- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909394453
作品紹介・あらすじ
「自然−作る人−食べる人」という関係のあいだに、利他がはたらく。
コロナの影響下で家にいる時間が長くなり、みなが向き合うことになったのは、料理という人類の根本的な営みのひとつだった。「ポストコロナ」という言葉のもと、世界の劇的な変化が語られがちな中、私たちが見つめ直し、変えられるのは、日常の中にあることから、ではないか。
ベストセラー『一汁一菜でよいという提案』等の著書や料理番組で活躍する料理研究家の土井善晴と、『中村屋のボース』等の著書がある政治学者であり、最近は「利他」を主要なテーマの一つに研究をしている中島岳志。
異色の組み合わせの二人が、家庭料理、民藝、地球環境、直観、自然に沿うこと…等々、縦横無尽に語らい、ステイホーム期間に圧倒的支持を受けたオンライン対談「一汁一菜と利他」を、ライブの興奮そのままに完全収録!
【イベント参加者の声】
・視野が一万倍くらい広がりました。
・日常を生きること料理して食べることが利他と地続きだなんて驚きです。
・コロナの自粛期間中は、食品の買い出しと食事作りと後片付け、献立や何を買っておくべきかを考えるのがとても大変で、食事周りのことに時間を奪われているみたいで嫌になっていたけれど、おかげさまで気持ちをリセットすることができました。
・本当に素晴らしい時間でした。まるで和食をいただいたような感覚になりました。一汁一菜と仏教が重なるとは思いもしませんでした。
MSLive!Booksシリーズ創刊第1弾!!
<MSLive!Booksとは?>
ミシマ社が2020年5月にスタートしたオンラインイベント、MSLive!。
「今、まさに知りたい話」を、各分野の一線の方々に、対談や講座などで語っていただく。出版社にしかできない一つの新しい出版の形として、お届けしています。
「MSLive ! Books」は、そんなオンラインイベントのライブ感をそのまま詰め込んだ書籍シリーズです。イベントに参加くださった方々から、イベントの内容を活字化したものを販売してほしいというリクエストをたくさんいただき、実現することになりました。
手に取りやすく、気軽に読み切れるシリーズとして刊行していく予定です。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
料理研究家・土井善晴氏と政治学者・中島岳志氏の対談集。
ミシマ社が開催した2回のオンラインイベントで交わされたお話を1冊にまとめています。
毎日料理をする、ということが義務感に変わり、だんだんと苦痛になってしまう。
バランスのよい健康的な食事をしたい気持ちと、仕事で疲れて料理を作りたくない気持ちの板挟みになって、もやもやしている私のことだ…と思いながら読みました。
土井先生の「いい加減でええんですよ」という言葉は、そんな義務感に囚われていた心をふわりと解放してくれる魔法のようでした。
お二人の対話の中で、すてきだったところをメモ。
・正直にやるべきことをしっかり守って、淡々と仕事をする。すると結果的に美しいものができあがる。
・仏師が一木の中から仏を彫り出すように、自然の中のおいしいものを取り出して、整えていく。
・自然に沿うこと。自然のほうからやってくるものとどう呼応するのか。
・自然と人工のバランスがちょうどいいところをええ加減と言うのかも。
料理の話をしつつも、私たちの暮らし方とか仕事の仕方とか、いろいろな場面で気付きを与えてくれそうな言葉だと思います。
手をかけすぎず、がんばりすぎず、気楽に自然の恵みをいただく。
そんな気持ちで台所に立つと、食材1つ1つに感じるありがたみが今まで以上に増したような気がします。 -
土井先生の言葉はいつも落ち着く。バランスがいい。何かを否定せず、何かを決めつけず、ちょうどいい答えを示す言葉。人を安心させる保健室のような言葉。
