荒野の用心棒 完全版 スペシャル・エディション [DVD]

監督 : セルジオ・レオーネ 
出演 : クリント・イーストウッド  ジョニー・ウェルズ 
  • ジェネオン エンタテインメント
3.53
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本棚登録 : 120
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102310332

感想・レビュー・書評

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  • スピーディーで緊迫感あふれる展開と迫力のガンアクションで話題をさらったマカロニ・ウェスタンの名作。イーストウッド演じる、カッコよさと汚さを併せ持った主人公ジョーの奥深いキャラクター造形も良い。

  • リメイクの成功しやすい作品と、成功しにくい作品というものがあると思うのです。

    作品の構成要素には「いれもの」と「なかみ」があります。
    「いれもの」とは「リメークしても変わらないもの」のことです。
    「なかみ」というのは「同じやりかたでリメークするわけにいかないもの」のことです。


    リメイクの成功しやすい作品と言うのは、
    「いれもの」がよくできていて「なかみ」がいまいちな作品です。

    「企画」や「キャラクター」「プロット」といった「いれもの」の出来が非常によくて
    「演出」や「脚本」といった、作品の「なかみ」に
    「つっこみどころ」や「ものたりなさ」がある作品です。

    こういう作品のリメークの企画があがると、「目のつけどころがいいなあ」と思います。
    商品としては売りやすいし、演出家も思う存分腕をふるえます。



    リメイクの成功しにくい作品というのは、
    「いれもの」が平凡で「なかみ」のよくできている作品です。

    「企画」や「キャラクター」「プロット」を観ても、とくに目新しいことがあるとは思えないのに、
    「演出」や「脚本」がよくて「なにこれ、すばらしい」と思える作品です。

    こういう作品は成功させることが極めて難しいのですが、
    そもそも、商品としてのパンチが弱かったり、製作者自身がこわがったりして、
    なかなかリメークする人がいません。



    問題は、「いれもの」も「なかみ」も
    「どっちもすぐれている作品」なのです。
    こういう作品は、
    「いれもの」に目をひかれて、
    「これ、まだ売り物になるんじゃないか?」と考えて企画が通されて、
    そして、かわいそうな演出家は
    「あああ、あんな作品とはりあえって言うんですか!どうしよう!」という
    プレッシャーにおしつぶされて、玉砕したりします。


    業界に余裕がないときほど、こういう「いれものとなかみがすべてすばらしい作品」を復活させて、
    玉砕するパターンが多いのです。
    「そのくらいしか企画がとおらない」という状況下での、
    「安全パイ」を狙った企画にありがちな「落とし穴」なのです。
    仮にヒットしても業界がファンの信頼を失ったり、
    かわいそうな演出家が旧作と比較されてぼろくそにけなされたり、
    そういう「いやな思い出」が残ってしまったりするものなのです。


    「いれものとなかみのすべてすばらしい作品」のリメークがどれだけ困難か、ということを考えると、
    「ぱくり」というのは「安易な模倣」どころか「困難な試練」でさえあるのではないかと思うのです。
    この映画は、その困難な試練を乗り越えて、ひとつのジャンルをうちたてるまでに成功させた、稀有な作品です。

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