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- / ISBN・EAN: 4988104033574
感想・レビュー・書評
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映画をたくさん観ると、やっぱり飽きる。
なのでアニメを観る。そうすると飽きる。
だからまた読書をする。小説に飽きる。
小説に飽きたからエッセイを読む。
奮発して、ちょっと高い本・・・
岡本喜八『マジメとフマジメの間』を買って読む。
これがおもしろい!!!
なので、また喜八っつぁんの映画に戻る。
まずは『独立愚連隊』からだ!!
最近読んでた本、筆者が・・・
岡本喜八(1924年生)、終戦の年は21歳
三島由紀夫(1925年生)、同20歳
開高健(1930年生)、15歳
大江健三郎(1935年生)、10歳
と、こうして並べてみるとわかりやすいんだけども、それぞれがそれぞれの言葉で、戦争について似たようなことを言っている。似たようなことを言ってるようで、もちろん微妙に違ったりもする。
さておき『独立愚連隊』。
戦争映画+ミステリー+西部劇アクション。
先輩の黒澤明も時代劇+ミステリー+西部劇をやってるけど、
どちらもダシール・ハメットの影響だったりして近い。
でも違う。
「フォービートのアルチザン」って、ほんとよく言ったもので・・・
カッコいいタイトルだけれど、「ジャズ職人」って意味だもんね。
喜八っつぁんは職人。
黒澤が交響曲なら喜八はジャズ。
黒澤が日本刀なら喜八は菜切包丁。
黒澤の『用心棒』って'61年の映画で、これが『荒野の用心棒』になってマカロニウェスタンになってく。
けど、'59年の『独立愚連隊』の方が2年も前なのに
よりマカロニっぽい!!
なんでも、日本の戦争アクション娯楽映画の第一号なんだとか・・・。
悪いところもあって、本当は★4つぐらいだけど(『江分利満氏の優雅な生活』とかの方が完成度は上)、偏愛で★5。戦争・ミステリー・コメディ・恋愛・アクション・・・と完全に詰め込みすぎ(笑)。だがそこが良い!
キャスト、佐藤允さんが若くてカッコいい!!
『セーラー服と機関銃』の変態ヤクザのイメージしかなかった(笑)。
中谷一郎さん、若すぎて映像特典を観るまで気付かない!!
「風車の弥七だよ!!」っつっても、今の若い人にはたぶん通じないんだろうな・・・。
鶴田浩二とミフネがこれまた最高・・・。
なんちゅう使い方!!
喜八っつぁんはけっこうなガンマニアだったようで、
モーゼルが出てきただけで「馬賊!!」となるよね。
あと、ウィンチェスターかなんかわかんないけど
鶴田さんがレバーアクションのを使ってたりとか。
『西部戦線異状なし』と同じく、スコップは基本中の基本。
毎回書いてますが、『独立愚連隊』は軍隊の専門用語が多いので
特に字幕で観ることをお薦めします。
俺ですら何言ってるかよくわからんかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国を舞台に、前線にやってきた得体のしれない従軍記者を演じるのは佐藤充。彼のアクの強い風貌と不敵な笑みが、この謎めいた主人公に実にマッチしています。
前半は、戦争映画でありながら敵が殆ど出てこなくて、兵士たちの呑気な日常が描かれたりするのですが(三船敏郎が正気失った将校役というのがすごい)、中盤で主人公の正体と不可解な行動の目的が明らかにされ、硬派なドラマへと展開していきます。しかし、そこはあまり深堀はされず、終盤は派手な戦闘シーンへなだれ込みます。飽きさせない内容ではありますが、今一つ掴みどころがありません。
でも、戦闘に巻き込まれる従軍慰安婦たちや、上司を告発して処刑される兵士の姿などを思うと、ラジカルな反戦映画だということで納得がいきました。 -
真面目なつらしてしか映画見れんやからには破格の邦画やろな。さすが、喜八っつあん、爽快。撮影もすばらしい、戦争自体、ばかげた喜劇でしかなく、こんなふうに馬鹿馬鹿しく消費しちまえはいいんだよって、テキパキとウエスタン調に仕上げて楽しもうぜ!とやるあたり、ほんと大好き。