そして今回もまた救われた。自分は環境問題にどう向き合えばいいんだろうとずっと悩んでいたけど、台所に立つということが既にそういう行為であると。どんな食材を使おうかと考えることが既に地球と向き合っているわけだと。
パタゴニアがプロビジョンズという環境負荷の少ない食品を販売を始めた。商品の中に入っていた小さなチラシには「食物連鎖の底辺を食べよう」という言葉が書いてあって、その視点はいいなと思ってた。何を食べるかが、もうすでにアクションなのだな。
コロナのおかげで自炊のおいしさに気付けたし、土井先生の本を読んで料理の意味を考えられるようになったのが嬉しい。「こんなんでええんですわ」って言いながらおいしい料理つくっていけるといいな。 -
ちょっともったいないなあ、もう少し味わいながら読みたいなあ、と思いながら、1日で一気読みしてしまった。なにかこう、いろいろなものがつながってくる感じ。映画「ハンナ・アーレント」は観てみないといけない。アマゾン・プライムには入ってなかった。どうしよう。河井寛次郎記念館は、今度お墓参りに行ったときに忘れず寄ってみよう。もう少し暖かくなって、お彼岸時にかなあ。そしてまた、土井さんのあとがきには、田中優子さんの本のことが出てきた。もう、最近、石牟礼道子が読みたくて仕方ないのだが、文庫になっていなかったりで、読めないままでいる。ああ、ポテトサラダが作りたい。でも、玉ねぎとかきゅうりとか下ごしらえが大変なんやなあ。「ええ加減でええ」と言っても、水が出てくるのは雑菌が増えてまずくなるみたいやし。それに、カボチャとか煮たらたいがいにごってしまうし。菜っ葉の炊いたんとか、いもの煮っころがしも食べたいなあ。まあ僕は、週1回、休みの日に料理するだけやけど、それでも出来たらおいしいもんつくりたいなあ。料理することで地球ともつながるわけだし、なんかいろいろ考えてみよ。混ぜるのではなく和えるんやな。味噌汁もつくろ。それから、出雲のぼてぼて茶。知らなかった。毎年2回は島根にある妻の実家を訪れているのに。この正月は帰れないけれど、次、忘れずに飲んでみよ。ミシマ社さん、いろいろおもしろい取り組みされてるんやけど、有料なんやなあ。中島先生のオンライン講座とか、もうみんな無料で、申し訳ない感じやけど、いつも楽しみです。
-
利己主義の時代ではないのだなと思った。利他なんて難しいと思ったけど、家族のことを想って料理を作ることも利他かもと思った。「和える」と「混ぜる」は違うというところは勉強になった。
-
丁寧に、ゆっくりと、ええ加減を探りながら、
食べるひとのこと思いながらつくる料理。
土井先生のやわらかな語りがやさしくわかりやすく、すとんと納得できました。
なかじませんせいの合いの手や、いろんな考え方のことを引き合いに出しての考察もおもしろくて。
頭でっかちな本ではなくて、
とてもシンプルで大事なことを、思い出させてくれる本でした。
対談形式なので読みやすいし、装丁もすてきです。 -
ふと、本屋で目に止まった本。
明日からのお弁当づくりがちょっと楽しみ。 -
いま世の中がぐちゃぐちゃで、いろんなことが悪い方向に行っているようにしか思えず、一人暗い気持ちでふさぎ込んでいた時に、本棚の中にあったこれに目が止まった。買ってあって読んでなかった本。
自分にできることに目を向けさせてもらった気がする。料理は少なくとも、私にもできることだし、暮らしという立ち上がってくるものが美しくあること。それは矜持として守るべきことのような気がした。為政者たちに、本当に大事ことはこういうことなんだと、わかってもらいたい。 -
全2回の配信トークが書籍化されてるんだけど、わたしには2回目のほうがおもしろかった。
土井先生のほかの本読んでから、元々料理は好きだったけど、より好きになれたし、肩肘張らずに作れるようになったので、土井先生の料理に関する話が大好物。
自然には抗えないから、料理はええ加減に作るのがいい。
味もええ加減、足りなければ各自で足す!引く!文句は言うな!(一人暮らしだけど)