ショートショートの缶詰

著者 :
制作 : 田丸雅智 
  • キノブックス
3.02
  • (1)
  • (11)
  • (25)
  • (12)
  • (0)
本棚登録 : 179
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908059384

作品紹介・あらすじ

古典的名作から現代の傑作まで、ショートショートの旗手・田丸雅智がこよなく愛する24作を編んだSSのベスト版!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今、ショート・ショート界を引っ張る若き作家、田丸氏がセレクションしたショート・ショートの名作集。田丸氏の好みなんだろうけど、不思議な余韻を引く作品が多いですね。

    『家具屋の小径 江坂遊』☆☆☆
    男が子供の椅子を買おうとたまたま見つけた家具屋は入る。店に入ると雰囲気が少しおかしい。店員は横柄で男の職業や素性を尋ねる。いい気はしないが、店に置かれている家具はどれも素晴らしいものばかりだ。男は店員に連れられ、店の奥へ向かう・・・・・。

    不思議系な話ですね、超有名なあの作品とあの作品のアイデアを混ぜ合わせたオマージュか?

    『池猫 筒井康隆』☆☆☆☆☆
    これは3ページの特に短いホラーっぽい作品。あらすじを書くともう全部ネタバレしそうなのでかけないが、このラストはすごい。頭の中にとんでもない映像が湧き上がる。読後しばらく口をぽか~んと開けて余韻を楽しめる。

    『ザリガニ様 北野勇作』☆☆☆
    日本の田舎って謎の風習があったりすることがありますよね。で、その云われって結構怖い感じのもの多かったりする。そのあたりから発想された作品なんだろうなぁ。不思議でありえないけど、もしかしたら、なんて思わせる作品。

    『シミリ現象 高井信』☆☆☆☆
    有史以来の奇妙な日、街を散歩するこの物語の話者。確かに奇妙な出来事を次から次へと眺めることになるが、話者は意外に冷静。なぜなら・・・・・。

    『草之承の物語 江國香織』☆☆☆
    ロマンチックなストーリーですね。あの超有名映画「○ー○○」のテイストも感じさせる。

    『闇の中から生まれる者たち 三川祐』☆☆☆☆☆
    これはすごい。ラストの謎解きで衝撃。〇〇を愛する人にとっては、超感動の作品ではないでしょうか。

    『鍵 星新一』☆☆☆
    こうしていろんな作家のショート・ショートの中で、星作品が入っていると、星氏の作品の特徴みたいなものがよくわかりますね。ショート・ショートだから短いわけですが、書いているテーマはたいてい大きいですよね。
    2017/11/28 04:47

  • アンソロジー。ショートショート。
    やっぱりショートショートは読みやすい。
    古い作品より、新しめの作品のほうが好みかな?

    小松左京「上る」
    シンプルな内容ながら、結末の切れ味が鋭い。
    須永朝彦「月光浴」
    ファンタジー。ブラックな結末が印象的。
    北野勇作「潮干狩り」
    著者らしい、軽めのSF設定と、穏やかな雰囲気が心地良い。
    岡崎弘明「自転する男」
    2ページ。微かなSF要素あり。なんとも不思議な話だ。
    星新一「鍵」
    たぶん既読。流石の面白さ。この一冊のベストでしょう。
    泡坂妻夫「固い種子」
    ブラックユーモア。これもなかなか。

  • ショートショート作家の田丸雅智さんが、様々な作家が書いたショートショートをまとめた一冊。いわばショートショートのオムニバス作品。
    作家川端康成や詩人谷川俊太郎からショートショートの名手、星新一などの作品がまとめられている。

    ショートショートいえば星新一のイメージが個人的に強く、少しSFチックな作品を連想する。これを読むとそれも、あくまでショートショートの一面に過ぎないことが分かった。ショートショートという形式の上で、短いながらも作家ごとに特徴が出た作品は読んでいて飽きない。
    作品集としても楽しめるのに加え、これを足がかりに作家の他の作品を手に取ることにもつながる一冊でした。

    【個人的に面白かった作品】
    ・「残されていた文字」井上雅彦
    紙面で読むからこそ分かる作品の表現の巧みさ。
    ・「池猫」筒井康隆
    淡々と描いているから伝わってくる場面の異形さ。
    ・「ザリガニさま」北野勇作
    「地方にこんな風習あるかも」と思ってしまう。
    ・「シミリ現象」高井信
    日本語の面白さ。
    ・「草之丞の話」江國香織
    読んだ後になんだか温かな気持ちになる一冊。これを読んで江國さんの作品を購入した。
    ・「潮干狩り」北野勇作
    当たり前でありそうで、なんだか変な話。
    ・「自転する男」岡崎弘明
    結末の急展開に驚く。このあとどうなってしまうのかとドキドキする。
    ・「闇の中から生まれるもの達」三川祐
    結末でなるほどと思わされる。結末を分かった上で、改めて最初から読み返した。

  • 面白い話、面白くない話、読みやすい話、読みにくい話、色々読めてよかった。
    一つの話が短いので気軽に読める。
    月光浴、鍵、固い種子は特に面白かった。

  • 星新一をよく読んでいた学生時代を懐かしく思い、図書館で借りた。川端康成の作品はショートショートで括れるかは、分からないが最も印象深いものだった。

  • 朗読用に、と借りてきてみた。
    いくつか、面白そうに読めるものがあったけど
    結局、別のものを選んでしまった。
    24作品あるのだけど、
    ジャンル的には
    不思議話というか、?みたいなものが多かったり。
    この人、こういうのも書くんだ、とも思ったり。

    本を読むのが苦手な人でも
    サクッと読みやすいと思う。

  • 1時間40分

  • 短編集。20人の作者さん。
    サクッと読めるから、こういうの時々読みたくなる。星新一好きだなぁ。

  • ショートショート作家の田丸氏が厳選したショートショート。

    どれも不可思議で空き時間にさくさく読めるのでショートショートって面白いよね。
    正直これはつまんないなあっていうものあったけど、鍵の星新一さんのはやっぱりすごいなあっていう感じ、さすがショートショートの神様だなあというまとまりと内容。

    以下印象に残ったものだけ。

    草之烝の話ーサムライを父にもつ僕が幽霊の父と過ごしたわずかな時間ー江國香織さん

    月光浴ー商人が持ってきた不思議な薬のせいで小さな動物にされてしまった傲慢な王族の家族たちー稲垣足穂さん

  • やはりショートショートは私は苦手なんだとわかった。

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

(著者プロフィール)
田丸雅智(たまる まさとも)

1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部卒、同大学院工学系研究科修了。
2011年、『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載され作家デビュー。
12年、樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。
「海酒」は、ピース・又吉直樹氏主演により短編映画化され、カンヌ国際映画祭などで上映された。
坊っちゃん文学賞などにおいて審査員長を務め、また、全国各地でショートショートの書き方講座を開催するなど、
現代ショートショートの旗手として幅広く活動している。
書き方講座の内容は、2020年度から小学四年生の国語教科書(教育出版)に採用。
2021年度からは中学一年生の国語教科書(教育出版)に小説作品が掲載。
17年には400字作品の投稿サイト「ショートショートガーデン」を立ち上げ、さらなる普及に努めている。
著書に『海色の壜』『おとぎカンパニー』など多数。
メディア出演に情熱大陸、SWITCHインタビュー達人達など多数。

「2023年 『憂鬱探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田丸雅智の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×