どうする!依存大国ニッポン (ディスカヴァー携書)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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本棚登録 : 86
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887597174

作品紹介・あらすじ

日本は、あらゆるものを海外に依存しています。米国の市場に依存したり、中国の労働力に依存したり、資源が豊富にある国に依存したり、米国の核兵器に依存したり、若い世代やその子どもにまで依存しています。その依存が過度なために、非常に不安定な状況が創出されています。日本に将来ビジョンが欠如しているために生じている現象です。

感想・レビュー・書評

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  • 2009.11.16開始〜2009.11.18読了

    「<a href="http://mediamarker.net/u/mamochin/?asin=4887597126">メディアマーカー - まもちんの読書ログ / 若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書)</a>」の続編にあたるこの作品。繰り返しになる部分はそなりにあるけど、やはり文章的には読みやすく、日本がどれだけいろんなものに依存しているか、具体的な数字をもって解説してくれるので分かりやすい。

    第0章 政治を動かす4つのアクター
    第1章 20世紀型成長モデルに代わるものは?世界における日本経済
    第2章 ゼロベースで考える日本国の防衛
    第3章 まったなし!ツケを若者に回す財政赤字問題
    第4章 自給率40%!食料依存の実態
    第5章 自給率わずか4%!日本のエネルギー問題
    第6章 結婚問題ととらえるべき少子化問題
    第7章 どうする!?依存大国ニッポン

    という章立てで展開されているが、おおむね「国防」「財政赤字」「食料自給率」「エネルギー」「少子化問題」について、問題箇所の明記と、筆者なりの改善提案が書いてあるので、いまの日本の現状をざっくりと知るにはとても分かりやすい。文章量もそれほど多くないので、行き帰りの電車2時間で一気に読みきれるくらいだ。

    ただ、いくつかの論点において、異論を唱えざるを得ない部分もあった。

    今回は、各章の要点とともに、自分の意見も引用部分も用いながら解説してみたいと思う。

    [more]

  • 著者は、国連開発計画(UNDP)、国際農業開発基金(IFAD)等の国連専門機関に勤務。アイダホ州立ルイス・クラーク大学助教授、オレゴン大学客員准教授を経て現職に至る。

    著書に「なぜその人に惹かれてしまうのか?」「なぜ日本にはいい男がいないのか21の理由」等多数。

    本書は、「若者は、選挙に行かないせいで、4000万円も損してる。35歳くらいまでの政治リテラシー養成講座」の姉妹編として、20歳から35歳くらいまでの若い有権者向けに書かれている。

    若い世代の人々にツケを支払わせ、余命少ない人を優遇する今の政治はおかしいにもかかわらず、当の若い世代にはその認識が乏しいが現状。
    その認識を改善するために、実際の日本が行なっている政策について説明されている。

    日本が置かれている最も重要なテーマを厳選して、次世代を担う私達が知るべき・考えるべきことを取り上げ意識改革を行い、そしてそれに相応しい政治家を選び続けることを著者は願っている。

    そして上記の重要なテーマとして「依存体質」をキーワードとして6つのテーマを紹介している。
    ①世界における日本経済
    ②日本国の防衛
    ③財政赤字問題
    ④食料依存の実態
    ⑤日本のエネルギー問題
    ⑥少子化問題

    上記の6つのテーマについては新聞やテレビ・マスコミにおいてもちろん日本のこれからの課題として取り上げられているのは確かである。
    しかし、その視点がどうしても未来に向けの視点が少ないというのが現状であるが、著者は若い世代に向けて本書を著しており、今より数十年後に視点をおいてそのテーマを捉えているだけあって、今まで見えてこなかった本質が浮き彫りになり、よりこのテーマについての緊急性や重要性についても認識することになった。

    恥ずかしながら新聞をほとんど読まない私にとって、大まかでは理解していたつもりであったこのテーマにおいても初めて知ったことも非常に多く、視点が違うだけでこうも見え方や意見の出方が違うのかと感心させられてばかりであった。

    本書を読むと日本の現状がよりわかり、そしてこのままではダメだという気持ちになるのと共に絶望的な感情もどうしても湧いてしまうが、一歩踏み込んだ視点から建設的にどうしていくべきだというヒントのようなモノも示されていることから自分たちで考えるきっかけを与えてくれている。

    目先の生活も大切だが、少しの時間でも日本のこれからを考えるために割くべきである。

  • ◎各国の農業政策比較
    日本が農業過保護国として米国やEUから攻撃されるのは、農家の守り方が、米国やEUと異なるから。
    日本の保護形態は、「消費者負担型農政」
    欧米は「財政負担型農政」に転換
    ⇒農作物の取引は原則として市場メカニズムに任せる

    日本は市場原理に基づいて農作物を売買しておらず、生産調整や高い関税等によって価格維持をしているため、わが国の消費者は損をしている。
    農家を保護する手段としては、消費者を犠牲にするのではなく、原理原則は市場メカニズムに任せて、農家に直接的に差額を払う欧米型にすれば、他国からの批判は免れる。


