吉田知子選集II 日常的隣人

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  • 景文館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907105013

感想・レビュー・書評

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  • とても面白かった。今回は短編のほとんどで会話が可笑しくて笑ってしまうところが多く、笑っているうちに読み終えた。けれど、常の無駄のない文体と独特のテンポの良さは変わらず。特に良かったのは、老夫婦の日常があれよあれよという間にとんでもないことになるけれど、でも…という「日常的夫婦」ブラックユーモア満載の「日常的美青年」のっけから面白すぎる会話が続いて、結果丸ごとおかしい「日常的患者」。選集は3で止めずにぜひ4、5と続けて出してほしい。それが無理なら個人的な好みで単行本の「お供え」をぜひ再版してほしい。「お供え」が他のアンソロジーによく取り上げられるのは、文章の無駄のなさや洗練度が際立っているからだと思うが、収録作の「祇樹院」(あっという間に状況が暗転する様子が胸苦しくなるように描かれて、結末も呻いてしまうくらいゾッとする)や「うしとら」(←漢字変換できない、昔聞いた地獄の一番つらい所をそのまま再現したような話)など、好きすぎる短編ばかりなので。

著者プロフィール

1934年生まれ。’70年「無明長夜」で芥川賞を受賞。’84年「満州は知らない」で女流文学賞、’92年「お供え」で川端康成文学賞、’99年『箱の夫』で泉鏡花文学賞、’00年、中日文化賞を受賞。他に、吉田知子選集(1)~(3)など。

「2018年 『変愛小説集 日本作家編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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