転校生 さよなら あなた 特別版 [DVD]

監督 : 大林宣彦 
出演 : 蓮佛美沙子.森田直幸.清水美砂.厚木拓郎.寺島咲.石田ひかり.田口トモロヲ 
  • 角川エンタテインメント
3.70
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111284952

感想・レビュー・書評

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  • どんな料理も冷めないうちがやっぱり美味しい。

    実際のところは原作山中恒著「おれがあいつであいつがおれで」を見つけて手にとってはいたものの、ふとしたことからこちらを先に鑑賞することに。この順序が吉と出たかは…そちらのレビューにて。

    オリジナル82年版に感動させてもらってから半年もたたぬうちに同監督による四半世紀後のリメイク版を観せてもらえるとはありがたい話。さらにありがたいのはこの二本の間にめいっぱい大林作品を楽しませてもらっただけにツボが目一杯増えてしまっている。

    大林監督自らの編集による独特の台詞まわしの間は「野のなななのか」(2014) で洗礼を受けて以来回を重ねるにつれ免疫がつき始めたかと思いきや、気が付くと慢性的とも呼べるなにかに変質してしまっている。この手法、今思えば「野ゆき山ゆき海べゆき」(1986) の頃には既に出現していたようにも思えるから、足掛け約30年にわたって監督がこだわっていることになる。いわば「小津のカニ。」にあたるようなものなのかも。

    後半は大人向け。いまだ若々しさを失わない大林監督が敢えて82年から数えた歲月を隠すことなく脚本にぶつけた感あり。

    蓮佛美沙子という女優さん、なぜだかほんの数週間前に気になってネットで調べたことがあった。単に読み方がわからなかっただけかもしれないが、それが本作で十代半ばの頃の彼女に会える予兆だったとしたらちょい気味が悪い。なぜなら共演の森田直幸という子は早くにして俳優業に別れをつげてしまったらしく…。同世代にあたる寺島咲にまたもや大林作品で再会出来たのも微笑まし。

    クラシック音楽が82年版と呼応するように使われているのも面白い。

    そしていつか自在に揺れるスクリーンでも観てみたい。

  • 尾美としのり、小林聡美の尾道転校生から25年後に公開されたセルフリメイク。
    何年ぶりかでビデオ配信で観たのだけれど、大林監督がこの4月に亡くなっていたことをその時は知らず、作品についてググってはじめて知りました。
    ネットでは2016年にはがん宣告を受けていたそうですが、がん如きで死ねないと映画作りに励んだ姿勢がカッコいい。

    尾道転校生には少年期の甘酸っぱい思いが溢れて、主人公2人に爽やかに残る思い出の出来事として描かれたと思うが、この長野転校生は人間の生き方を問うているように感じました。

    作品に滲む死生観や人のあり方などはもしかしたら監督が自分の生涯振り返り、死を見越した思いが詰まっていたのだろうか。
    「死ぬ理由はわからないが生きる理由は自分で見つけろ」と言う主人公一美の兄の言葉が染みた。

    尾道3部作は大好きで、尾道に出張でしばらく滞在した時期に図書館でレーザーディスクを借りて見ていました。
    それに輪をかけて「異人たちとの夏」が好きです。
    いらない情報だったでしょうね。

  • 昔に見た尾道の転校生と思いきや、
    違ったんだねぇ。
    リメイク版ってやつなんだ〜。
    ストーリー設定が難しく付いていけなかったな^^;
    変わったままという選択肢もあったかな。

  • 「さびしらの水場」に落ちて、二人の心はいれかわる。
    二人は、幼なじみで、大きくなったらお嫁さんになると約束していた。
    斉藤一美と斉藤一夫。一美には、恋人がいたのだ。
    いれかわって、と惑う 本人と家族たち。
    この戸惑いが、微妙におもしろい。
    「君の名は」よりも、古典的な感じ。
    恋人は実直で、一夫の中の一美に語りかける。
    一夫は、ピアノが弾けるのだが、一美は弾けない。
    一美は、歌をうたい、ピアノを弾くようになる。
    この歌が、しっとりして、透き通る。
    そして、一美の身体は、病いに 襲われることに。
    病院では、手の打ち用がないと言う。
    一美は、病院を抜け出して、二人で「さびしらの水場」にいく。

