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- / ISBN・EAN: 4988126204617
感想・レビュー・書評
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(2001年作品)
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静かに眈々と一人の男の人生が終わっていく様。
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こちらが何を主張せずとも、まわりは自分を勝手に判断して、勝手に納得して、勝手に制裁を加える。そんな世界をひたすら達観しても、渦に巻き込まれる自分は結局、なすがままにされていく。
主人公がまわりから一歩前に出て話を進めるのではなく、一歩退いてまわりが話を進めてく、そんな感覚が静かに染みる。 -
無口な男の、平凡な日常からの冒険のお話。
こう書くとファンタジーっぽく見えるね。でもまぁ、間違っちゃあいないかなと。
冒険はしたけど、でも…。
主人公の男は、なにをするにしても自分とは少し距離の空いたものとして捉えてしまう、主体性のない男。
それは終始変わらないままで、自分という身体と心がとても隔離された状態で、観ている私たちと彼は同じ視点の持ち主のように感じる。
決定的に違うところは、彼自身が身体を持っているということ。
すごーく靄のかかったイメージ。
カラー版で見たけれど、モノクロ版も見てみたい。
床屋は床屋の仕事があって、弁護士には弁護士の仕事がある。
それぞれ与えられた役割を全うすること。
それ以上でもなく、以下でもなく。 -
製作年:2001年 製作国:アメリカ 時間:116分
原題:THE MAN WHO WASN'T THERE
監督:ジョエル・コーエン,イーサン・コーエン
(3.0点) -
面白みはないし納得のいく映画ではない。陰鬱で空虚な人間性と街社会を切り取って、ブラックコメディに仕上げてあるコーエン兄弟監督作。
プロットのが非常によく練られてあり物語がきちんと完結している、ここでいう完結には後味の悪さという名の気味の悪さ、現実を省みたときの居心地の悪さも含める。短編小説のプロモーションビデオのような作品です。日本の小説なら人間が描かれてないと言われるかもしれない。たしかに人間は描かれていない。
だが描かれるような人間はもうほとんどがネットの中にしかいないし、街と街の床屋のある男を表現するのに、これほど成功した作品はそうそうないんじゃないでしょうか。床屋は市民に置き換えられる。危険性のないように見える特定されない男「あなたは彼が人殺しにみえますか?」敏腕弁護士のセリフにこういうのがあった。
本作で注目すべきは、ピアノ教師のもとに小娘をひきつれていく場面だろう。彼は床屋であって、またそれ以上にああなのだ。彼が拒否したのも面白い。よく出来た映画です。 -
PT#37 2006.6