世界認識のための情報術

著者 :
  • 金曜日
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906605453

感想・レビュー・書評

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  • 【由来】
    ・はじめてのマルクス

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】

  • 政治、外交に関する理解を深める一助になる。

  • 本当にやりたいことがある人に神様は必ず場所を用意してくれる。
    現実の政治、特に国際政治は露骨な暴力の論理によって動いている。国家を主語とした、国家あるいは完了の内在的論理と全く噛み合わない意義申し立てに完了は全く耳を傾けない。
    毎日最低4時間、執筆している作品と直接関係ない本を読むことにする。読書は本を読んでから一定の時間をしないと、その内容が頭の中で発酵しない。

  • 保守系の論客を辞任する筆者が『週刊金曜日』に連載していた文章を初め、独立した論考2本。さらには400字詰め原稿用紙100枚を書下ろしとして加えてまとめたものです。筆者の懐の大きさを思い知らされます。

    本書は保守系の論客を自認する佐藤優氏がなぜ『週刊金曜日』に執筆を行ったのか?その疑問に佐藤氏自身が答え、連載当時の世界および日本国内の時事時評を独自のインテリジェンスの視点で構成し、組み立てた「飛耳長目」に加え、400字詰め原稿用紙100枚を書き下ろししたものです。

    全体的なことは当時他誌にも連載していた文章と内容そのものは変わらないのですが、問題は掲載誌で、これが週刊金曜日という媒体に掲載されたということが本当に驚きでありました。しかし、その中でもここでしか読むことのできないものは多く、たとえば、筆者が鈴木宗男事件に連座して『小菅ヒルズ』に512泊513日間の拘留生活を送るという経験を通し、自らの思考が官僚特有の『暴力性』があったということを認め、反省するくだりや、北方領土返還の上司でもあり盟友でもあった東郷和彦氏が外務省の混乱の中で、辞表を出すよう背間されたとき、それを突っぱねた時、
    「東郷さん。あなたは切腹ではなく、打ち首を望んでいるんだね」
    というまことに持って衝撃的なことを言い放たれたというエピソードは本当に読んでいて身の毛がよだつような空恐ろしさを感じました。

    また、ここでは読者からの登校に筆者自身が応じる回もあり、『週刊金曜日』といういわば「アウェイ」の状況にあるにもかかわらず、あくまでも誠実に読者からの批判に答える姿勢は敬意を持ちました。ここでは「靖国問題」「機密費」「琉球処分」「プーチン流イデオロギー」「北朝鮮核実験」…30のキーワードを手がかりとして筆者は論陣を張っておりますが、本書が出版された2008年当時と現在のロシアの状況。筆者の当時の予測と現在の状況の「ズレ」を自分の頭の中で読みながら整理しつつ、ここに書かれていることが形を変えて現在によみがえってきているな、ということも感じ取っていただければ、幸いに存じます。

  • さすが元外務官僚だけあって、内実を詳細に論じてくれていることに感謝。
    政治とは一体何なのか、思考を促される一冊である。
    特に集団自決問題などで、保守側からも、それらを肯定する人たちがいる、という点で安心できた。

  • まず「週間金曜日」への思いから始まる。著者のキリスト教徒として、マルクス経済学の知識をもって、人類の進むべき道について、考察している。一人たかみにあって世界を論ずるよりも、自らが社会の一員として「フィールドはこの世である」という言葉に共感し、外交官として、国というものを考え、社会というものを考えてきたのだという。そして左翼系週刊誌でありながら、右翼的保守系の佐藤優の論説を掲載する「週刊金曜日」の知的誠実さに敬意をしめし、自らの思想とは真逆の思想についても、その考え方を真摯に聞こうとする姿勢に共感を示している。

    まずは対ロシア外交について、外務省の知的衰退を憂いている。ロシアのシグナルに築かず、逆にロシアに意図しないシグナルを与え、無用な摩擦を生んでいる、現状を憂える。
    対中国外交についても同じだ。上海総領事館員の自殺問題について、外務省が中国政府に強い姿勢を示さないのは、中国公安当局と現地日本大使館のなれ合い体質のためだという。大使館員の不祥事を公安にもみ消してもらったり、日本政治家のスキャンダル情報を得ている等のするなれ合いから、強い姿勢がとれないのだ。
    機密費についても、外交官の使い方に警鐘をならす。確かに、外交においてどうしても金が必要なときもある。しかし、今の外務省ではほとんどないのだという。ほとんどが私利私欲のためだという。このため、使途を公表し、外務官僚の反省を求める方が有効だという。
    嫌韓流について、感情的に反応する外務官僚が増えていることについても警鐘を鳴らしている。
    イラン問題について、石油の利権、反ユダヤ勢力のより、欧米各国と足並みをそろえず、イランとの友好関係を維持する日本政府に意義を唱えている。イランと北朝鮮のとの黒い関係が伺えるにも関わらず、親イランの姿勢を示すことは危険だ。イスラエルからの強い警告にも外務省は無頓着だ。
    靖国問題について、佐藤氏の上司、東郷氏の言葉が印象的だ。「靖国モラトリアム」によりもっと中国や韓国と腹の底から話し合い、真の融和を勝ち取るのだという。
    袴田茂樹教授の北方領土ビジネス。飯の種がなくなると困るから、真剣に解決を望んでいないのだという。
    北朝鮮外交について、中国やロシアとの関係強化が北朝鮮の譲歩を促す。
    山崎拓氏の北朝鮮訪問について、外務省は二元外交として批判する。しかし、佐藤はあらゆるチャンネルを駆使し、それを束ねていくことの重要性を説く。山崎氏への批判は単に外交を外務官僚が独占したいだけのことだ。
    自殺した松岡農林水産相と佐藤氏が親しいつきあいだったとは思わなかった。そうして親しいつきあいではあるが、あえて主張している。国民に隊sてい十分な釈明をせず、嘘をつき、最後に自殺をすることに対する無責任さについて、厳しく主張している。逆に著者の誠意を感じる。
    ロシア情勢についても面白い。プーチンは、新自由主義を警戒し、また、共産主義を使い物にならないことを自覚しているが故に、その思想は苛リアのファシズムににているのだという。そして、メドベージェフと新たなイデオロギーを構築していこうとしているのだという。ロシアは伝統的にエリートが国民を引っ張っていくスタイルだ。国民をエリートを清貧だとは思っていない。
    中国餃子問題について、新自由主義における社会的問題ととらえるより、中国人の対日感情が「適当な製品製造」を行わせているのではないか、という著者の考え方を示されている。

  • 皮膚感覚で知ることの重要性。

    この本を読んであらためて実感しました。


    暴力的にならないように気をつけようか♪

  • こういうふうに物事を考えられるようになりたいです。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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