心とか大切にしがちだけど、そういうものほど過酷な状況におくべきなんだ。 -
岡本敏子さんが凄すぎて全然参考にならない(笑)って思いながら読み進めましたが、好きという思いにブレが無く目の前にいるその瞬間だと無邪気にお話できる無垢さが羨ましかった。時々ひょえーってリアクションしてるばななさんに親近感。
恋愛についてと言うよりは、かなり女性が生きていく時にって言う所のお話が多かった気がします。恋愛以外の事、今の男女の在り方、みたいなお話とか。本棚に残しておこうかな。 -
偶然出会ったにも関わらず、
引き込まれるように一瞬で読み切りました。
男女の違い、現代の恋愛観、親子の関係。。
どれもこれも思わず頷いてしまうほど共感しました。
敏子さんはしなやかで逞しい人です…!! ! -
「今の子たちは、自分を大事にしすぎ」ってフレーズが何度も出てきたのが、
すごく印象に残っている。
ここ1,2年の間、
「もっと自分を大切にしよう」
「自分の身体の、心の声を聴こう」
「もっと幸せになっていいんだよ」
って本を沢山読んできたし、
そういうのが今の流れだと思っていたから、頭ががーんとなった。
でもいざ考え直してみると、
自分をぞんざいに扱っていい、という意味じゃなく、、
自分をそこまで守って過保護にしなくてもいいのに、という意味なんだなと解釈した。
自分をネグレクトするのは、本当に良くない事。
でも、自分というのを大切に温めていこうとするあまり、
小さな冒険やハメを外すことにいちいち心を奪われていては
何にもならない、弱くなってしまう、、ということなのだろうなぁ。
私自身、同じ会社で働いていた同期に
「もっとちゃらんぽらんに生きてもいいと思う」と言われた事がある。
その時は、真面目に考えすぎずもっと適当にいきていいんだよ、という意味で受け取っていたけど、
今改めて捉えなおしてみると、「自分の人生を適当に遊ばせてあげてもいいんだよ」という風に感じる。
もちろん、これをしたらいいとか理想はあるんだけど、
そんなこと子どもにいちいち言っていられないわけで。
よっぽどこれは、と思う事は言うべきだけれど、
好きにやらせればいいのだと思う。
それは、子育ても、自分育ても同じなんだなと思う。
自分から決して目を離さず、でもあれやこれやと理想の指示をしない、
それが自分への見守りなんだと思うようになった。 -
図書館
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twitterで岡本敏子さんの名言が心にとまり、どんな女性か気になって、彼女の恋愛観、女性観を知りたくて触れたくて読みました。
自分の好きという気持ちに素直に生きることで、見返りを求めない気持ちになり、人生をまるごと生きることを楽しんでいる、そんな敏子さんのありようを感じました。
本を読むまで、岡本敏子さんは、太郎さんに尽くした、内助の功を体現した最たる人かと、イメージしていました。
それが、なんとまあ、とっても自分の気持ちに素直で、芯があって、だけれども一所にとどまらない雲のような、かろやかさのある素敵な女性なんだとわかりました。
対話形式の本なのですが、敏子さんの言葉づかいがとても心地いいです。
いきいきとしていて、生々しくて、柔らかい、それでいていやらしくなく、清楚な、まるで若い女性の体のような言葉です。
イヤなもの、おかしいものをはっきりと言いきっているのに、心地よく響いてくるのが不思議です。
気になる言葉をノートに書き写すと、とっても心の栄養になりました。
一生大切にしたい言葉が、生き方がつまった、素敵な本です。 -
よしもとばななさんと岡本敏子さんの恋愛についての対談。
読めてよかったです。恋愛についての目に見えない圧力みたいなものについて説明してもらえたような気がします。
あとはオリジナルな自分でいること。生き方についても学べることが多かったです。
こんな風に考える人が確実にいる、ということに救われます。