高3限定(3) (POE BACKS/BabyコミックスEXTRA) (POE BACKS Babyコミックスextra)

著者 :
  • ふゅーじょんぷろだくと
4.62
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本棚登録 : 145
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784893938404

感想・レビュー・書評

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  • 読み終えた直後は、どこまでが現実で、どこからが夢の世界なんだろうか、もう一回読んでこの辺の区別を着けて、物語をしっかり咀嚼したい、と言う気持ちが一番だった。
    現在のおとぎ話、都市伝説的な伝承、そう言う印象の方が強く、だからこそ不気味で正体の解らないものの正体が解った事への満足度が一番高かった。物語の中でも全てが解決したのではなくて、吸血鬼の正体がなんとかと言う病気を発症した人が人の血を摂取したいと言う欲求に駆られてしまうのが解っても、そんな病気に何故なるのか、治療法はあるのか、と言う疑問が残るのと同じように。

    この作品を読んでいる人それぞれ、作品に対する向き合い方は様々だと思うが、私自身はイケダの肉体に刻まれた暴力、それを加えた人間の浅はかな欲望などに負けない生きた証として、イケダの生命が勝ち誇って欲しい、と言う事だけだったかもしれない。BL的な要素も勿論含むし、私の好むいわゆる「痛い系」の作品ではあるが、そう言うジャンル分けとかどうでもよくなっていた。

    『高3限定』解体全書が書かれてもいいくらいに、内包されているものの一つ一つが深い。イケダ町と言う、因習から生まれた結界に守られている町の都市伝説的な背景をベースに、同じ人間の中に暴力を振るう側と振るわれる側がいる残酷さ、弱い者・いびつなものを守ろうとする小野の心がイケダへの純粋な愛情であるのか否か、と言うように、一つ一つが物語のベースとなっても成り立つようなディープさを孕んでいるのに、それを全て同時に同じテーブルに乗せて、どれもおざなりにせず、それぞれの苦悩に目を瞑らず描く、なんて事は、物凄い精神力を必要とするんじゃないだろうか。こう言ってしまうと誤解を招くかもしれないが、作者のタフさにただただ圧倒される。
    http://zazie.at.webry.info/201309/article_6.html
    http://zazie.at.webry.info/201309/article_7.html
    http://zazie.at.webry.info/201309/article_8.html
    http://zazie.at.webry.info/201310/article_1.html
    http://zazie.at.webry.info/201310/article_2.html
    http://zazie.at.webry.info/201310/article_3.html

  • とうとう、完結。見るに堪えない展開で何度も心が折れそうになりながらも読みきりました。色んな謎が明らかになって、伏線もきれいに回収されていて、読んだことを後悔していないけど、あまりにも衝撃が強すぎて本を閉じた後も小野とイケダが頭から離れてくれません。

    そもそも、都市伝説がおかしかった。あの学校とかあの地域とか。
    イケダの生い立ちがわかってからは、するすると謎が解かれていき、それと同時に悲しくやりきれない気持ちで心が一杯になってしまいました。
    愛されない存在が愛されるには、とてつもなく残酷な試練をくぐりぬけなくてはならず、そしてそれは自分の意思とは関係ない、不条理な選別なのです。
    怖いです。その立場になって想像してみる…という勇気が試された気がしました。哀れとかかわいそうとかいう同情なんて、問題外です。

    結局これはみんなの願いがかなったということなんですね。普通のカタチではないとしても。
    ただのホラーではなく、究極の愛の物語だった気がします。

  • 幸せとは?愛するとは?様々な問答が脳内を占拠する。皮膚がヒリヒリする。ループ。誰にも薦めない全3巻。そして今日も1巻から読んでしまう…きっと明日も明後日も。出口は何処ですか?

  • 3巻完結。途中夢か現実か分からない断片的な記憶や台詞に混沌としながらまさに震えながら読みました。そして全てのピースが埋まった時の衝撃。これは単なるミステリーホラーではなく、実は根底にあるものは今も何処かで実際に行われているかもしれない凄惨な事件にあることだと分かって驚愕しました。自己犠牲の精神や儀式、臓器売買の現実など。深いです。深すぎて池田の傷だらけの笑顔や小野の狂おしいまでの執着に胸が詰まります。彼らをメタファーとして決して美化する事無くBLジャンルとして純愛ファンタジーに描いて下さった梶本先生の手腕と努力に敬意を表します。確かに苦しい描写に展開でしたが結末は明るいものだと信じたい。 高3限定を認めることでこの物語は崩壊する。そして池田と小野の姿かたちが消滅するけれど、その魂は究極の純愛として昇華したのではないかと思います。

  • め、めっちゃ重い……ページを進めるごとにズーンと来る感じが半端なかったです。あ~ファンタジーだったんですね! 前巻から期間が空いているせいもあって色々あやふやになっていたんですが、そう思えば色々ああなるほど……となりました。にしてもグロいな~、BL萌えとかはないですね、どっちかっていうとミステリーホラーみたいな感じが。一回最後まで読んだだけじゃ理解しきれない部分も多くて、通しで読んで考える必要がある作品だと思います。が、読むと気力が根こそぎ奪われるから暫くはいいかなって。

    しかし読後の感想第一が「これは凄い!」と漠然とした感じでどうしたもんかと思ってたけど、ネットであれこれ見ると同じような人が多くてほっとします笑

    • みなみさん
      始めてwebで読んだ時の衝撃! …そのままに、最後までまさに「衝撃作」だった。全く予測のつかない斜め上すぎる展開なだけに、どうラスト締め括る...
      始めてwebで読んだ時の衝撃! …そのままに、最後までまさに「衝撃作」だった。全く予測のつかない斜め上すぎる展開なだけに、どうラスト締め括るのか、締め括れんのか? と疑問だったが、どうなんですかコレ^^; web連載から商業誌連載へ、二転三転して、作者の心情に変化もあったんじゃないかと。最初からこういうつもりで描いたんだとは思えなくて! でも、こういう決着のつけ方をした意味があるんでしょう。まぁハッピーエンドにはならないと思ってたけど、もやっと感w しかし名作と呼ばれるものには、もやっと感が付き物でもある!
      2014/01/22
    • Sさん
      もやっと感!笑 いやどうだろう、最初からこうするつもりだったというのでもアリかなという独特の世界観の漫画だし……! なんだかんだ読み返したく...
      もやっと感!笑 いやどうだろう、最初からこうするつもりだったというのでもアリかなという独特の世界観の漫画だし……! なんだかんだ読み返したくなるような内容だしで(すぐには無理だけど)それだけでも勝ち組といえるかも……。一回読んだらもういいや~と思ってしまうBL本って多いから貴重といえば貴重な雰囲気ですね……。
      2014/01/30
  • BLというカテゴライズや、枠にのみ当てはめておいてはあまりにももったいなさすぎる作品で、純粋な愛の表現ではないが、狂おしいまでに愛を語っている。

  • 思いもよらない展開だった。結末は予想されたけど、これはBLではないな…愛のお話

  • BL漫画というカテゴリだけでは表現できない作品でした。
    最終巻、目を奪われる表紙に思わず読むのをためらいましたが、
    最後読み終わって、作者の梶本先生のあとがきを読んだときに
    本当に梶本先生の伝えたかった想いに気づき、また読みなおして
    しまいました。
    感想は色々あると思いますが、読者に何かを考えさせる作品として、
    自分の中では今までの中で一番、興味深くおもしろいBL作品だと
    思いました。

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