昔日の客

著者 :
  • 夏葉社
4.25
  • (103)
  • (77)
  • (35)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 1001
感想 : 106
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904816011

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  夏葉社の本、1冊目(読んだのが、という意味で)。 
     当時の文学者たちに愛された、東京大森の古本屋「山王書房」と、その店主によるエッセイ、32年ぶりの復刊。

     文学者との交流、本との出会いと別れ、東京の古本屋街を巡ったあとの若いタクシー運転手との対話、亡き父との想い出、葬儀のときの想い出・・・。
     どれもが、古き良き時代の空気感であふれていて、滋味ある文章と相まって、ゆったりと読み進むことが出来る。
     
     雨が降ったので買った本を喫茶店に預けるエピソード、「スワンの娘」がいいなぁ。
     私も、田舎から東京に出てきた当時、授業の後でいるもので、大学に持っていくには荷物になるからと、途中の乗換駅の売店のおばちゃんに、「ちょっと預かっておいてもらえませんか?」とお願いしたことがある。まだ、そんな雰囲気が東京にも残っていると思っていたのだろうけど、けっこう意外な顔をされたなと、今でも思い出す。
     この作者の時代、昭和4,50年代は、ごく普通の行為だっただろうな。

     とにかく、何かの役に立つとか、なにか時代を象徴しているという内容ではない。なんてことのない日常の点描なのだが、忘れがたい風景が行間から立ち上がる。なんとも味わい深い。 作者もこう記す。

    「それは私の人生には無用なものかも知れない。が無用なものの中にこそ、言い知れぬ味わいがひそんでいるものだと思う。」

     無用の用、ではないが、なにかと情報過多のこの時代にこそ、見直されるべき価値観を垣間見た気がする。

  • 書と書物、作家の織りなす世界観や人柄への愛情、思い入れを強く感じ、読みながら、自然と微笑んでしまう。

    著者は朗らかな方だったのかなと、勝手に想像しながら、お酒が入った後の唄歌いや踊りを想像する。

    古本を介した人との巡り合わせ、記憶の連なりが温かく、満ち足りた心持ちになる書物であった。

  • 日記集みたいな形式なので、後半少し冗長感が。時代ズレも、読みやすい

  • 本好きの人が好きな古典とも言える一冊。

  • 装丁のもつ雰囲気が、すごい。
    オーラを放ってる。

  • ピース又吉さんのおススメ本で読みました。
    よく知っているところがでてきて嬉しかった。

  • 不忍ブックストリートで版元の方が売っておられたので、何気なく買ってみたのだけど、飄々としたおかしみのある語り口が実に味わい深く、いやこれは拾い物でした。長らく絶版になっていて復刊が待たれていた本だと後で知り。こういう思いがけない出会いがあるから古本はいいよね。

関口良雄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
貴志 祐介
小川 洋子
ロバート・ヘンラ...
ロベルト ボラー...
冲方 丁
バーナード・マラ...
フェルディナント...
マリオ・バルガス...
中島 京子
アントン・チェー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×