あなたへの社会構成主義

  • ナカニシヤ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784888489157

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  • 社会構成主義の四つのテーゼ
    ・私たちが世界や自己を理解するために用いる言葉は、「事実」によって規定されない
    ・記述や説明、そしてあらゆる表現の景気は、人々の関係から意味を与えられる
    ・私たちは、何かを記述したり説明したり、あるいは別の方法で表現したりする時、同時に、自分たちの未来をも創造している
    ・自分たちの理解のあり方について反省することが、明るい未来にとって不可欠である

    科学的知識の社会的構成
    ・何が科学的事実であるかは科学者コミュニティによって決定される
    ・「新しい」科学的事実は複雑に入り組んだ関係性の産物である

    優れた実証研究とみなされるための5つの基準
    ・クールであること(客観性)
    ・状況の統制(実験的)
    ・観察された結果を数字に変換すること
    ・唯一絶対の正しい答えを導きだすこと
    ・実践から独立した事実

  • 原題:An Invitation to Social Construction (1999)
    著者:Kenneth J. Gergen
    訳者:東村 知子[ひがしむら・ともこ]
    装丁:白沢 正[しらさわ・ただし]

    【他の著作】
    邦訳 2004年 『社会構成主義の理論と実践――関係性が現実をつくる』https://booklog.jp/item/1/4888488649
    邦訳 1998年 『もう一つの社会心理学――社会行動学の転換に向けて』https://booklog.jp/item/1/4888484023

    【本書の書誌情報】
    社会構成主義の重鎮ガーゲンによる、「常識」を覆す社会構成主義への格好の入門書。平易な文章で、ガーゲンとの対話の世界へ誘う。

    出版年月日 2004/11/01
    ISBN 9784888489157
    判型・ページ数 A5・378ページ
    定価 本体3,500円+税


    【やや簡易な目次】
    プロローグ ――私たちの進むべき道 [i-ii]
    目次 [iii-viii]

    第1章 伝統的人間観の行きづまり 001
    本書について 007
    揺らぐ「自己」観 009
    激しさをます嵐 ――真理、理性、道徳 020
    学問世界の動揺 ――言語の重要性 030
    本章をふりかえって 047
    注 048
    文献案内 049

    第2章 共同体による構成 ――事実と価値 051
    新しい言語観 ――写し絵からゲームへ 052
    イデオロギー批判の見直し 057
    文学批評の見直し――テキストから共同体の中の言語へ 063
    社会構成主義の四つのテーゼ 071
    科学的知識の社会的構成 076
    本章をふりかえって 086
    注 087
    文献案内 091

    第3章 対話の力 ――明日を創る試み 093
    構造としての対話 ――生活の指針となるメタファー 097
    構造としての対話 ――物語(ナラティヴ)的現実  102
    説得としての対話 ――レトリックというレンズ 108
    プロセスとしての対話 ――実用的な次元 114
    自己の会話的構成 120
    本章をふりかえって 127
    注 129
    文献案内 132

    第4章 社会構成主義の地平 135
    実証研究に対する疑問 136
    現代における私たちの生活を探究する――質的研究 143
    歴史的・文化的探究 ――自己って何? 152
    本章をふりかえって 168
    注 169
    文献案内 171

    第5章 「個人主義的な自己」から「関係性の中の自己」へ 173
    生成的理論 173
    個人主義とイデオロギー 176
    関係としての自己 ――第一ステップ 183
    関係の中の存在 ――新たなビジョン 193
    本章をふりかえって 205
    注 206
    文献案内 209

    第6章 理論と実践(1)――対話のもつ可能性 211
    解釈学的な問い――「心」から「関係」へ 212
    三つのD ――対話(Dialogue)、言説(Discourse)、差異(Difference) 219
    変化力のある対話へ向けて――第三のアプローチ 228
    本章をふりかえって 243
    注 243
    文献案内 245

    第7章 理論と実践(2)――心理療法・組織変革・教育・研究 247
    社会構成としてのセラピー 248
    組織における意味の創造 260
    教育 ――共同的実践と共同体 265
    学問的表現 ――新しい世界製作の方法 272
    本章をふりかえって 280
    注 281
    文献案内 283