昨今の頭でっかちで、ナイーブな邦画は、はっきりいってしょうもない。もっと、豪快でストレートでいい。豪速球投手らしいのは、河瀬直美ぐらい。 -
佐藤允がセクシー。監督は戦中派なのに、よくこんな映画とれたなあ。湿っぽくならずに馬鹿馬鹿しくて良い。反戦映画として見ることも可能だけど、痛快さをただただ楽しんだ。
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面白かったと思うんですけれども、少々登場人物が多くてアレですね、顔で見分けられなかったんですが…が、しかし、これは僕側の責任であるからしてあれですね、もう一度見直してみようかと…。
戦争を茶化すというか、なんというか…コメディみたいなタッチのお話でしたねぇ…。
まあ、あんまり内容の方は思い出せませんけれども(!)、時に戦争批判的なセリフが吐かれたりとハッとさせられる映画でもあったような…気がしなくもないんですけれども、全体的には娯楽映画のノリで観ている間だけ楽しい! みたいな感じの観賞態度で良いと思われます…さようなら。
ヽ(・ω・)/ズコー -
日本軍と八路軍がにらみあう「北支」戦線にふらりとやってきた自称・新聞記者が、独立愚連隊の面々や慰安婦の恋人とともに、将校の悪だくみを暴き、暗殺された弟の仇を討つ冒険活劇。
馬にまたがりピストルを引っ提げた無頼漢の主人公が、悪漢を射撃の的に追い詰めて殺すシーンなど、痛快西部劇にあこがれて日本映画で撮ってやろうという岡本喜八監督の心意気があふれているわけですが、その舞台に、戦争末期のもっとも悲惨な戦線のひとつであった中国北部を据えるあたり、どう考えていいのか困ってしまうような作品でもあります。もはや日本軍の敗北も明らかになり、命令を守って抗戦するのもここまでよと、ようやく包囲を脱して生き延びた独立愚連隊の面々が、八路軍の大軍をうまくやりすごすかと思いきや、最後に無駄な殺戮を繰り広げて玉砕してしまうという展開にも困惑するし、その後ただひとり生き残った主人公が馬賊に加わり、わっはっはと立ち去るラストシーンを爽快感とともに受けとめていいものか、どうにも素直に楽しめないエンターテイメント。この複雑な感覚、どこかで覚えがあると思ったら、ナチスのユダヤ人虐殺とレジスタンスを歴史捏造エンターテイメントにしてしまったタランティーノの『イングロリアス・バスターズ』にそっくりなんだな。
なにより困惑するのは、今よりもずっと戦争の記憶が生々しかったはずの1959年に、多くの批評家や映画ファンがこれを純粋なエンターテイメントとして消費していたらしいという事実で、岡本喜八という監督以上に、日本人がよくわからなくなったりもしたのでした。 -
泥臭くて、愚直なまでに真っ直ぐな男たちが愛おしい。
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BSプレミアム。
主役級はどうでもいい端役に、名脇役たちをメインに据えるキャスティング!
明らかにアンチ黒沢イズムな会話劇なので、黒沢作品に顔を出さないような俳優達ばかりの演技合戦になっている。
佐藤さんの含みのある笑顔がもっとも活きた作品だと思う。
閑話:塩沢ときさんはこの頃から奇抜なメイクだった。 -
これは面白い。
私のリアルタイムだと「大誘拐」が面白かった岡本喜八監督。
監督の事をそんなふうにしか思えないなんて
監督をちゃんと知っている人が聞いたら鼻で笑われてしまうでしょう。
そんな監督の評判の一作『独立愚連隊』を見ました。
タイトルだけでも今の時代からは距離があって
『面白いのかなぁ?』なんて思う方が自然かもしれない。
でも、食わず嫌いはもったいない。
あらためて日本映画で文句なしの映画を作るのは
黒澤だけじゃないぞ、と気付かされます。
ここでの三船敏郎は意外な役どころですがしっかりとはまり役でした。
彼、コメディでもいける。
昨今の映画よりよっぽど見せてくれるカメラワークが
古臭さを吹き飛ばします。
戦争モノだが悲壮感は低く、カラッと痛快活劇を見せてくれます。
そこが岡本喜八監督の持ち味なのかもしれません。
他の作品も探してでも見てみよう。