哲学の東北 (幻冬舎文庫 な 1-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877286255

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  • 中沢新一の『哲学の東北』を読んだ時衝撃を受けた。この本の大部分は、宮沢賢治と南方熊楠に関するものなのだが、この本では、宮沢賢治の作品はエロティックなものだと指摘されているのだ。僕は、宮沢賢治の作品を清く聖なるものだと思っていたから、にわかにはこの指摘は信じられないものだった。

     しかし中沢新一は、宮沢賢治が嫌いでそんな事を書いているわけではなく、むしろその文章からは宮沢賢治の作品への愛を感じる。

     中沢新一によると、「ほんたうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん焼いてもかまはない」という究極の贈与の思想は、究極のエロスなのである。なぜなら自分の全てをささげると言っているのですから。

     僕はこの本を読んで、『銀河鉄道の夜』に僕が感じていた畏怖のような間隔は、このエロスから来るものだったのではないかと漠然と思うようになりました。そしてそう思うようになってからさらに宮沢賢治の作品が好きになりました。

著者プロフィール

1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。京都大学特任教授、秋田公立美術大学客員教授。人類学者。著書に『増補改訂 アースダイバー』(桑原武夫賞)、『カイエ・ソバージュ』(小林秀雄賞)、『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞)、『哲学の東北』(斎藤緑雨賞)など多数。

「2023年 『岡潔の教育論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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