日経連-もうひとつの戦後史

  • 桜井書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784921190330

作品紹介・あらすじ

「階級闘争」が闘われていた時代、日経連は資本の前衛として振る舞っていた。財界とは、階級とは、労働組合とは、そして戦後日本資本主義とは。

感想・レビュー・書評

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  • 日本経済がもっとも好調であった1980年代には、「日本に階級対立はない」とする労使協調論をはじめ、日本の特殊性を前提とする数々の神話が研究者たちによって唱えられた。これに対し、イギリスの政治学者である著者は、日本であろうとどこであろうと資本主義の目的は利潤の最大化にほかならず、資本家階級は「強制、操作、すり替え」を通じて労働者階級を抑え込むのだということを、「資本家階級の前衛」としての日経連が戦後50年間に果たしてきた役割を通じて明らかにする。こうした階級論に立ったアプローチ自体、日本経済研究ではきわめて稀なので、著者の揺るがぬ階級対立観に立った議論そのものが、たいへん刺激的だ。
    とはいえ、私としては政治とのかかわりを含め、もう少しジャーナリスティックな日経連の戦後史を(勝手に)期待していたので、階級闘争だけに焦点をあてた論証になっているのは、ちょっとがっかり。さらに、著者の狙いが、階級対立に焦点をあてた日本資本主義論だったとして、日経連とその明示的な政策議論(政策文書等を通じたロビーイング)、とりわけ利潤分配をめぐる議論に焦点をあてるアプローチで、果たして十分なのかという疑問を感じる。たとえば、経団連による政策決定者集団への非明示的なアプローチの方が、労働者階級を含む日本の権力構造を利潤最大化に最適な形に組織していくうえで、より重要な役割を果たさなかったとは、言えないのではないか・・・。
    とはいえ刺激的な議論ではあった。ジャーナリスティックな日経連戦後史は、やっぱりほかにあれば読みたいけどなあ。

  • 日経連は資本家階級の階級的利益を代表し、労働組合と対峙してきたとされる。
    彼らのイデオロギーは生産性向上と賃金向上が関連すべきだという「生産性基準」というものである。

    一般的に日本においては階級政治は消滅したとされるが、彼は日本においては階級政治は存在していると強く主張している。

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