MONKEY Vol.1 ◆ 青春のポール・オースター(柴田元幸責任編集)
- スイッチパブリッシング (2013年10月7日発売)
- Amazon.co.jp ・雑誌 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784884183899
感想・レビュー・書評
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柴田元幸さんの雑誌『モンキービジネス』がリニューアルして復刊!というニュースを聞き、買ってみた。
第1号ということで、柴田先生のソウルメイトともいえる、ポール・オースター大特集。オースターの若き日の未刊行原稿の訳やら、オースターAtoZなど、全力でオースターてんこ盛り。でも、私は残念ながらオースター作品が大好きというほどではないので(端正だなあと思って読むことはあるんだけれど、小理屈っぽさが私の好みの方向でなくて、ちょっとめんどくさい)、この全力オースター特集よりも、後半に並んだ、のちのちの連載になると思われる作品のほうが楽しかった。中でも、門馬太喜さんとおっしゃる作家さんの短編『白足袋』が、この号ではいちばん好み。アリス・マンローに似ているけど、言葉がもう少し簡素な感じで淡々と美しい。主人公と白足袋のつながりには、書かれている以外の関係があるのではないかとうっすらにおわせるように書かれた、終盤の雰囲気のよさ(ちょっぴりのあやしさも含む)も素敵。
巻末の村上春樹の講演録「職業としての小説家」も面白かった。例によってハルキ節全開だが、彼の小説を読んでいるときのように「チッ」と舌打ちしてしまう面倒くささはなく、直球で知的に面白い。筆一本で食べていくことと、その周りのことに関して、小説家を目指そうとするかたがたにはプラクティカルな部分も見受けられるし、こじゃれた言い回しを使うようで実はプロレスネタという、おっさん的なユーモアの効かせかたも緩急が付けられていて愉しい。個人的には、彼は翻訳と、こういった講演形式も含めた、英米のコラムのような文章を書くほうが向いているように思う。
『モンキービジネス』のときも思ったけれど、これだけ自分の好きなものでがっちり固めて、しかもメジャー路線(といってもガイブン界隈での話だけれど)に持っていけるところは、やっぱり柴田先生の選球眼と誠実なお仕事っぷりで築いた信頼のなせるわざなんだろうなあと感じた。次号の特集「2010年代の文学」も楽しみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
柴田さん責任編集の創刊号。
オースターのインタビューに村上春樹のエッセイとたまらない内容で、買い続けたい文芸誌ができました。 -
柴田元幸さん責任編集の季刊雑誌の創刊号(bit.ly/1i9PQaA)。
ポール・オースターの特集は読み応えがあり堪能した。
未発表作品「草稿と断片」、柴田さんとのインタビュー、
高橋源一郎さんとの対話、そして A to Z のオースター小辞典。
今号は何をおっしゃっているのかよくわからなかったが、
村上春樹さんの新連載も楽しみ。
次号も購入するであろう良質な雑誌。
小川洋子さんにはびっくりさせられた。 -
翻訳家 柴田元幸責任編集の文芸誌。オースターの草稿と断片、インタビュー、オースター A to Zなどファンには堪らない内容。村上春樹、古川日出男などの連載も充実。判型は月刊文芸誌くらいのサイズが良かった。
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スイッチ・パブリッシングから創刊した文芸誌。創刊号な柴田元幸のオースター愛が感じられた一冊。個人的にはオースター好きじゃない(会話が少なく100パーセント描写なので想像の余地がほとんどない、偶然に頼りすぎる、登場人物が作家や詩人とかで現実的な人が少ないのでこの作家人生経験狭いのかなって思うなどなど)けど、なぜか惹かれるところを上手く紹介している。後ろにコヨーテと遊ぶ猿の絵があるけど、コヨーテともども長く続いて欲しいなぁ。