美しき少年の理由なき自殺

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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784889919349

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  • 1999年 初版

    宮台氏の言説を誤解して信奉し、心理的に引きこもっていく若者に向けたメッセージ。
    自殺したS君の記録と、似て非なる思考でS君の親友渡邊くん、自殺の数週間前からS君と付き合いS君が理想とした美絵さんの関係性に基づく。

    S君ほどではないものの、同様に何事も客観的に見てしまい、「その瞬間」にのめり込めない自意識を自分も持っている。
    宮台氏が表現する2通りの生き方と、意味がないと感じる人への処方箋のヒントは、それはそれでわかるものの、僕はどちらでもなく今そこまで悲観していない気がした。
    簡単に言うと、まだまだ理想主義でいるし、それが希少とも思っていない。
    希少どころか、成熟社会は欲望中心のズレた成熟型であって、人類はこの世界の大切なことの1%も見出だせていないと思っている。
    豊かさを求めて資本主義を突き詰めても、心が貧しい人が増えるばかりというのが証左だろう。
    手軽に娯楽が手に入るように、手軽に豊かさが手に入るようになり、世界中自然な笑顔で満ち溢れた時が本当の成熟社会だと思うし、S君のように「わかる人」こそ、そのために尽力できる限られた逸材ではないだろうか。

  • (内容データベースより)
    宮台真司にシンクロし、それでも宮台真司になれなかった若者の「絶望」と「自死」に、「生きづらさ」を背負う若者たちの普遍的問題を見い出し
    、処方する。

    始まりは藤井が自死したS君の友達渡辺と奇妙な出会いをしたことから  
    宮台に傾倒していたS君 
    数日後 渡辺から 藤井の所へ手紙が届く

    「理由なき自殺」だけど「理解不可能な自殺」ではないと思う 
    そんな手紙とともに送られてきた自殺直前に書いたと思われるSの手紙 

    言葉も展開されているロジックも宮台のそれだった

    藤井は 「最後のメッセージ」を宮台に見せる
    「これは・・・昔のおれじゃないか」
    その彼の残した大学ノート7冊 
    藤井が記録者として同行 宮台自身が読み解く
     
    言葉としては語弊があるかもしれないけど 面白かった
     
    今まで宮台氏の本は1冊しか読んだことないけど 
    他の本も読んでみたいと思った

    世の中には 自分の言動で、とか ミスで犯した時に 誰かが死んでしまうそんな職業がある
    本来なら 人を救う仕事は 死と隣り合わせだ

    まず私が思ったのは
    自分が吐いた言葉で 綴った文章が引き金になって自死した人がいるという事実と向き合う作業

    宮台に影響されて実施したフィールドワークの結果や思索の経緯 
    宮台の放った言葉がびっちりと書かれたノートを読む作業 
    そして分析していく
    それをやったんだ・・・というコトだった

    本の進行は藤井のルポと宮台の独白が交互に続く

    読み進めていくうちに 
    そういう視点で突きつめていくと ソコ(自死)に行ってしまうんだろうなと
    思った

    「意味と強度」あーそうだよねって思った

    生と死の違い 
    「世の中、無意味だ」という時に死ぬ人と死なない人の違い

    「確かに無意味だ、でもそこそこ楽しい」
    「そこそこ楽しい、でも無意味だ」

    ちょっと待て どうせなら マンガの続き読みたいな・・・とか
    あると生きていけるのかも

    本を読んで 読んで 脳内で体験して 
    体験した感じを想像して 分かってしまうのではなく
    実際に自分が身体を使って 体験する 

    そういうのがあると生きていけるのかも


    生きなければいけない、という前提に立たなければ
    【死】すら選択肢のうちに入ってしまうのかも
    と言った渡辺の言葉に そうだよなーと思った

    この本に答えはない

    だから こうすればいい、という答えややり方 マニュアルを求めている人には 不向きな本

    しかし 自分で答えを探したい 生きづらさを感じている人にとって 
    いろんな意味で 自らの答えが「何か」を考えるきっかけになる本だと
    思った

  • 宮台さんの、自分の言論への責任感、誠実さを、思考の強さを感じた。

  • 宮台の本の中で一番すき。
    宮台のせいで自殺した人の本。
    色々と大変なんですね。
    社会学っていうより、ルポだな。

著者プロフィール

ノンフィクション作家。「沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち」「沖縄ひとモノガタリ」「誰も書かなかった玉城デニーの青春」など多数。

「2023年 『居場所をください 沖縄・kukuluの学校に行けない子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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