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- Amazon.co.jp ・本 (515ページ)
感想・レビュー・書評
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2012/1/28読了。
サンケイ新聞の昭和36年から38年にかけての連載記事をまとめたもの。東京都内の小中学校の社会科の先生たちの調査を元に、街の様子や地名の由来、歴史や言い伝え、名所などを散歩案内に仕立ててある。散歩といっても、地元にやたら詳しい人に連れられて一日中歩きまわる社会科見学といった印象。何しろ各巻500ページもある。
昭和30年代の東京へのタイムスリップ気分を存分に味わえる貴重な資料だった。東京タワーは新名所だし、新宿の高層ビル街はまだ淀橋浄水場だし、散歩の起点は都電やトロリーバスの停留所である。川沿いに町工場地帯が広がり、郊外へ新興住宅地が広がる一方で、23区内でも都心を離れれば畑や田んぼや牧場や藁葺き屋根の農家が残っている。バタヤ部落(スラム街)や闇市の名残のマーケットや水上生活者が、改善すべき都市問題として存在している。
都市の機能はもちろん現在の方が遙かに高度なのだが、街が社会が発展していくことを微塵も疑っていない空気が感じられる。なんというか、微笑ましく、羨ましい。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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