覇王不比等 (第1部) (黒須紀一郎伝奇小説 4)

著者 : 黒須紀一郎

• 作品社 (2002年4月1日発売)

感想・レビュー・書評

[大一大万大吉さんの感想 · 2022年7月30日]

再読。
日本国成立の背景、唐と韓三国の覇権争い、乙巳の変、白村江の戦、壬申の乱とその背景。
教科書で名前と年号だけを丸暗記した歴史の裏側に壮大な物語があった。

[前太ハハさんの感想 · 2012年8月25日]

律令国家の礎を築いた古代史至上最大の政治家、藤原不比等の生涯を綴った大河小説の1巻です。
記録では、壬申の乱がおきたことにより、世間から身を隠すため田辺史大隅（タナベノフヒトオオスミ）に引き取られたとされていますが、それ以外の生い立ちについては謎。（彼がはじめて日本書紀に登場するのは30歳を過ぎてからです。）
1巻では、さまざまな経験をしながら父鎌足の出自や兄貞慧（ジョウエ）の死の謎を追い、政治家としての資質の基礎を創る少年期についてが描かれています。。

あとがきによれば、
「７世紀の日本の総人口５３９万９８００人の内、渡来人と土着系住民との比率は8.6対１となる」 という。
つまり、１０人の内９人までが、大陸または朝鮮半島から渡って来た人たちということになる。７世紀までの日本には、様々な民族が共存していたのである。
とのこと！！
大陸の影響をうけて日本が形成されていったこと、蘇我氏が百済系祖先をもっていることなど、断片的に受け入れていた考えがここでは9：1？！
著者は学者ではないけれど、意外と説得力のある話なので興味津々。2巻も楽しみです！
古代史ってホントロマンだわ。