    第8章 理論と実践(3)――マスメディア・権力・インターネット 287
    意味の渦 289
    権力のパターン 300
    テクノロジーと社会 308
    本章をふりかえって 318
    注 319
    文献案内 322

    第9章 「批判に答える」 325
    現実主義 ――「だって、確かに世界はそこにあるじゃないか!」 328
    経験や心的状態に関する疑問 331
    懐疑主義の矛盾 334
    相対主義の弊害 338
    何がなすに値するのか ――関与に関する問い 344
    社会構成主義とエリート主義の危険性 346
    社会構成主義と科学の進歩 349
    本章をふりかえって 352
    注 352
    文献案内 353

    訳者あとがき(東村知子) [355-361]
    事項索引 [362-364]
    人名索引 [365-367]



    【詳しい目次】
    プロローグ――私たちの進むべき道 [i-ii]
    目次 [iii-viii]

    第1章 伝統的人間観の行きづまり 001
    本書について 007
    揺らぐ「自己」観 009
      二元論的世界の問題――「外的世界」vs.「内的世界」/知識の問題――鏡としての心/自分の心がわかるとは?――内なる眼という問題
    激しさをます嵐――真理、理性、道徳 020
      客観性、真理、科学の問い/理性と教育の役割/道徳と責任/ポストモダンの胎動
    学問世界の動揺――言語の重要性 030
      第一の事件――言葉は、現実をありのままに写しとるものではない/第二の事件――価値中立的な言明など存在しない/第三の事件――記号論から脱構築へ/絶望から新しい未来へ
    本章をふりかえって 047
    注 048
    文献案内 049

    第2章 共同体による構成 ――事実と価値 051
    新しい言語観――写し絵からゲームへ 052
      言語ゲーム/生活形式と「事実ゲーム」
    イデオロギー批判の見直し 057
      精神病――フーコーとその後
    文学批評の見直し――テキストから共同体の中の言語へ 063
      アイデンティティの政治学
    社会構成主義の四つのテーゼ 071
      私たちが世界や自己を理解するために用いる言葉は、「事実」によって規定されない/記述や説明、そしてあらゆる表現の形式は、人々の関係から意味を与えられる/私たちは、何かを記述したり説明したり、あるいは別の方法で表現したりする時、同時に、自分たちの未来をも創造している/自分たちの理解のあり方について反省することが明るい未来にとって不可欠である
    科学的知識の社会的構成 076
      何が科学的事実であるかは科学者コミュニティによって決定される/「新しい」科学的事実は複雑に入り組んだ関係性の産物である
    本章をふりかえって 086
    注 087
    文献案内 091

    第3章 対話の力 ――明日を創る試み 093
    構造としての対話 ――生活の指針となるメタファー 097
      心のメタファー
    構造としての対話 ――物語(ナラティヴ)的現実  102
      自己についての語り
    説得としての対話 ――レトリックというレンズ 108
      客観性のレトリック
    プロセスとしての対話 ――実用的な次元 114
      ゴフマンとガーフィンケルの遺産
    自己の会話的構成 120
      「存在論」「倫理」「自己」の創造/社会的な釈明――アイデンティティと責任
    本章をふりかえって 127
    注 129
    文献案内 132

    第4章 社会構成主義の地平 135
    実証研究に対する疑問 136
      優れた実証研究とみなされるための五つの基準/実証研究がもたらした成果
    現代における私たちの生活を探究する――質的研究 143
      語り(ナラティヴ)――人々が生きている世界をつなぐ/共同的研究/アクションリサーチ ――社会変革のうねり
    歴史的・文化的探究 ――自己って何? 152
      「自己」の歴史的変遷/異文化研究、自文化理解
    本章をふりかえって 168
    注 169
    文献案内 171

