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感想・レビュー・書評
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はちゃめちゃに面白かった。主人公の頭がどんどんおかしくなっていく様子。ちょこちょこ挟まれるレシピはマジで作れるんだろうか??
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偶然殺人犯となった元大金持ちの息子の回想録。よい時期と、悪い時期を乗り越えて、現代へとやってきた語り手は、魔術師によって呼び出された霊を残して消える。
前半の、幼少期の思い出、あるいは失われつつあった貴族世界の「よき時代」と、現代における猥雑な話題との交差は、ナボコフを思い出す。だが、ヴォネガットはナボコフほどは残酷ではない。
螺旋をのぼるように、同じところを何度もめぐりながら、少しずつ真実が明らかになっていく描写は、ヴォネガットらしい。彼のシニカルな視線はまだそれほど強くないし、登場人物たちの悲哀も、”人生”という流れの中では川に落ちるしずくのようにしか描かれない。
ストーリーというよりも、人生そのもののなだらかさ、山や谷があるようでいて、終わってみたらなんだかよくわからないものだった、という真実を、多少の事件を交えながらつづっている。
様々な場面が一つの小さな町に収束していくという点では、ポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』を思い出す。
小さな世界の、複雑な入り組み、あるいは、思い込み。
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