あなたは僕を愛していない (ルナノベルズ)

著者 :
  • ムービック
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本棚登録 : 118
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896017953

感想・レビュー・書評

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  • 「シナプス」の海棠先生が受ということに意表をつかれました…絵師さんも佐々木センセじゃなくて小山田センセになっていたのは、出版社も違うせいなのかな?

    交通事故で生死を彷徨った海棠が、もう一度会いたいと神に祈ったのは金髪碧眼の天才脳外科医ミハイル。忘れようとして忘れられなかった男に会うためにベルリンに来て、彼にはマリオンという大切な人がいることを知ります。
    それでも、海棠は献身的というか健気というか、その場に留まりミハイルとマリオンのために身も心も尽くそうとします。
    海棠は女々しい感じがなくて、男としての矜持をしっかり持ち合わせているのがいいです。マリオンじゃないけど、ピエタのマリア様みたいなイメージがあります。
    くせものはミハイルでしたね。ツンデレというか、ゆがんでるというか、素直じゃない。本音がまったく見えない男を最後まで貫いています。なので、マリオンのノートに海棠が気づかなかったら、すごいすれ違いラブのバドエンになってたに違いない…
    ミハイルは金髪碧眼、天才脳外科医の見掛け倒しですが、ダメダメなところがわかったら、かえって愛しくなっちゃうキャラです。

    そして、そんな彼のバックグラウンドを支える作者さまの凄腕な描写力!ベルリン、東欧の情景描写や、歴史的背景を単なる観光案内的説明に終わらせず、ミハイルやマリオンなど登場人物の生き様にしっかり重ね合わせているところは心を鷲づかみにさせられます。華籐センセは、そういうところがすごい。ハンパな文芸作品読むよりずっと心に響くものがあるし、作品としてのレベルも高いと思います。

    でも、作中クスッと笑わせてくれるところがあるのもステキです。
    忘れろと言いつつミハイルが心のモヤモヤをマリオンに話してたのが、まさか「忘れること」で記録されているとは恥ずかしすぎ。小山田センセと同じところでツボった。
    「エゴイストMの憂鬱」はサービス満点なSSで、ミハイル視点のとても残念な攻様の煩悩がかわいすぎです。
    特典SSも、やっぱりミハイルのいじわるが残念で笑いました。泣いちゃうなんて、海棠どこまでいじらしいのか…

  • 誰よりもお互いを理解し愛し想いあっている二人のすれ違う恋心
    故国、宗教、人種、育ちなど複雑なお互いの背景と不器用な大人の弱さによる両片思いと、死に逝く愛する者への懺悔の想いに引き込まれます。華藤えれな 先生は揺れ動く心情の描きが素晴らしいんですよねぇ!!

    ドイツ、ヨーロッパの歴史的背景のほの暗さ、街並みは見えるようで話の中にどっぷり浸れました。
    あとがきに「大人の純愛」とありますが、確かに!なんですが、一臣の想いは純愛、ミハイルは弱気執着愛のような(笑)後日談は笑えましたw

    マリオンとオスカーの純愛は泣けました。

  • 泣きました。

  • あらすじを読んで、始まりからあまりにも切ない内容だったので、最後まで読めるかな~と心配だったけれど、途中から涙無しでは読めない内容に、一気に読み終わった。
    お互いがどれだけ求め合っていても、その心を隠して身体だけの関係を続けなければならない辛さと、身体を繋げているときだけがお互いを独占できる切なさ。
    そんな関係を強いなければならない二人の間に、余命いくばくかの愛らしい存在が氷の心を溶かし、霧を晴らしてくれる。
    登場人物の誰もが優しく、美しい心で医療という現場で闘っている。
    日本は島国だから、内紛も民族間の争いも身近には感じられないことだけれど、自分の国を失い、これまで絶対とされてきた指針を180度変えられ、同じ国の人間同士が戦い殺し合う、そういう世界に生きてきた人が、どれほどの深い平和を願うのか、そんな人たちを研修生だった頃から主人公一臣の笑顔が支えてきたんだろうなと思う。
    心の中にどんな傷があろうと、人を大切に想い信じる掛け値なしの一臣の笑顔は、故郷を戦火で焼かれ、家族を亡くし、国を無くした登場人物たちにとっては眩しいほどの平和に満ちていたのかもしれない。
    結末に向かうまでの流れは、本当に涙無しでは読めなかったけれど、最高のエンドになったんじゃないかな。

  • いや……私、ハードなBLは苦手なんですけど、腐友に押し付けられて、読みました。
    かなりエッチな描写もあって、「これは大阪府じゃ発禁になるかも」と思いながら読んでいました。

    でも、ストーリーは切なくて、読んでいて思わず泣いてしまいました。
    すっごく胸に迫ってくるものがあるっていうか。
    ビターテイストな、大人の恋でした。

  • 天才脳外科医だった海堂は事故により右手を損傷してもう以前の様な手術が出来なくなってしまった。そんな時昔愛した男のいるベルリンの病院へサバティカル休暇を取って再び向かえる事になり。
    病院で再会したミハイルは相変わらず冷めていて「使えない医師など、ただのゴミだ」と言い放つ。
    ショックでその場を離れた海堂が偶然出くわしたのは複数の男に喜んで嬲られている美しい少年。
    彼がミハイルの大切にしている異母弟、マリオンだった。
    マリオンは脳に重い障害があり手術不可能で余命も僅か。そんなマリオンが一目で美しく優しい海堂を気に入って天使さん、と呼び懐いてくる。
    非情な迄のミハイルの態度に心痛めながらもマリオンとミハイルを守る為に身体を張る海堂が痛々しかった。
    その日の出来事を忘れてしまうので忘れたくない事を書いておくマリオンのノートの文章がたどたどしくけれど胸を打ちます。
    最後の力を振り絞ってモザイクを完成させたマリオンが残していったノートのお陰で二人は幸せを掴めたのですね。
    読み終わったら無意識に涙が零れてしまいました。
    愛は人を感動させますね☆〜
    華藤先生はウイーンへ留学経験があるんですね。
    海外に住んだ事のある方の文章にはあちらの香りが文中に漂っている気がします。それは自然と。

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