火葬人 (東欧の想像力)

  • 松籟社
3.75
  • (10)
  • (11)
  • (11)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 282
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879843128

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 第二次世界大戦直前のチェコで始まる。主人公はドイツの血をひくコップフルキングルという火葬人なんだけど、そのうちにナチスに取り込まれてユダヤ系の奥さんと子を手にかけるという話。なんかロボットのような主体性を感じない主人公とちょくちょく出てくる体格いい杖の男とヒステリーな女が不気味。

  • [ 内容 ]
    グロテスクな恐怖が日常を侵蝕していく、恐怖がページから立ちのぼる。
    ナチスドイツの影が迫る1930年代末のプラハ。
    葬儀場に勤める火葬人コップフルキングルは、愛する妻と娘、息子にかこまれ、平穏な生活を送っているが…。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 空虚な笑顔から浮かび上がる恐怖、汚れなき善意に潜む恐怖―本作の持つイメージを言語化するならそんな感じだろうか。火葬場に努めるコッペルキング氏の持つ哲学や仕事への熱意、家族への愛情は決して変貌した訳ではない。彼の持つユダヤ人への眼差しはナチスの台頭以後もコインの表裏が入れ替わっただけであり、それは彼の善意が終始空虚さに包まれていたことの証左でもある。だが、このような空虚な善意は誰しも日常で触れ得るものではないのか。これは狂気ではない、断じて正気の物語なのだ。そう、凡庸な幸福は、こんなにも悪のすぐそばにある。

  • 第二次大戦直前のズデーテン割譲前後の時代を背景に、火葬人をなりわいとする男と家族、ユダヤ人の話。
    全編を通じて、家族の愛し方への語り口の異常性というか、偏執的な癖を感じてしまい、なかなか読むのが辛かった。家族での外出時に必ず一緒になる夫婦の会話での高圧的な夫の態度も不快さを増して、全編を嫌な空気感が漂っていくのはどうにも気持ちが悪い。
    ドイツに占領されたプラハでのホロコーストのなか、火葬人である主人公は、ユダヤ人の血をひく家族にどう向かうか。
    静かな狂気。
    凝縮された恐怖。
    不安定な精神状態で読むんじゃなかったよ。

  • ユライ・ヘルツが1969年映画化している。絶対に面白い筈(表紙にはルドルフ・フルシンスキーが!!)。。。

    松籟社のPR
    「ナチスドイツの影が迫る1930年代のプラハ。葬儀場に勤める火葬人コップフルキングルは、妻と娘、息子にかこまれ、幸せな生活を送っている。しかしその平穏な日常は、時代状況や親ナチスの友人の影響を受けながら、次第にグロテスクに変質していく……」

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      映画『火葬人』 パンフレット ユライ・ヘルツ監督 - Galerie LIBRAIRIE6 + シス書店
      http://librairie...
      映画『火葬人』 パンフレット ユライ・ヘルツ監督 - Galerie LIBRAIRIE6 + シス書店
      http://librairie6.shop-pro.jp/?pid=101132343
      2021/07/13

著者プロフィール

1923年、プラハ生まれ。カレル大学で博士号取得後、学芸員として国立美術館等で勤務。並行して短編を雑誌に発表していた。
1963年に長編小説『テオドル・ムントシュトック氏』を発表。収容所への移送を待ちかまえるユダヤ人の心理を幻想的に描き、一躍脚光を浴びる。ユダヤ系の出自ではなかったフクスだが、ユダヤ系住民と同じく同性愛者が迫害されるのを目の当たりにし、自身も同性愛の傾向を持っていたために衝撃を受け、ユダヤ系の人びとに共感を抱くようになったと言われる。
ほかの作品に本書『火葬人』や『公爵夫人と料理人』など。
『火葬人』は、ユライ・ヘルツ監督によって映画化されている。

「2013年 『火葬人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

阿部賢一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アーナルデュル・...
トルーマン カポ...
ミハル・アイヴァ...
スティーヴン キ...
スティーヴン キ...
劉 慈欣
伊藤 計劃
マックス バリー
フェルディナント...
フェルディナント...
フェルディナント...
ロベルト ボラー...
アンディ・ウィア...
オルガ トカルチ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×