危機言語: 言語の消滅でわれわれは何を失うのか (地球研ライブラリー 24)

  • 京都大学学術出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (505ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784876982097

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  • 原題:Dying Words: Endangered Languages and What They Have to Tell Us
    著者:Nicholas Evans(言語類型論)

     広範なフィールドワークをもとにした興味深い言語研究を知ることができる。

    【雑記】
    ・分厚いが、一般層向けに書かれているので予備知識は不要で、根気があれば読める。
    ・著者は言語決定論を推しているが、この点はまた本書の主題と別の話題になる。個人的には微妙。
    ・言語だけではなく文化に(も)焦点を当てている。
    ・ちなみに、基準により「方言」も言語と捉えれる面がある(言語学の常識のよう)。ユネスコの調査によると、日本にある危機言語は下記の通り。
    【極めて深刻】アイヌ語
    【重大な危機】八重山語(八重山方言),与那国語(与那国方言)
    【危険】八丈語(八丈方言),奄美語(奄美方言),国頭語(国頭方言),沖縄語(沖縄方言),宮古語(宮古方言)
     出典:文化庁 国語施策 「消滅の危機にある方言・言語」<http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokugo_sisaku/kikigengo/


    【目次】
    日本語版序文
    謝辞
    言語学資料の表記について

    プロローグ

    第1部 バベルの図書館
     第1章 ウォラムルングンジの子孫たち
     第2章 4000年を経てついに
    第2部 さまざまな言語の饗宴
     第3章 言葉のガラパゴス諸島
     第4章 ぼくの心の中の君の心――文法における社会的認知
    第3部 古代の言語景観のかすかな痕跡――言語の古代史
     第5章 共通の源から発して
     第6章 「言語圏」への旅――古代の言葉を古代の世界につなぐ
     第7章 解読の鍵―生きた言語から忘れられた文字を解き明かす
    第4部 言語・文化・思考の共進化――互いにたかめあいながら
     第8章 精神の仕立て棚――言語が思考を訓練する
     第9章 韻文と口承文芸の編み出すもの
    第5部 言語消滅の前に,聞けるうちに聞こう
     第10章 言葉を新しくしながら

    エピローグ 大地にすわり,天空に立つ
    言語学者になることもなく――ニコラス・エヴァンズ

    訳者解題
    参照文献表
    巻末地図
    あとがき
    索引

著者プロフィール

 オーストラリア国立大学 アジア太平洋研究所 文化歴史言語学部言語学科主任教授。
アメリカ・カリフォルニア生まれ。オーストラリア国立大学で博士号を取得。メルボルン大学を経て,2008年から現職。専門は,言語学,言語類型論。
 著書は,A Grammar of Kayardild, Mouton de Gruyter, Berlin (1995), Bininj Gun-wok: a pan-dialectal grammar of Mayali, Kunwinjku and Kune, Pacific Linguistics, Canberra (2003)など,オーストラリア先住民言語の文法書が多数ある。

「2013年 『危機言語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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