    第5章 「個人主義的な自己」から「関係性の中の自己」へ 173
    生成的理論 173
    個人主義とイデオロギー 176
      「孤立した魂」という問題/手段としての他者/見せかけだけの関係/「周りはみな敵」という悲劇/権力の
    問題/社会的なものの軽視
    関係としての自己――第一ステップ 183
      象徴的相互作用論/文化心理学/現象学と他者
    関係の中の存在――新たなビジョン 193
      バフチンと対話主義/関係の中の存在
    本章をふりかえって 205
    注 206
    文献案内 209

    第6章 理論と実践(1)――対話のもつ可能性 211
    解釈学的な問い――「心」から「関係」へ 212
      「真実の」解釈をもたらす方法はあるか/意味は関係の中から生み出される
    三つのD ――対話(Dialogue)、言説(Discourse)、差異(Difference) 219
      他者性と意味の終わり/第一のアプローチ ――議論、取引、交渉、調停/第二のアプローチ ――ハーバーマスと対話の倫理
    変化力のある対話へ向けて――第三のアプローチ 228
      非難から関係の中の責任へ/自己表出の重要性、他者を肯定すること/行為を調和させること――即興のすすめ/自己内省――多声性への期待/新しい世界の共同的創造
    本章をふりかえって 243
    注 243
    文献案内 245

    第7章 理論と実践(2)――心理療法・組織変革・教育・研究 247
    社会構成としてのセラピー 248
      解決中心療法――ブリーフ・エンカウンターの力/ナラティヴ・セラピー/多声的な共同実践――複数の意味がもたらす実り
    組織における意味の創造 260
      価値を認めようとする問い――対立から共同体へ/未来の探求と共同体の構築
    教育――共同的実践と共同体 265
      じっくりと考え、反省すること――教室での共同的実践/多声的な教育学
    学問的表現――新しい世界製作の方法 272
      「一人の人間」の視点に立つこと――具体的な記述/内省と多声性――私は誰?――多様な声のるつぼパフォーマティヴに向けて
    本章をふりかえって 280
    注 281
    文献案内 283

    第8章 理論と実践(3)――マスメディア・権力・インターネット 287
    意味の渦 289
      メディアと操作/犠牲者から復讐者へ――「行動する視聴者」/仮想の世界を泳ぐ
    権力のパターン 300
      権力――ポスト構造主義の視点
    テクノロジーと社会 308
      インターネット――新たな共同体? それとも単なる虚構?/サイポグ――私と機械は一心同体
    本章をふりかえって 318
    注 319
    文献案内 322

    第9章 「批判に答える」 325
    現実主義――「だって、確かに世界はそこにあるじゃないか!」 328
    経験や心的状態に関する疑問 331
    懐疑主義の矛盾 334
    相対主義の弊害 338
    何がなすに値するのか――関与に関する問い 344
    社会構成主義とエリート主義の危険性 346
    社会構成主義と科学の進歩 349
    本章をふりかえって 352
    注 352
    文献案内 353

    訳者あとがき(東村知子) [355-361]
    事項索引 [362-364]
    人名索引 [365-367]

  • ゼミで輪読。社会構成主義を理解するためには必須といえるのではないだろうか。良著である。

  • Amazonの評価は高い.

  • 理論や哲学的背景の説明のみならず、実践する意思が明確な良い本でした。もともと中原淳・長岡健「ダイアローグ 対話する組織」からのリンク読書なので、そのへん(対話・関係性・ワークショップとか)に興味のある方へはお薦め。

  • 「普遍的、客観的事実」の存在の危うさを述べている。個人能力還元主義から関係論的視点へ。関係論とは言い換えれば、状況込みで考えるということ。あなたが“持っている”能力は、あなた単体で為されるものではない。あなたの周りにいる人、周りにあるもの、そしてそのときのあなただからこそできること。

  • 社会構成主義の教科書的存在。
    社会構成主義とそれに関わる思想がわかりやすく書かれている。その一方で、ナラティヴ・セラピーや教育現場での実践例は物足りない。そのため、理論的にみるとネガティヴにならざるをえない思想を、なぜ著者がこんなにもポジティヴに捉えているのかが理解しにくい。

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