  • 初代の小林聡美&尾美としのりの「転校生」が大好きなので、こちらは期待はせずにむしろ冷やかし半分に観ました。
    初代の転校生はいろんなところで語り尽くされた男女入れ替わりものの中でも名作中の名作で、ファンの多い作品なので、あれを越すことは絶対に無いにしても、これはこれで別物として言えばありでした。

    舞台は一夫と一美はちゃんと携帯を持ってる現代の設定なのに、会話の話し方が昭和映画のように不自然なままだし、一美の家での私服が着物だったりと、大林監督のセルフリメイクとはいえ正直突っ込みどころは所々にあったけど、転校生という作品はノスタルジーに浸るための青春映画なので、いつの時代の話か曖昧なままに仕上がっていて、このままの独特な世界観もありかもと感じました。
    そもそもじぃさん(大林監督のこと)がもう孫ほどに年の離れた現代の若者を無理やり描くより、潔い感じもあってある意味好感持てましたよ。

    まぁ今回のこの作品においては最大の魅力は蓮佛美沙子さんの存在だと思います。
    小林聡美さんとはまた違う一見お嬢様風の色白痩せ型の彼女がガニ股でパンツ丸出しだったり、下品な言葉を発したりとなかなかのギャップが体当たりでなんかかわいくて、もう愛おしくて仕方なくなります。

    「俺がお前でお前があいつ」なんていうシンプルなものじゃなくて、このリメイク版は三角(四角?)関係あり、闘病ありと結構欲張りすぎてよく分からなくなってきますが、それでも最後まで印象に残るのは蓮佛さんの透明感と美しい歌声。

    色々と散りばめすぎた脚本になんだ?なんだ?と思ってた心も最終的にはなんか全部許してしまいました。

  • 大林宣彦監督、山中恒原作、剣持亘•内藤忠司•石森史郎•南柱根脚本、2007年作。蓮佛美沙子、森田直幸出演。

    <あらすじ(ネタバレ)>
    両親の離婚で母が生まれた信州にきた一夫(森田)が、幼なじみの一美と出かけた思い出の場所である“さびしらの水場”で滝つぼに落ちると、2人は入れ替わってしまったことから、2人にいろいろな事件が起きる。最後は、一美が不治の病にかかった後、同じ滝つぼに飛び込んだら入れ替わりが解けるが、一美は死んでしまう話。

    <コメント>
    •基本的に悪い人は出てこない映画。多分、監督のこだわりなのか。簡単では無いと思う。一美の恋人の山本くん(厚木拓郎)が設定上、悪い人にしてしまいがちだけど、彼もいい人。
    •後半出てくる一夫の恋人のアケミ(寺島咲)。一夫のことを思って一晩泣いたというセリフに、不覚にもほろっときた。
    •蓮佛さんの歌とピアノがきれいでした。

  • 男女入れ替わりものといえば今や「君の名は。」なのでしょうが、古今様々な作品があり、これもその一つ。原作:山中恒『おれがあいつであいつがおれで』。

    前半はドタバタギャグ。面白い。後半はシリアスシーン。病気になってからが長ったらしいが元はこんな展開ではなかった気がします。

    主演、蓮佛美沙子。芸能人を全く知らない私も名前だけは知っているので有名な方なのでしょう。「MAJOR(劇場版)」でヒロイン役に声を当てていたのはこの人だったか。男子が女子、女子が男子に入れ替わりややこしいが両主演一生懸命演じられました。音楽、山下康介で驚いた。