    ◎農産物輸出国を総称して「ケアンズ・グループ」といい、国際会議の場では団結しているのが特徴。


    ◎日本が核兵器を持たないほうがいい理由
    ①核開発技術を有する日本が核を持たないという選択をしている、つまり、東アジアの核拡散を食い止めている。

    日本政府はもっと公にこの点を強調すべき。

    ②核兵器は、殺傷能力の割りに製造費は安価だが、維持費がたいへん。

    ③日本は核拡散防止条約を批准している。

    ④「非核三原則」という国是もある。

    結論:核武装することにはメリットがある、だからすべての国は持ちたい、
    しかし、わが国には国民感情という大きなハードルを考慮に入れなくても、現実の防衛政策として核兵器を持つことは難しい状況である。


    ◎日本の税収の特徴は、法人税がやたら高くて、所得税が低い。
    法人税をひきさげれば、売る商品も安くなるので、企業の国際競争力は増すし、他国から企業や投資を呼び込むことができる。
    近年の日本の産業の空洞化は、日本の高賃金とこの高い法人税のダブルパンチによるところが大きい。

  • 世界における日本の立場を見ることができれば自分が現在どこにいるか見えてくる。結論を先に、理由は次にというレポートを書ける学生がいない。
    国連憲章においては日本は依然として敵国扱い。
    世界の2%未満の人口である日本が約5%のエネルギーを消費している。

  • 国防、年金、食料自給率、エネルギー自給率、少子化問題の現状をわかりやすく書いた本。

    結論を出してどうこうではなく、もっと自分たちの世代が損をしないために知ることが目的。

    じゃあ、どうするか!

  • 公共選択理論の授業関係。

    小さい頃に社会科で習った問題が身近に感じられる今は、興味深くて楽しい時代だ。

  • ● 政策の基本は、依存しなくてもすむような分野では、極力依存を避ける。どうしても依存しなければならないような分野では、必ずリスクヘッジをしておくことが大切です。グローバリゼーションは不可避だからといって、際限なく依存するのは国の舵取りとしては正しくありません。

  • 開始:20090802、完了:20090802

    現在の日本の政治の課題の概略をつかむには非常によい本。政治の入門書としておすすめ。以下、気になった言葉。2007年GDP、516兆円。20世紀の成長モデル。①安価な天然資源の輸入、②人的資源(付加価値つける技術、安価な労働力)、③日本の市場と海外の開かれた輸出市場。輸出に頼った戦後の産業構造。人材のグローバリゼーション。日本のODAで中国、インド、パキスタンを援助。日本が核兵器を保有しても、規制事実化は短期間ですむ。ふつうの國になれる。非核三原則で佐藤栄作がノーベル平和賞。政治は白と黒ではなく常に灰色。米国吉は130基地。日本の自衛隊が米国の首都であるワシントンDCに軍事基地をもつようなもの。中国は日本から援助を受けながら他の発展途上国に対外援助をして存在価値高めている。国連中心主義、英語にはない。国連憲章で日本は依然敵国。日本人は平和を無償で手に入れられると思っている。さらに問題なのは、領土を守るという意識すらない。借金は國と地方合わせて800兆円。上げ潮派、歳出カットを前面。財政出動派、ばらまきで経済を上向かせる、早期増税派、予算の削減は無理、だから早く増税、削減するお金はないという考え。プライマリーバランスはプラスになれば借金は増えないから、いずれ返せる。2009年度、特別会計歳出額、355兆円、一般会計、88.5兆円。埋蔵金のは40兆円といわれている。日本の産業の空洞化は、高賃金と高い法人税。食料自給率40%。「戦争はいけない」とは学んでもエネルギーの重要性は学んでいない教育。民間ができない地熱発電を政府主導でやる。

  • 筆者と私自身の考えは必ずしも一致していないが、現代の日本の問題点を理解する上では良書

  • (2009/7/9読了)防衛とかエネルギー問題とか、必ずしも賛成ではないが、問題提起の書としてはきっちり選択肢を挙げてあって分かりやすい。個人的には、原子力発電推進は反対ですが、石油依存は何とかしないとね。

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著者プロフィール

群馬県出身。埼玉県立松山高等学校を経て1979年早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1984年ボストン大学政治学修士号取得。1993年オレゴン大学国際関係修士号取得。オレゴン大学政治学博士号(Ph.D.)取得。米国アイダホ州立ルイス・クラーク大学助教(tenuretrackAssistantProfessor)、オレゴン大学認知科学研究所客員准教授(visitingAssociateProfessor)、早稲田大学国際部准教授・教授を経て、2004年より早稲田大学国際教養学部教授。メディア出演の機会が多い。

「2021年 『恋愛・結婚でうまくいっている人の5つの習慣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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