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- / ISBN・EAN: 4988101125432
感想・レビュー・書評
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侠客というのは、強きを挫き、弱きを助ける事を旨として、
世渡りする人のことを言う。
理不尽な労働環境に置かれた人々を救いたいと思う
高倉健。それを認める 親方 村田英雄。
村田英雄の唄が、浪曲的で渋いのだ。
沖仲仕の仕事は厳しく、賃金は安い。
それを、変えようとする高倉健。
ムショから出てきた 鶴田浩二。
5年ぶりの世の中は、随分と変わっていた。
あくどいことをしている組に白黒させると言う。
落ち着いた雰囲気の鶴田浩二と高倉健は不思議と似合う。
八千草薫、南田洋子。
若い時は、綺麗だったね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近見た映画の備忘録。「日本侠客伝・浪花篇」。1965年98分。マキノ雅弘監督。
マキノ雅弘さんの監督作品は好きです。それがなぜかということは長くなるので言いません。コレも面白かったです。日本侠客伝シリーズはいっぱい観たんですが、どれも似たような内容とタイトルなんで、ドレを観たのか分からなくなっています。この映画はどうやら、観たことなかったみたいです。
娯楽映画ですね。ケッコウ、凸凹してるしガチャガチャしてて、でも面白いですね。
あらすじでいうと。
大正時代です。大阪です。高倉健が東京からやってきます。弟が大阪で死んだらしい、と聞いてやってきました。
弟はもう死んでます。意地悪したのが悪役の大友柳太朗などの土建屋ヤクザたち。良くしてくれたのは長門裕之・村田英雄らの善玉土建屋とドヤ街の日雇い人夫たち。
高倉健、弟の墓を作ってくれたお金分くらいは働いて帰ろうと、ドヤ街に入ります。すぐに善玉と悪役の小競り合いに巻き込まれ、力を発揮して一目置かれて善玉の方の重鎮になっちゃうし、女にも惚れられます。
で、色々あって、悪役の方が、善玉の中核だった、村田英雄を暗殺します。更に、高倉健に近かった、長門裕之も殺されます。さて、怒った高倉健、殴り込み。派手な立ち回りはなくって、とにかく悪玉親分をブスっと刺して、警察に自首。おしまいです。
これだけ書くと、ご存知の方はお分かりの通り、「昭和残侠伝」シリーズに骨格はそっくりです。ご存知ではない方はサッパリ分からないと思うので、あきらめてください。「昭和残侠伝」は主人公高倉健の物語をちゃんと中心でひたすらそれを追いますね。ヒーローものです。ところが「日本侠客伝」は違います。
この映画、色んな筋が錯綜して、ごちゃごちゃしてるんですね。だから短い場面が多くてぽんぽん話がアッチ行ったりコッチ行ったり。それが決して悪くなくて、まあ芸術映画的な一貫性はゼロですが、それぞれ芝居が楽しめます。映画がふくよかですね。豊饒な感じです。
●長門裕之は以前から娼婦・八千草薫に惚れている。八千草薫も惚れているけど、ツンツン。最後、共に脱走するが捕まって長門は殺される。この悲恋ドラマ。
●悪玉ヤクザの一家、鶴田浩二が出所してくる。当然この人は善玉。南田洋子と惚れ合ってるが、南田洋子、鶴田不在の歳月で、悪役大友柳太朗の妾にされてる。出所する鶴田。南田を探す。親分の大友は隠す。バレる。色々あって南田は殺される。最後、鶴田は高倉健と一緒に殴り込み。そんなドラマ。
●善玉土建屋の中心は、内田朝雄の大阪の土建屋と、村田英雄の九州からの土建屋。内田朝雄の息子が里見浩太朗で、コレが大正デモクラシーの社会主義運動に走ってるが、色々意見されて一家の家業に戻ってくるドラマ。
こんな話が錯綜です。もう群像劇です。てんこ盛りです。テンポが良いです。無論多少接点があります。南田洋子と八千草薫は同じ女郎屋にいたりします。
これがそれぞれ、マキノ作品だから魅力的です。
以下断片的な印象を適当に綴りますね。
あちこちにマキノ作品だから音楽が、歌があります。
村田英雄がドヤ街で歌う宴会の楽しさは、「次郎長三国志」ですね。その直後に歌が続いて、村田英雄が刺客に襲われる。その導入部。トンネルの向こうから来る村田。歌が流れて、刺客が現れる長回し、カッコ良すぎますね。
救世軍の歌までがマキノ世界に取り込まれます。素敵です。流石、「鴛鴦歌合戦」のマキノですね。日本人で良かったですね。と、僕はマキノ映画を見ると思います。
この映画の笑っちゃうところは、どういう理由があったのか、クレジットの主役は鶴田浩二なんです。でもあらすじのとおり、完全に高倉健の映画です。鶴田浩二、98分の映画で一時間くらい出てこない(笑)。すごいですね。
悪役の大友柳太朗は、相変わらず壮絶に滑舌が悪いです。1/3くらい何をいっているのがフガフガです。この人、それを苦にして最後は自殺しちゃうんですね。この映画で、じゃないですけどね。
娯楽映画です。シリーズです。パターンです。低予算ですね。浪花篇、なのに、通天閣も御堂筋も映りません(笑)。方言変えればどこでも通じます。冒頭のタイトルバックの、絵の中に通天閣があるだけ。大笑いです。なんですが、最後の最後の場面。悪役を殺した高倉健と鶴田浩二が屋台でイッパイ飲みます。そこのオヤジが藤山寛美さんです。コレ、やっぱり唸ります。何も知らない気のいいオヤジの役ですが、光ってます。大阪な感じですね。名場面。自首していく高倉と鶴田も引き立ちます。
マキノ雅弘さんは、できればヒトを斬りまくることなんかやりたくなくって、とにかく男と女の芝居を増やしたそうですね。で、チャンバラを減らした。最後はもう、淡々とブスっと殺すだけ。ストイックですねー。男女の人間ドラマで見せきる自信があるんですね。脱帽です。
と、色々、全体を貫くテーマというか主張というか、そういう魅力の映画じゃないんですけど(笑)、面白かったです。
最後にして最大な魅力は、34歳の八千草薫さんの魅力ですね。可愛らしいんですよね。美人ですよね。いやー、うーん、もっと出番欲しかった、ありがとう。チョット意味不明ですね。マキノ的な人情お芝居劇の中で、光ってます。キュンキュンです。男性陣、是非。 -
今回の作品はなかなか面白かったです。
内容もそこまでえげつなくなかったし、なにより任侠映画で一番重要な、義理人情がよく表現されているなあと思いました。
独裁で金儲けをしようとする組に対抗してお金よりも情を大事にかけ声ひとつで町が一体化するシーンは定番だけどとっても好きな部分です。
格闘シーンも派手でカッコいいけど、人様の為に自己を犠牲にするという、今の時代はエゴだと皮肉をいわれる事もある行動も私にはすごく感慨深くて、やっぱり任侠はそこが一番の見せ場だと思いました。