カポーティ コレクターズ・エディション [DVD]

監督 : ベネット・ミラー 
出演 : フィリップ・シーモア・ホフマン  キャサリン・キーナー  クリフトン・コリンズJr  クリス・クーパー 
  • ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
3.66
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本棚登録 : 469
感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4547462038661

感想・レビュー・書評

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  • カンザスで起きた一家惨殺事件もとに、トルーマン・カポーティがノンフィクション・ノベル「冷血」を書き上げるまでの物語。高潔とはほど遠く、いやらしいところもたくさんある不完全な人柄や、加害者ペリー(クリフトン・コリンズ・Jr)との交流によるこころの葛藤、そしてカポーティ自身の冷血な部分を、演じるフィリップ・シーモア・ホフマンがとてもこまやかに表現している。「アラバマ物語」で著名な女流作家ハーパー・リー(キャサリン・キーナー)との友情や、恋人ジャック(ブルース・グリーンウッド)との日常もえがかれるが、じぶんをいい人にみせたがり、ときに小市民的なカポーティと、つねにおちついた態度をたもち、いかなる場合も冷静さをうしなわない、リーとの対比はおもしろい(彼女がまた女性ながら渋い魅力があるっていうか渇いたセックスアピールに溢れているのだった)「わたしはかれらをすくえなかった」処刑のあと、嘆き悲しみながら、カポーティはリーに訴える。彼女はいう「あなたはすくいたくなかったのよ」ペリーが絶命する瞬間、カポーティの目はぱっとかがやいたようにみえた。かれはペリーの死を本気で悼み、残酷な刑罰におそれおののき、でも同時に昂揚していたのだとおもう。「ひどいものをみたよ。一生わすれられない」そこにはたぶんよろこびもふくまれていたのだ。カポーティは自身の冷血にうちのめされた。だから以後、作品を上梓できなかったのかもしれない。

  • 素晴らしい映画でした。
    TSUTAYAさんへ行くたびに、
    常にレンタル中で…;;
    なかなか借りられなかったのですが
    やっと私にも回ってきたんです(笑)
    それも閉店直前に。 あはは
    レンタル中だったこと、無理も無いですね。
    じんわりと感動させられました。

    <STORY>
    1959年11月15日、
    カンザス州の田舎町で一家4人惨殺事件が発生する。
    ニューヨークでこの事件を知った
    作家のトルーマン・カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、
    これを作品にしようと思い立ち、すぐさま現地へと取材に向かう。
    同行した幼なじみのネル(キャサリン・キーナー)と共に
    事件現場や関係者を訪ねて回るカポーティ。
    やがて2人の容疑者が逮捕されると、カポーティは彼らへの接近を試みる。
    その一人ペリー・スミス(クリフトン・コリンズ・Jr)の不思議な魅力に
    創作意欲を刺激される。
    そして、ペリーとの面会を重ねる中で
    次第に彼の信頼を得ていくカポーティだったが…。


    文学界に名を残す作家トルーマン・カポーティが、
    ノンフィクション・ノベルという新たなジャンルを切り拓いた
    傑作『冷血』の完成までの6年間に迫るシリアスな伝記映画です。

    一家4人惨殺事件の詳細を本にすることで、
    新たな成功を目論むカポーティ。
    しかし取材に協力する犯人との間に屈折した関係が生まれ、
    ミイラ取りがミイラに…とまでは行かないのですが、
    己の名声のために、
    狡猾に事件にアプローチしていたカポーティが
    その事件の毒を呑み込みきれず危うくなっていきます。

    殺人犯の絞首刑の現場に立ち会うに至り…
    自分がしてきたことの重大さに気付く。
    モラルを越えたジャーナリズム。 
    作家とは、大変なビジネスであることを痛感。

    最後にテロップで流れる
    「『In Cold Blood』made Truman Capote the most famous writer in America.
    He never finished another book.
    He died in 1984 of complications due to alcoholism.」

    「『冷血』によりカポーティの名声は高まった。
    その後、彼は一冊も本を完成させなかった。
    1984年アルコール中毒が原因となって彼は死んだ」
    一読後、グッとこみ上げるものがありました。

    淡々とした物語展開…
    のんびりとしたカンザスの田舎、
    まるで絵画のようなニューヨークの街角。
    ゆっくりと流れる時間と、美しい映像にうっとり。
    ホフマンのカポーティは、さすがオスカーの演技です。
    高い声のしゃべり方は勿論ですが、ちょっとした仕草などが、
    屈折したカポーティ像をリアルに表現して、素晴らしい。

    カポーティの『冷血』が、どうしても読みたくなりました。



    恥ずかしながら、本音を言うと、
    私は本作に誤った先入観を持っていたんです。
    トルーマン・カポーティといったら、
    公私に渡って実にスキャンダラスな作家。
    社交界では一際華やか。常に酒を飲み、ウィットに富んだ会話を繰り返し…
    麻薬中毒で、ホモセクシュアルをもカミングアウトしていて。
    ゴシップに事欠かない作家だったはず。
    なので本作で、
    彼のスキャンダラスな人生をクローズアップしたのかと思ったら
    そうではなかった。 全く違っていて(><;
    シリアスなドラマでした。  参りました。 ほほほ

  • 宅配DVDレンタルのリストのトップにエントリーして、三ヶ月。やっと!見ることが出来た。原作にもなっている、ジェラルド・クラークのカポーティの評伝と「冷血」を読んでいたので、流れは把握していたけれど・・作品そのものにすっかり飲み込まれている自分がいた。作家の資質の中でモノをいうのは、見ず知らずの他者にものすごい勢いで憑依できてしまうことなのではないかと思う。けれど、憑依された人間が実在している場合、時としてその間に軋轢を生んだりもするし、厄介なことも多い。トルーマン・カポーティは、それまで書いてきた人物など比にならないほど、犯人・ペリーに憑依していた。それは、当時の恋人が嫉妬してしまうほど。この憑依力は結局ここにとどまらず、その後の未完の作品「叶えられた祈り」の中の短編、「ラ・コート・バスク」にて実際の女友達を露悪的に描かせ、無二の親友を失わせ、彼自身を破滅に追いやってしまう。作家という職業にひどく憧れを抱いているけれど、過剰にもほどがある業の深さと、あの突出した才能が表裏一体なのだとすると・・。穏やかな幸福感とは無縁の職業なの?という偏見さえ持ってしまう。そんな他者に徹底憑依してしまうカポーティが、役者・フィリップ・シーモア・ホフマンにも恐ろしいくらい憑依していた。役者という職業もまた同様なのだろうか?

  • ホフマンの演技が秀逸。
    友人とか恋人とか、そういう人間の関係にはきっと、名前って付けられないんだろうな、本当は。

  • 全体として重いものが横たわっているので、
    愉快なものの対極にある映画だと思う。
    そういう意味では、ミュンヘンのような作品を楽しめる人には、
    お奨め出来るのではないでしょうか。

    「何よりも君の死を恐れ、 誰よりも君の死を望む」
    この映画の本質を捉えた素晴らしいキャッチコピー。

  • フィリップ・シーモア・ホフマンが良過ぎるってのな。。。製作総指揮も兼ねてるだけあって、いいよなぁ。いい映画だった。いい映画。そしていい俳優。題材としてのカポーティを選ぶあたりとかもね、いいよ。これはフィリップ・シーモア・ホフマンじゃなければできなかったと思う。カポーティ読もうかな。(07/5/4)

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