民主主義への憎悪

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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784900997189

作品紹介・あらすじ

不平等の拡大を条件の平等にすり替え、社会問題を脱政治化する新たな支配のイデオロギーを撃ち、資本=国家に抗する政治を露出させるランシエール政治哲学のアクチュアルな展開。

感想・レビュー・書評

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  • 民主主義への憎悪
    (和書)2011年06月24日 19:56
    ジャック・ランシエール インスクリプト 2008年7月7日


    柄谷行人さんの書評から読んでみた。

    民主主義とは何なのかということ、何故憎悪されるのかを知るには良かった。

    高次元での回復としての民主主義というのはイエスのいう『汝の敵を愛せ』という意味で成立するアソシエーションとしてあるのだろうと思った。

  • デモクラシー批判についての批評の本だったという認識で、ところどころの言葉のセンスがタイトルも含めて刺激的だった印象がある。また扱っているトピックが難解に感じられて、全体的に惹かれつつも、悩みながら読んだ感覚もある。

  • 欧州、特にフランスにおけるリベラルの背景を知りたくて落手。正直言えばあまり首肯出来ない内容であったが、民主主義(デモクラシー)に対する(欧州のリベラルの)基本的な考え方を知ることが出来たのは成果か。

    ハッとしたのは『デモスおよびデモクラシーという語は最初、公共的存在となる条件を満たしていない人々が公共の事柄に口出しすることを非難する侮蔑的呼称でした。(p.148)』という下り。

    この引用は、普遍的な命題を我々に与えてくる。

    訳者解説(p.163~)にも、『条件を満たしていない人々』が『社会的な不和を生み出す(p.164)』と挙げる一方で、いわゆる右派と左派の対立の淵源について、右派が(左派の)デモクラシーへの単純な信奉を批判することに対して、プラトンやアリストテレスなどを援用して論駁する。『普通選挙権は、寡頭制から生まれた混合形態であり、民主主義の闘いによって方向をずらされるが、たえず寡頭制によって元に戻される。寡頭制は、選挙民がくじ引きの民であるかのようにふるまう危険をけっして排除できないとしても、候補者や時には政策の決定まで選挙民に委ねるのである。(p.75~76)』つまり、『代表制は寡頭制の妥協形式(p.173)』と喝破する。ここで「共和主義」と「民主主義(デモクラシー)」の相克が生まれる。

    『共和主義とデモクラシーが決定的に異なるのは、全社が平等を目的としているのに対して、後者は平等を前提としていることがある(p.176)』

    斯様にして「自由」や「リベラル」を正しく論じたりするには、ある程度の本を渉猟する必要があり、それがそもそも「民主主義」の実現を困難にしてしまっているような気もしないではない。この点が、個人的に単純な政治体制論や主義のありようの議論の前に、ここに至るまでの歴史や主義についての教育の重要性を思うのだ。

    それを閑却しての議論は、結果的には『公共的存在となる条件を満たしていない人々』をむやみに増やし、社会不和を生み出すだけなのだと、半ば暗澹たる思いに至るのだ。

  • 「イメージの運命」の方が、これかな?って感じ

  • 【目次】


    勝利した民主主義から犯罪的な民主主義へ
    政治あるいは失われた牧人
    民主制、共和制、代表制
    憎悪の理由

    *****

  • 【目次】


    勝利した民主主義から犯罪的な民主主義へ
    政治あるいは失われた牧人
    民主制、共和制、代表制
    憎悪の理由

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著者プロフィール

1940年、アルジェに生まれる。パリ第8大学哲学科名誉教授。1965年、師のL.アルチュセールによる編著『資本論を読む』に参加するが、やがて決別。1975年から85年まで、J.ボレイユ、A.ファルジュ、G.フレスらとともに、雑誌『論理的叛乱』を牽引。現在に至るまで、労働者の解放や知性の平等を主題に、政治と芸術をめぐる独自の哲学を展開している。著書に、『プロレタリアたちの夜』『無言の言葉』『文学の政治』『解放された観客』ほか多数。邦訳に、『不和あるいは了解なき了解』『民主主義への憎悪』(インスクリプト)、『感性的なもののパルタージュ』(法政大学出版局)、『イメージの運命』(平凡社)ほか。

「2019年 『無知な教師〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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