外交官の父が伝える素顔のアメリカ人の生活と英語 (ディスカヴァー携書024)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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本棚登録 : 63
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887596382

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  •  外交官の著者がアメリカ暮らしの中で書き留めたメモを元に、アメリカ人の生き方、家族、暮らしについて一般的な事柄を解説し、その解説に出てくる用語や表現を英語でも紹介したもの。「この本は、もともと、必死になって異国に溶け込もうとする子どもたちと語り合う話題としてメモしていたものであり、『外交官の父が伝える素顔のアメリカ人の生活と英語』とのタイトルがついたのはそうした経緯からである」(p.268)らしい。「取り上げたテーマはそれぞれ大きいが、コンパクトな分量に収めたため、問題の核心に迫るような深みのある掘り下げた議論はない。」(p.267)ので、これをきっかけに何か内容のあることを喋れるようになれ、というもの。
     内容はともかく、こういう本がどうしてもおれは好きになれなくて、あら捜しをしてしまう。「外交官の父が」とあるので、これを読む人はみんなこの著者の子どもにでもなったつもりで読めばよいのだろうか。「この本は3回読め」みたいな強気な態度とともに、内容的にも随所に表れる「最近の日本(の若者)は大丈夫か」とか「日本の英語教育はまだまだだ」とか「若い人は、いまのうちから豊かな人間関係を築いておいたほうがいい」(p.35)みたいな「親父の説教」を聞いている感じがどうも鼻につく。「息子はダン先生に教授を受けていて」とか、「息子はYMCAのプログラムで大議論した」とか、そういう家族自慢のような感じ、もっと大きく言えば「ご近所のリンゼイ氏と一緒に云々」みたいなバブル世代が羨むような経験談が繰り広げられていて、こういう本をこの時代に出版するのも流行らないんじゃないかと思う。極め付きは「二人の子どもたちに対し、感謝と激励の気持ちを込めて10のメッセージを贈りたい」(p.268)とか言い出して、「努力!」「健康!」みたいなことが4ページにわたって書かれ、最後は娘さんの書いた絵かなんかが載っている。そして何ともありがたいことに、「外交官の父が息子と娘に薦める17冊の本」という、別にアメリカ人やアメリカの生活とはあんまり関係ない、生き方とか人生に役立つ本として、司馬遼太郎とかマキャヴェリとかも紹介されている。
     ほんと、こういうのを読んで不快になるおれ自身に対する自己嫌悪も深まるし、本当、素直に読めなくてごめんなさい、ひねくれててすみません、という気になるという、精神的に良くない本だった。あら捜しで申し訳ないけど、p.58とかp.67のeverydayはevery dayと表記すべきだし、p.17はMe, too.ではなくI love you, too.だと思う。英語の単語や表現を日本語の文中にカッコで表示するのは良いが、品詞とか態をもうちょっと正確にやって欲しい。例えば「馬鹿にされる(insult)」(p.52)はinsultedじゃないと変だし、p.124「たまに昼寝する(occasional napping)」は、take an occasional napにすべきじゃないのか、とか。p.99の喪失感はa sense of deathとなっているけどa sense of lossじゃないのか、とか、あとよく分からないのはp.64の「冷却期間」がa coolly-off periodとか、p.236の「窮状」がcold caseというのもなんか初めて聞いた。とか、引っかかるところがいくつかある。
     ということで、こんなネガティブなことを色々書いてしまったけど、そういうところが気にならない人には、さらっと「一般的な」(WASPの?)アメリカ人の生活について、英語とともに知ることが出来る良い本ということになるのだろうか。もちろんこう言っておきながら、おれの知らない表現は別のメモ帳にまとめておいたので、役に立った部分も多いけれども。ただ、これまで色んな本を読んできて、やっぱり著者が個人的な体験談をもとに上から目線で語る本、というのがどんなに良い本でもおれは受け付けないんだなあというのが分かった。
     という訳で、読了した本としてはこれが今年最後。この数日間は色々事情があって、パッと手に取った本を読むしかなかったのだが、1年の最後になりそうな本くらいはもっと計画的に、いくつかあらかじめ用意しておくようにしよう。あと、このペースで読めば来年で1000冊を達成する予定。1000冊目はどんな本にしようか?それも計画しておかないと。あと今年は洋書を読んだ数が少なかった。それも反省。少なくとも今年よりはたくさん洋書を読む、という来年の目標を立てて、今年はこれで終わり。(18/12/30)

