逃れの森の魔女

  • ネオテリック
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784899980032

感想・レビュー・書評

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  • お菓子の家、ヘンゼルとグレーテルの登場は後半だけど、どうして魔女がそうなったかがわかる。
    知ってるつもりの物語にもこんなサイドストーリーが。

  • ヘンゼルとグレーテルがどんなふうになるのかと楽しみでした
    へ~~と言う感じ
    悲劇です

  • 金原瑞人オフィシャルホームページ内「トーハン通信 第9回」(http://www.kanehara.jp/osusume/tohan/tohan1.htm#anchor9)をきっかけに。

    ヘンゼルとグレーテルのパロディ。もっともパロディというよりも再解釈に近いかも。
    読み始めはどうつながるのか全く分からなかったが、だからこそ、我々の知るヘンゼルとグレーテルの話に近づいた時の魔女の気持ちがより伝わってくる。
    愛情もあって、人を救っていたからこそ、悪魔にとりつかれても森に逃げて。それでお菓子の家を作る点にヘンゼルとグレーテルのある種の抜けを合理的に補完していると思った。サラマンダーだからこそ痛みを感じずに死ねて、そこは救いだとも思った。
    宝石で物語に色合いを付けながらうまく語られていると思った。女性中心で語られ、グレーテルが姉としてふるまうことも思い返せば違和感だが、読んでいる間は気にならなかった。
    再解釈の面白さを感じさせる作品。

  • 童話「ヘンゼルとグレーテル」に登場する魔女を主役とした、悲しいパロディ。
    醜いながらも美しい娘に恵まれ、子供達を救う為に悪魔を掌握する術を身につけた主人公。
    その心は純真であり、神や美を崇める優しい人間であったがとあることから術が失敗してしまい…

    ◆結末は何もかわりませんが、見方は大きく変わります。
    用意された絶望に近づていくラストは胸を焦がされるようですが、それでもなお自らの信念を貫き通す主人公は美しい。

  • そう来たか。

    序盤はどの辺りが『ヘンゼルとグレーテル』なの?
    って思ったけれど、いやはや、その切り口か。

    オリジナルから切り口を変えたという面白味だけでなく、一つの物語して感動を禁じ得ない。
    単純に善と悪を描くだけではなく、あくまで一人の存在として捉える視点がユニーク。
    願わずも魔女となってしまった苦悩や葛藤や絶望、そして最後の最後で照らし出される救い…。

    読み始めた時にはこんなに感動するとは思わなかった。
    著者の他の作品も読んでみたいと思う。

  • 今までずっと悪い奴だと思っててごめんよ、魔女。面白かった。

  • グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」の「お菓子の家の魔女」を主役にしたパロディ本です。
    悪いと思われていた人は実は・・・という、パロディの典型的な手法の一つがとられ、
    如何にして「お菓子の家の魔女」になり、何故グレーテルに殺されるに至ったか?
    を描いた悲しい物語です。
    童話を元ネタにしているだけあって、描写のレベルも童話と同じくらいになっています。

  •  再読。ヘンゼルとグレーテルを題材に「魔女は何故暗い森にお菓子の家を建て一人で暮らしていたのか」「何故山ほどの宝石を持っていたのか」「何故グレーテルにあっさり殺されてしまったのか」という疑問を解釈したパロディ。
     私の二次創作のスタイルはこれが原点なのかもしれないと思ってたんだけど、読み返すとこれも母の物語で「私はどんだけ母子系統の話が好きなんだよ」とちょっぴり苦笑。
     もしかしてヘンゼルとグレーテルの母は……と思うんだけど、二人がアーザの名に聞き覚えなかったから違うかなあ。魔女の継母への感情や双子を産んだ幻視を見るに何かありそうなんだけど。
     魔女さんの性格は敬虔で慈愛に富んでいるのに、自惚れやすいという欠点があってそれが後々まで悲劇を生んで、物語の主軸になっているのが見事。訳者さんあとがきの「最高峰のパロディ」という評価がこの上なく似合う作品だと思います。

  • ヘンゼルとグレーテルをモチーフにしたお話。
    結末はわかっているのに、どうか、ああどうか救われてくれと願ってしまう。
    じっくり味わいたいのに、ページをめくる手が止まらなくて一気に読んだ。
    このとんでもねえ臨場感。

    境界。あちらがわとこちらがわ。
    重ねることがあったとしてもグレーテルはあくまでグレーテルで代替物ではない。というところに安心した。
    娘たちは幸せになれるのかな。


    金原瑞人のあとがきに同感。
    桐野操とかか。

  • ヘンゼルとグレーテルが迷い込んだ森で見つけたおかしの家。そこに住む魔女の側から描かれた物語。なぜ魔女は魔女になったのか、その栄誉と一瞬のすきをつかれた過ちによる崩壊の落差、そして炎に身を焼かれる最期のシーンにいたるまでの彼女の苦悩と、勝利への喜びに満ちた心の叫びが、あまりにも強く、悲しく、美しかった。今度『ヘンゼルとグレーテル』を読む機会があれば、魔女に対して、またグレーテルに対して、今までとは違う目で見ることができそうだ。

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