ウィキリークスからフェイスブック革命まで 逆パノプティコン社会の到来 (ディスカヴァー携書)

  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887598980

感想・レビュー・書評

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  • パノプティコン、聞き慣れない言葉だけども、フランス哲学者フーコー著『監獄の誕生』に処罰、監獄はどのようにして生まれたかについて一つの概念を提示する。「パノプティコン(panopticon)」日本語で「全展望監視システム」と訳される。
    元々は18世紀イギリスの思想家ジェレミー・ベンサムって人が考案した概念で、監獄をより効率的に、そして受刑者の社会復帰をしやすくするために辿り着いた設計案。

    設計図としては、監獄の真ん中に看守塔が立つ。そしてその看守塔を囲む形で円形の独房があり、そこに囚人を収監する。

    それの、逆。
    そして、そこに政府と市民をそれぞれ当てはめて、ソーシャルネット時代を論じて行く一冊。

    ウィキリークス、フェイスブックを軸に進んでゆくのだが、チュニジアのジャスミン革命、エジプトのフェイスブック革命、一国の腐敗した長期政権を転覆させるのに大きな役割を果たしたソーシャルネット。
    フェイスブックの仮想社会を一つの国と捉えると、国民(ユーザー)人口は、世界に三位に登ると。

    新たなメディアの一つとして、ジャーナリズムとの共存共栄はどのようになってゆくのか、アジェンダ設定機能、ゲートキーピング機能をどのようにしてゆくのか。

    読み進むほどに、ネット社会の超国家性の法の未整備に恐怖を覚える。

    しかし、アマゾンがウィキリークスに対し、サービス利用停止をした理由が米国政府の一権力者の圧力によるものだとすると、ネット社会は公共の公園のような場所ではなく、私設の施設みたいなものだよな。

  • 国家や大企業などの権威が、インターネットを手にした一般人から監視されてしまう有り様を、「逆パノプティコン社会」と称しているが、この喩はあまりしっくりこない。それはさておき、本書は、ウィキキークスがメインテーマであり、このメディア(?)の成り立ちや旧来メディアとの違いを説明し、それが今後の社会や体制に与えるインパクトを解いている。ウィキリークス自体が善か悪かという判断は避けているが、これが世論を賑わせつつも成功している理由については、きちんと解説されている。最後のほうで、FacebookのようなSNSにも触れていて、2011年のエジプトやチュニジアの民主化運動で、SNSが果たした役割について書かれてはいるものの、ウィキリークスに比すると割いている頁は少ない。どちらかというと、ウィキリークスよりもSNSをして、「逆パノプティコン」的な感じがするので、少々消化不良である。

  • パノプティコンの話は巻頭だけ。オーウェル『1984』の話は巻末数行だけ。主にウィキリークスの簡単なまとめ。中盤は前半の繰り返しで中だるみ。こういう内容って紙の本じゃなくて電子書籍書籍のほうがいいですね。どこかで読んだような内容の割りに値段が高い。ウィキリークスのことよく知らなかった人にはいいのかも。

  • 政府が市民に監視される状態を「逆パノプティコン」と呼び、「ウィキリークスやフェイスブック革命の分析を通して、この「逆パノプティコン社会の到来」について論じる」(P.12)という本。

    先に『全貌ウィキリークス』の方を読んでいたため、前半のウィキリークスの部分には余り新鮮味がなかった。フェイスブックの下りもリアルタイムで得ていた情報と大きく変わるところはない。

    期待をしていたのは実はそういった事実の解説ではなく、「逆パノプティコン」という概念を発展させて、この先どういった社会が到来して課題はどこにあるかという社会科学的な分析の方である。ウィキリークスしかり、エジプトやチュニジアの今後にしても、今のアメリカでのデモにしても、いいことだけではなく、マイナスの点も多いのは明らか。市民の手で横暴な政府を監視することができるようになった幸福な世界が到来したという図式でまとめるのは無邪気にすぎるのでは。
    またフーコーが『監獄の誕生』で言及した「パノプティコン」から着想した「逆パノプティコン」という概念をもっと発展させてほしかった。それは新書では難しいのか。
    フーコーがパノプティコンを持ち出したのは、政府による監視というよりも、市民自ら内なる監視者により監視させる規律(ディシプリン)について論じるための仕組みであり、そこから論を広げることも期待をしていた。

    また副題に「ハーバード講義」と付けているが、このテキストを元にハーバードで講義をしたわけではないのでやるべきではないと思う。

    通信分野での論客の一人で期待していただけに、やや残念。

  • タイトルがやや浮いているか。

    「インターネットというのは、公共の公園ではなくて、ショッピングモールのようなところ」

    ウィキリークスやフェイスブック革命に対する理解が深まった。

  • どちらかというとWikileaks紹介とTwitter、Facebook革命紹介本。タイトルがオーバーだけど。。。

    Wikileaksやソーシャルメディアの可能性と問題点を手っ取り早く知るにはいい。

  • 名前負け。まあ、世界におけるウィキリークス、SNSの社会的存在感を感じ取るにはなかなかよくまとまっている本だとは思う。

  • ウィキリークスの実情はとても分かりやすいし読みやすかった。なるほどアサンジュは途中で戦略転換したのか。結果それが裏目に出たのかもしれん。後半のfacebookの話はなんかグダグダしてて無くてもよかった。

  • 量的拡大は、一定水準を超えると、質的な変化をもたらす。(P35)

    アイスランドの首都レイキャビクで、内部告発専門サイト、「ウィキリークス」は創設された。(P41)

    ストゥライサンド効果:情報の公開を食い止めるために司法的な措置をとったのだが、その意図とは正反対に、情報への関心が高まってしまうという現象。(P73)

    技術は文化を越えるけれど制度は文化を反映する。p171

  • 2011.05.08 読了。

著者プロフィール

作家

「2020年 『一生忘れない読書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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