人間の幸福

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877280482

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  • 1995年発行

    引用 P222
    「うまく言えないんだけど、 則ちゃんの、 あの異常な寂しさってのは、 則ちゃんが、 これまで一度も人のために生きたことがないからじゃないかって思うんだ。 自分のためだけにしか生きたことがないから、 寂しくてたまらないんじゃないかな・・・・・。」

  • 殺人事件と近所の人々の反応

  • 昼間の道端、金属バットで主婦が撲殺された。
    それまで 悪意のないありきたりな日常を繰り返していた近所の住人達に起こったことは?

    犯人探しがメインではなく 犯人がわかるまでの人々の心の中の渦巻きが興味深い。
    明確な悪意を持っていない人間達同士が どうして互いに傷つけ合うのか。
    ささやかな幸せを守ることに汲々とするあまり 他者に対して狭量になっていくのは何故なのか。

    幸福とは一体何なのだろう。

    比較の上に成り立つものでなく 己の中にこそ成立するものなのではないだろうか。
    読み進める内に 次第にその感を強くした。

    誇りと自尊心は 別物であり、持つべきは 誇りなのだという作中の言葉も これに通じるものがあるのではないだろうか。

著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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