サラスの旅 (-)

  • ゴブリン書房
3.65
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本棚登録 : 74
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902257250

作品紹介・あらすじ

ロンドンの児童養護施設で育った、14歳の少女ホリー。里親になじめず、学校にも居場所を見つけられずに、いつか故郷のアイルランドにもどって、母親と再会する日を夢見ていた。ある日、ホリーは引き出しの隅にしまわれた、ブロンドのウィッグを見つける。ウィッグをつけると、鏡の中の自分はぐっと大人びて、最高にクールでゴージャスな女の子-サラスに変わっていた。里親のもとを飛び出し、アイルランドめざしてヒッチハイクの旅に出たホリー/サラス。いくつもの出会いをかさね、記憶のかけらをたどりながら、旅の終わりにたどりつくのは、夢に見たあこがれの地?それとも…。

感想・レビュー・書評

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  • 過去読書本。読書メモは残っていないがこのお話は好きだったと記憶している。少女サラス(ホリー)のロードノベル。嫌なところからは逃げてよし!自由に生きるのだ!って気持ちでずっと応援しながら気持ちよく読んだ覚えがある。内容をあんまり覚えていないのが残念なので是非再読したい。

  •  ロンドンの児童養護施設で育った14歳のホリー。母親と再会するためにアイルランドに行くことを夢見ている。
     ママとその恋人のデニー、そして幼い自分が一緒に過ごしていた時の記憶が断片的に思い出される。その度に母への愛と故郷アイルランドへの想いが募っていくのだ。
     道中のヒッチハイクや無賃乗車など、ハラハラする展開もある。しかし最後にホリーが児童養護施設で暮らさなければならなくなった出来事が明かされた時、ブロンドのウィッグを身に着け、サラスに変身しなければならなかったホリーをやっと理解することができた。それは本当に辛いものだった。

  • 「ボグ・チャイルド」「怪物はささやく」のシヴォーン・ダウドさん。
    施設(ケア・ホーム)育ちの色々問題を抱えた14歳の女の子ホリーが良い感じの里親のところへ行くのだけど、どうしても素直にはなれず、偶然里親の家で見つけたかつら(これが彼女が罵っている優しい里親のものだということが何となく象徴的)を被ることでもっと年上で自信に満ちた分身(サラス)となり、母親を捜しにアイルランドへヒッチハイクして行こうとする。その旅の話。
    小さい頃に離れ離れになったきりの母親を一途に慕うホリーの気持ちが切ない。母親との別離はホリーが言っているとおりではなかったのだろうとわかってはいるけど、それでも後の方で知る真実は思っていたよりずっと辛い。その真実にひとりで向き合えたホリーの成長は素晴らしい。
    14歳の女の子が18歳に見えるような格好をしてする一人旅には危険がつきまとっているけれど、でもたくさんの良い人達に会えたのだから、やっぱり価値はあったのだと思う。そういってよければ必要も。
    少女の丁寧な心の動きの書き込みは素晴らしいと思うのだけど、でも「怪物はささやく」のあの迫力の展開力はパトリック・ネスさんのものだったか、とも納得。シヴォーンさんの語りはあくまで穏やか。そこに光るものがある。(ネスさんの怒涛の筆致も好きだけど。)
    この人にはもっともっと、書いてほしかったなあ……。

  • 設定めっちゃよかった。認識することが癒しになる。お母さんを探してひとりで旅をする間に自分に自問自答して、つらい真実を受け入れるたのがしあわせの扉なんて、すごくいい!でもつくられた感があって微妙にのれなかった部分もある。

  • しばらく前に読了。
    終わりが予想できる展開だけど、途中はけっこうおもしろかった。ご都合主義的に問題が起こってはそれを抜け出すパターンだけど、疾走感のスリリングさがよかった。ただ、愛情に飢えた憐れなホリー、という演出は、やっぱりちょっと気になるかしら。
    アイルランドへのこだわりの強さに、イギリスの事情を垣間見る気のする作品。

  • いつかA40のような道路や鉄道を使ってイギリスを旅してみたいな。
    時間があれば英語の原作も読んでみたい。

  • 人を平気で傷つけたり、物を盗ったり、一見身勝手でどうしょうもない主人公なのだけれど、行間ににじみ出てくるような彼女の孤独感が痛々しい。封印していた母親との過去を乗り越えて、現実を受け入れる一歩を踏み出していくさまが家出という旅を通して描かれている。読み応えのあるYA小説。

  • ウィッグひとつでワイルド&ゴージャスになって自分以外の誰かになりきって、里親から逃げてロンドンを飛び出して、きっとこんなはずじゃない「いま」から逃げるホリー。必要だったのは、自分を知る勇気と時間だったのかもしれません。

    今の自分は本当は違うんだって、壁にぶつかったように立ち止まるてぃーんは多いのではないでしょうか。でも、本当に家出をするのは心配でたまらないので、まずはこの本でも読んで。

  • いい本でした。
    主人公ホリーが出会う人達の中には、魅力的な人も、そうでない人もいて、面白かった。

  • よい作品だったけど、なんというかしんどすぎて、かなりキツイ読書作業となってしまった。
    主人公の性格がひどくて(しょうがないんだけどね)・・。
    菜食主義者のトラック屋さんが一番好ましく見えました。

    虐待って、なんて根強い恐ろしいものなんだろう、とじわじわと怖くなりました。
    クスリ、虐待、やだやだ。

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著者プロフィール

1960年、ロンドン生まれ。オックスフォード大学卒業後、国際ペンクラブに所属し、作家たちの人権擁護活動に長く携わった。2006年、A Swift Pure Cryで作家デビューし、ブランフォード・ボウズ賞とエリーシュ・ディロン賞を受賞した。2007年に『ロンドン・アイの謎』を発表したが、わずか2か月後の8月、乳癌のため47歳で逝去。この作品はビスト最優秀児童図書賞(現・KPMGアイルランド児童図書賞)を受賞した。死後に『ボグ・チャイルド』が発表され、2009年のカーネギー賞を受賞している。遺された構想をもとにパトリック・ネスが執筆した『怪物はささやく』も、2012年にカーネギー賞を受賞した。

「2022年 『グッゲンハイムの謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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