本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784904596043
作品紹介・あらすじ
私小説が「私」を超えたとき、なにが姿を現したか。初期の創作説話から「私倍増」小説にいたる藤枝文学の特異な軌跡を刻印する。
感想・レビュー・書評
-
川上弘美の『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』のなかに本作が出てきて、池の底に沈んだ志野のぐい飲みって・・・と興味が沸いて手に取ってみた。
予想以上に奇想天外で、無茶苦茶で、しかし面白かった。
「イカモノ」のぐい飲みや鉢や茶碗を、庭にある汚い小さな池に沈めて、古色を帯びさせよう、という姑息な手段をとる骨董商の男と、その池に沈められたぐい飲み(池に棲む金魚のC子と恋をする)、皿、鉢がそれぞれに自我を持って語り出す、というのも無茶苦茶だけれど、後半からさらに話はわけがわからなくなり、ネパールの鳥葬の話から、弥勒菩薩やら地蔵やらも登場し、シュールというのか、カオスというのか、とんでもない話の展開をする。
『田紳有楽』は1976年の刊行で、実にもう半世紀近い昔の作品となる。言葉は現代では使わない漢字なども出てくるけれど不思議と古びた印象がない。
普段、自分が好んで手に取る本とはまったく違う出会いがあって、面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全2件中 1 - 2件を表示