死を見つめる美術史 (isの本)

著者 :
  • ポーラ文化研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784938547479

感想・レビュー・書評

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  • 美術史、とあるが、詩や文芸を多く取り上げており、特に西洋の、キリスト教での「死の語られ方」を扱った本と言える。ですます調の文体がやや読みづらく、テーマが広いため、つまみ食い感がある。
    興味深かったのは、第2章「腐敗」。14世期後半から16世期にかけて、「トランジ」と呼ばれる墓像が造られたという。これは死後の腐敗を表した気味の悪い裸体像である。生前の虚飾を告白し、自らさらしものになることでキリスト教的精神に適うらしい。仏教の九相図とは少し違うか。
    14世期後半のペストのパンデミックにより、ヨーロッパでは死が非常に身近になり、メメント・モリ(死を思え)が強く意識された。当然、美術のテーマにも影響を与えた。翻って、今般のコロナ禍は美術史、文学史にどのような爪痕を残すのか。

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著者プロフィール

國學院大學文学部教授/ネーデルラント美術史

「2021年 『天国と地獄、あるいは至福と奈落』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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