  • [ 内容 ]
    外交官として、父として、十代の息子と娘のために書き留めていたノートから生まれました。
    読むだけで、生きた英語が身につく。
    あなたの知らないアメリカ人の日常がわかる。

    [ 目次 ]
    第1章 愛(「アイ・ラブ・ユー」;あなたの手を握りたい;愛とセックス;幸せな結婚の秘訣)
    第2章 お金(カネがすべてか?;カネの話;消費は美徳か;お金持ちと貧乏人;お金持ちになる方法)
    第3章 人生(幸せな人生;悩みと知足;相談できる友と孤独;人生は厳しい;命は尊い ほか)
    第4章 家族(仕事と家庭;親子の対話;家族団らん)
    第5章 健康(健康の秘訣;バランスの良い適量の食事;適度な運動;禁煙;お酒 ほか)
    第6章 教育(試験;才能;日本とアメリカの教育の違い;家庭の躾)
    第7章 休暇と娯楽(バカンス、そして旅;スポーツ;映画;プレゼント)
    第8章 政治と社会(アメリカの多様性;アメリカ政治の原点としての憲法;アメリカン・ドリーム;アメリカの苦悩;世界におけるアメリカのイメージ ほか)
    外交官の父が息子と娘に薦める17冊の本

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 単語、センテンスの英訳と共にアメリカ人の生活・文化を紹介。著者は3回読めと勧めていますが、これから2回目に挑戦です。

  • 「アメリカンドリームといえば庭付き一戸建てでバーベキュー」

    アメリカ人の文化をわかりやすく解説しています。

    日常のメディアから入ってくる情報だけでは、
    文化の違いを理解することはあまりできないと思います。

    実際に現地で生活している著者の肌で感じた内容が
    描かれているので、より実感が沸きます。

    アメリカ人は高校生くらいから生活費も学費もすべて自分で稼ぐそうです。

    日本人は特に目的も無く、親の脛をかじって大学に行っている、というのが
    現状だと思います。
    こういうところを改めないと、どんどん意識の差ができる一方なのかも知れません。

  • ハーバードで一番人気があるのは、Positive Psychology のクラス。そしてアメリカ人はSelf helpの本をよく買う。癒しが足りないんだな。

  • 読みやすい文章で今の米国人の生活習慣がわかりやすく説明されていた。

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著者プロフィール

小原雅博(こはら・まさひろ):博士(国際関係学)。東京大学卒、UCバークレーにて修士号取得。1980 年に外務省に入り、アジア大洋州局審議官、在シドニー総領事、在上海総領事を歴任後、2015年に東京大学大学院法学政治学研究科教授に就任。2021年東京大学を定年退職。現在東京大学名誉教授の他、名城大学など複数の大学で特任教授や客員教授を務め、海外では復旦大学(上海)客員教授も務める。10MTVで「大人のための教養講座」を担当するほか、企業のアドバイザーも務める。著書に、『国益と外交』『東アジア共同体』(共に日本経済新聞社)、『境界国家論』(時事通信社)、『日本の国益』(講談社)、『大学4年間の国際政治学が10時間でざっと学べる』(KADOKAWA)、『コロナの衝撃-感染爆発で世界はどうなる?』『東大白熱ゼミー国際政治の授業』『チャイナジレンマ』(ディスカヴァー携書)、『日本走向何方』(中信出版社)、『日本的選択』(上海人民出版社)他多数。

「2022年 『戦争と平和の国際政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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