- Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
- / ISBN・EAN: 9784892385872
感想・レビュー・書評
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何の予備知識もなく読んだ。
感動した。
片目の見えない犬と、片翼をなくして飛べなくなったカササギ。
この二人(犬とカササギだけど、これは人間の姿でもあるので)の友情が育まれていくが、キツネが現れる。
キツネは嫉妬であり誘惑であり猜疑心である。誰の心にもそれは芽生えてくるのだ。信頼しあった二人の間にもキツネは忍び寄る。
希望の見えるラストではあるが、めでたしめでたしでは終わらないところがよい。
人間、そう簡単に困難を乗り越えられないこともあるのだから。
小学4年の教科書で紹介されているけれど、どこまで小4が味わえるかはわからない。大人がうまく手渡せるといいと思う。
マーガレット・ワイルドは他の作品も読んだが、この作品が特に心に残るのは、ロン・ブルックスの絵が素晴らしいからかもしれない。
こんなに見事な美しいキツネに囁かれたら、誘惑に乗ってしまいそうだもの。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これは子供向けの絵本だろうか…
色々なものを突きつけられたような気持ちになりました。こんな感じの人間模様とか、ありそう…。 -
6年生に読み聞かせする絵本を探していて、この本を見つけた。
イヌとカササギ、そしてあとから来たキツネ。
そこに複雑な感情が漂い始める。
カササギはなぜ不安だったのか。
キツネはなぜ孤独だったのか。
イヌは…なぜ何もしなかったのか。
視点を変えればどの立場にも何か理由や意味があるように思える。
誰もが心の中に持っている光と影、善と悪。
私達の住む人間社会に、ふと置き換えて考えてしまいそうになる。
物語の最後もいい。
そこからまた物語が始まるような。
ハッピーエンドではないけれど未来に何か期待させる、
こういう終わり方は好きだ。
モヤモヤが残るから、面白い。
肯定的で善良な話ではないからこそ、心に残る。
こういう本を、もうすぐ中学に行く6年生に読んであげたかった。
あまりにじぃっと聞き入ってくれたので、
何も聞かずに教室を後にしてしまったけれど、6年生はどんな風に
感じてくれたのかちょっと気になる。
モヤモヤでもいい、自分だったら…でもいい、少しでも心に残ってくれたら
私はとても嬉しい。
最後になってしまったが、絵と文字もとても素晴らしい。
というか、ものすごい。
絵は、抑えた色味だけれど迫力がある。
文字は作者・絵・訳者とは別の方が手描きで書いている。
それが絵や物語にぴったり合っていて、この絵本の印象を更に濃くしている。
原作の文字も面白いという話を読んだので、
いつか原文のままの絵本をぜひ見て見比べてみたい。 -
(中1の息子が書きました)
カササギとイヌは無二の親友。
カササギは片目の見えないイヌの目となり、イヌは飛べないカササギの羽となり、
お互いに助け合ってきた。
しかしそこにキツネが加わると、何かが狂い始めます。
まるで人間の本性を見ているかのような、不思議な作品です。
ちいさなえほんや”ひだまり”さんセレクト、
10才までに読みたい”こころが豊かになる110冊”より。 -
なんだ。
このズンとくる感覚は。
最初読みにくいと思ったけど、逆にそれが記憶に残る。 -
衝撃的な絵と文字。
キツネの目。
人間の心のどこかにある裏切り、後悔、愛。
魂が揺さぶられる絵本。 -
大人向きの絵本。
友だちになること、信じること、そして、裏切る葛藤。どの人も自分の中に必ず犬かカササギかキツネがいる。
何度も読み返して考えたくなる本。 -
ちょっと心が苦しくなるようなお話なのに、読み終わると爽やかな力が湧いてくる絵本。息遣いが伝わってくるようなタッチの絵と、斬新な文章のレイアウトに胸が躍ります。