ヨーゼフ・ロート ウクライナ・ロシア紀行

制作 : ヤン・ビュルガー 
  • 日曜社
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本棚登録 : 87
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784990969639

作品紹介・あらすじ

戦間期の1920年代。オーストリアの文豪・ヨーゼフ・ロートが旅した、言語・文化・宗教のモザイクのような世界、ウクライナ・ロシアの諸都市の人々の暮らしと現実の記録。
 キエフ、モスクワ、そしてオデッサへ、さらにレンベルク、バクーあるいはアストラハンへの探査旅行の途上、作家でありジャーナリストでもあるヨーゼフ・ロートは、変幻きわまりない東欧の宇宙空間に潜り込む。1920年代に書かれた彼のレポートとエッセーは、当時のこの世界の現実を生き生きと伝える感動的な目撃証言録。
 ロートの注意深い眼差しは、異なった言語や文化や宗教が隣り合わせにひしめき合うソヴィエト連邦の人々と、彼らの暮らしの現実の姿へ向けられる。この眼差しこそは、レニングラードの路上で繰り広げられる日常の雑踏の中でも、ネゴレロイエの国境検問所でも、あるいはヴォルガ川を航行する蒸気船の上でも、どこであれ、ロートが事実に基づいた調査とその独特な文体によって描き出した世界を貫くものだ。その際彼は、国家と教会、独裁政治と言論・表現の自由、貧富の格差など、この社会に存在する抜き差しならない対立関係を描き出す。それと同時に、故郷を失った彼のような者が、旅に身を任せ、ペンを走らせながら、批判的に物事を理解することを通じて、自分自身の故郷を少しずつ回復していく様子が描かれる。それは、彼自身の言葉という故郷だった。

感想・レビュー・書評

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  • 1920年代に書かれたロシア・ウクライナの紀行文。冒頭、1920年に書かれた「ウクライナブーム」ではベルリンでは未知の場所としてウクライナが流行っている、という内容から始まり、次に、ロシアの都市、農民、世論や検閲が語られている。

    ジッドの『ソヴィエト旅行記』は本書のさらに後に書かれたもので、1917年のロシア革命から10年以内に書かれたこの紀行文からはすでに当時のロシアの限界が感じられる。

    「世論と新聞と検閲」など現代ではインターネットとSNSという手段が変われど問題の根本は同じなのでは。

    久々に小さいフォントの本かつ私の知識もおぼつかないため読むのに骨が折れました(;´∀`)

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/771512

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著者プロフィール

1894年、東ガリシアのブロディに生まれる。1939年、亡命先のパリで死亡。1923年からドイツの代表紙「フランクフルト新聞」の特派員となり、ヨーロッパ各地を巡ってユニークな紀行文を書き送り、売れっ子ジャーナリストとなった。その傍ら創作にも手を染め、1930年の長編小説『ヨブ─ある平凡な男のロマン』は現代のヨブ記と称された。1932年にはかつての祖国ハプスブルク帝国の没落を哀惜の念を込めて描いた『ラデツキー行進曲』を発表し、小説家ロートの名をも不動のものにした。

「2021年 『ヨーゼフ・ロート ウクライナ・ロシア紀行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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