よいクマわるいクマ: キムン・カムイ ウェン・カムイ 見分け方から付き合い方まで

  • 北海道新聞社
3.27
  • (1)
  • (2)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 39
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894533523

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • のぼりべつクマ牧場での勤務を皮切りに、ヒグマと深く関わって来た著者(前田菜穂子氏)による、ヒグママニュアル。

    ヒグマの生態をつぶさに観察し、「対話」を重ねたからこその具体的な教えや対処法が興味深い。

    「よいクマわるいクマ」というのはアイヌ目線の言葉であるらしく(途中、萱野茂氏のコメントや対談なども挟まれていて、それも貴重である)、人間が山を歩いている時に冷静に気配を察して立ち去るのがよいクマ、人間や人間の食べるものに興味を持ったり逆上して襲ってくるのがわるいクマということだが、結局わるいクマは、人間の不注意や山での傲慢なふるまいが作るものであるということで、実に身につまされる話である。

    不幸にして山でヒグマに出合ってしまったら、絶対に背中を向けない、クマスプレーやナタを持っていなかったら頸動脈を押さえてうずくまる等は(そういう目に合いたくないけど)心しておきたいところだ。

    掲載されている写真(ヒグマのいる情景=稗田一俊氏)も素晴らしい。

  • 北海道の川で釣りをする身としては、クマ問題は他人事ではない。ぼく自身は遭遇したことはないけれど、遭遇した人に遭遇したことは1度や2度じゃないし、「熊出没中」の看板はしょっちゅう見る。クマ鈴必須、熊スプレーも身につけているけれど、それで100%安全なわけではない。万一クマに会っちゃったらどうすればいいのだろう。かなり本を読んだけれど、今ひとつわからなかった。そういう意味では参考になった一冊。教科書的な作りの雑さは気になったけれど。

    「クマが出没している地域には近寄らない」そりゃそうなんだけど。ぼくが釣りに行く川の「クマ出没中」看板は何年も出たままで(冬は片付けているのかもしれないが)、教科書通りに行動すると釣りを諦めるしかない。もちろんクマと戦ってでも釣りたい、と思っているわけではないけれど、それって「交通事故の危険があるので、車が通る道を歩いてはいけません」みたいなものだよね。だいたいそこに住んでいる人がいるのに。
    でも「クマに背中を向けて逃げてはいけない」は覚えておきたい。万一クマにあったら、目を離さずに静かにゆっくりあとずさりをして離脱するのがよいらしい。また「クマに取られた荷物を取り返そうとしてはいけない」「くまスプレーは効果あり」も。「ナタなどの武器は左右に装備すべし。クマと格闘になったら、鼻と口の間が急所」はどうしよう。

    萱野茂はアイヌ民族にしてアイヌ文化の研究者。本人が書いているわけではないと思うけれど、本書のクマノウハウの背景にアイヌの知恵があると思うと重みが違う。

  • #58 決してクマに背を向けて走って逃げてはいけない。
    クマは時速50kmで走る。
    野性動物と共存できる森をつくり守る。

  • これからの時期、山でクマとバッタリとならないための本。もしくは、なってしまったときの対応など。過去の事故例なども交えて説明してあります。クマが「わるいクマ」になってしまう一端は、人間の身勝手なゴミのポイ捨てなどで人間の食べ物の味を知ってしまうと知り、人間と自然についても考えさせられました。(P.S 自然の中のヒグマの写真などもカラーで掲載されています)

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1926─2006年。北海道生まれ。アイヌ文化研究者。学術博士。長年アイヌの民具や伝承を精力的に収集・記録し、1972年には二風谷アイヌ文化資料館を開設、館長を務める。1994年、アイヌ出身者としてはじめて国会議員となり、北海道旧土人保護法撤廃・アイヌ文化振興法制定などに尽力。主な著書に、『ウエペケレ集大成』(アルドオ、菊池寛賞)、『萱野茂のアイヌ神話集成』(ビクターエンタテインメント、毎日出版文化賞)、『萱野茂のアイヌ語辞典』(三省堂)がある。

「2017年 『アイヌ歳時記 二風谷のくらしと心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

萱野茂の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×