ピアリング戦記 日本のインターネットを繋ぐ技術者たち

著者 :
  • ラムダノート
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908686146

感想・レビュー・書評

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  • まさに技術とビジネス、人と人、企業と企業の口伝でしか伝わらないような歴史・政治の話が凄い。
    特に第3章のインタビューによる90年代、2000年初頭の各社各団体の思惑の話が興味深くて面白かった。
    今自分が当たり前のように利用しているインターネットも、何がどうあって成り立っているのかを知れる貴重は1冊だと思う。

    『インターネットの将来っていうのは、案外と厳しいような気もしますね。強者の論理というか、強いものに勝てなくてどんどん寡占化していくという傾向にあります。しかし、そのような形では健全なインターネットの発展は難しいと思っています。』

  • 紹介者:情報システム工学コース3年生
    オープンな相互接続されたインターネットの背景には、技術仕様だけでなく、
    組織や人々、お金を伴う様々な競争と協調の舞台が広がっている。
    インターネットの舞台裏を解き明かそう

  • ピアリングは、突き詰めるとお金の話であり、それは、すなわち守秘義務の世界の話であり、ISPやIXなど、関わる人たちに、聞き難い話でした。とはいえ、仮に、それを耳にしたとしても、口外できない話と理解していて、ならば、知らない方が良い世界と位置付けることもできるかと思っています。そんな世界が垣間見れる本が出版され、普通の人にも、知ることができる手段ができました。こと、本に記載されている内容であれば、堂々と口外できるわけで、なんとも、健全と思います。

  • 業界(と通信技術)の歴史。
    著者による告知記事はこちら。
    [https://www.geekpage.jp/blog/?id=2022-7-13-1]


    【書誌情報】
    『ピアリング戦記 ― 日本のインターネットを繋ぐ技術者たち』
    著者:小川晃通
    出版社:lambda note
    価格:¥2,000(税込¥2,200)
    頁数:150
    版型:A5判
    ISBN:978-4-908686-14-6
    2022年7月13日 第1版第1刷
    2022年10月31日 第1版第3刷 発行

     いまや世界中のあらゆる社会を支えるインターネットは、特定の国家や組織が管理・運営しているわけではありません。インターネットは、TCP/IPという技術の仕様にしたがって作られた機器やプログラムであれば自由に接続できる、オープンなネットワークです。
     とはいえ、だれもが勝手気ままに自分の機器やネットワークを繋ぐだけでは、世界中を相互に接続するようなインターネットは実現できません。その裏では、さまざまな組織や人により、お金を伴う競争と協調の世界が繰り広げられています。
     技術的な仕様の解説だけでは語れない、人と人を繋ぐネットワーク技術だからこそ立ち現れる生々しい舞台裏を、2020年代の日本のインターネットの大規模構造に影響をもたらした当事者たちへの取材とインタビューをとおして解き明かします!

     本書の主なトピック
    ・インターネットが「ネットワークのネットワーク」と形容されるのはなぜか?
    ・自律したネットワークどうしを繋ぐためのBGPと、その接続形態の1つとしてのピアリングとは?
    ・ピアリングの主な舞台となるIX(Internet eXchange)の役割
    ・日本における主なIXの生い立ちと、そこでのピアリングの実像
    ・ピアリングにも大きな影響をもたらすハイパージャイアンツとは?
    [https://www.lambdanote.com/products/peering]

    【目次】
    はじめに
     本書の構成

    第1章 ピアリングを巡る静かな戦い
     1.1 インターネットはネットワークのネットワーク
     1.2 ルーティングプロトコルとしてのBGP
     1.3 ASを運用する組織と組織を繋ぐBGP
     1.4 BGPの仕組みの基本
     1.5 ポリシーで決まる経路
     1.6 組織の力と対価がBGPの経路を決める
     1.7 ピアリング
     1.8 ピアリングのルール
     1.9 なぜピアリングを行うのか?
     1.10 デピアリング

    第2章 データセンターとその立地
     2.1 BGPルータは同一のL2セグメントで運用される
     2.2 データセンターの価値は入居している事業者でも決まる
     2.3 価値のある拠点は集中しがち
     2.4 新たな拠点に参入するときに考えること
     2.5 2010年代に大阪では何が起こっていたか(インタビュー)
     2.6 堂島問題

    第3章 IXとは何か? 国ごとに違うIX
     3.1 みんなでBGPルータを繋ぐ場としてのIX
     3.2 パブリックピアリングとプライベートピアリング
     3.3 国や地域ごとに違うIX
     3.4 日本のIX
     3.5 NSPIXPが切り開いた日本のIXとピアリング(インタビュー)
     3.6 商用IXの始動:JPIXから見た日本のインターネット(インタビュー)
     3.7 もう1つの選択肢、JPNAPの誕生(インタビュー)
     3.8 アジアを代表するIXとなったBBIX(インタビュー)
     3.9 10年前のピアリング状況とコミュニティ活動によるIXの変化(インタビュー)

    第4章 ピアリング相手の探し方
     4.1 どこで誰とピアリングするか?
     4.2 探し方いろいろ
     4.3 GPFやPeering Asiaなどのピアリングイベント(インタビュー)

    第5章 コンテンツ事業者の台頭
     5.1 ハイパージャイアンツ
     5.2 キャッシュサーバをどこに置くのか?
     5.3 動画コンテンツによるトラフィックの増加
     5.4 プライベートピアリングの増加
     5.5 NTTドコモとピアリングする意味(インタビュー)
     5.6 BIGLOBE が ISP 視点で見てきた日本のトラフィックの変化(インタビュー)

    あとがき
    発起人より

    索引

  • インターネットに関する授業で、ASが最上位の存在としてあり、BGPで相互に接続されているという説明は聞いていたが、具体的に何がどうなって繋がっている(あるいは繋がらないでいる)のかは全く理解していなかった。そのあたりのぼんやりしたところの一端を見せてくれる本。

  • ピアリングの歴史や意義についてわかりやすく解説されている。初心者には最適な良書。かと思いきや、みなさん内情を赤裸々にぶっちゃけてて中級者以降の人たちにとっても面白い内容に仕上がっている。

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