  • 結構おもしろかった。
    街並みとか雰囲気よかった。

    でもなんでヒロインを死なせる必要があったのか・・w
    あの設定は別にいらん気がするなぁ。

    そして映画とかで死ぬ間際はどっか行きたがるのかwww
    ふつう家にいたくない?w

  • 25年ぶりに舞台を尾道から長野に移して大林監督本人がリメイクした作品。
    でも、別のお話だと思った方が良いと思います。

    前の尾道では女の子のほうが転校生だったけど、こちらでは男の子のほうが転校生でした。
    入れ替わる場所は、女の子のお家である蕎麦屋さんが水を汲んでいる泉ね。

    入れ替わる前の演技は学芸会みたいだったけれど、入れ替わり後は、そもそも違和感があって当然なので、主役2人の演技はそれほど気にはならなくなりました。

    しかし、基本的に演技は主演の2人も含めて、清水美沙さんとか石田ひかりさんとか下手が人が多い。
    ギャクなのかシリアスなのかわからない部分もあるし、最後のほうとか寅さん映画みたくなっていたけど、それでもやっぱり最後の最後の「さよならあなた。」ってセリフで中年組は泣かされていました。

    それは「若いっていいな…」という、自分もかつては持っていたけれど今は失ってしまった、当時はその価値に気づいていなかったものへのせつない憧憬なんだよね。

    若さはほんの一時だけ神さまからもらった宝物みたいなもので、時は流れていくのみで、けして逆戻りはできないというせつなさとか(この部分は同じ監督の『時をかける少女』と対になりそうだね。)いろいろなことを感じさせてくれるお話でした。

    ただね…。
    ヒロインの病気は現代医学ではわからないレアなものではなく、急性白血病とかもっとリアリティのあるもののほうが良かったかも…。

    いきなりだったし、そこで「やっぱりファンタジーか!」ってなっちゃって、ちょっと感動が薄れた感があったよ。

    演出はベタだし、演技もイマイチだし、カメラワークも斜めばっかりな風景シーンがあざといな~って思ったりもしたけれど、せつなくて印象的な物語でした。

  • 斉藤一美と斎藤一夫、幼馴染の二人は一夫が離婚した母と尾道から戻ってきたことで、長野の善光寺北中学校で再会する。
    空想や物語が好きな一美はクラス委員長の博くんと付き合っていて、一夫も明美ちゃんと別れてやってきた。
    そばの水場を案内し、水を飲もうとして池に落ちた二人は入れ替わってしまう。
    家に帰って、下着姿で自分が一美になってしまったことに気づいた一夫は母親の第一印象は最悪。なんとか入れ替わった家での生活を送るも家族は変わってしまった二人に戸惑い、原因がお互いにあると訝しむ。
    病院長の変な息子とのトラブルのせいで会わせてもらえなくなる二人だが、やがて一美が不治の病に侵され、死が近づく。一美のために死んでもいいと、いやむしろ生きてやると思い始める一夫。二人の入れ替わりに気づいた博や母親に会わせようと呼んだ明美の協力で二人は最後の逃避行に出て、あの池に行き、再び入れ替わってしまう。
    一美は亡くなり、一夫はさよならを墓に告げ、海辺の物語を探しに尾道へ旅立つ。

    前作の雰囲気を踏襲した古風な台詞回しや雰囲気、なよっとした一夫がちょっと尾見さんを思わせ、蓮佛美紗子のキリッとした感じも良かった。
    前作は階段落ちだったけど、今回は池。元に戻るハードルが結構低い割に二人がすぐに池に落ちたことが原因だと思わないのは不思議。長野っぽい文学に触れながら、お互いの体やセクシャルなことに触れるシーンも多く、旅芸人の一座の登場など突飛な感じなど、不思議な演出で時代背景がイマイチつかめない。
    ちょうどガラケーからスマホへの移行期の始まりあたりだから、ガラケーが少し懐かしく、それもちょっと古く思えるのかも。

  • ネタバレあるよ

    「こどもの事情」の山田直幸さん目当てで観た映画。
    登場人物みな和装の様子を見る限り、舞台は60~70年代かな。
    ベタな演出が多いけど、それも、映画自体の古臭さと相まって溶け込んでいるし、違和感なく観ていられる。
    内容知らないままに見てよかった。

    蓮佛美沙子さんの演技を初めて観ました。
    魂が戻った時に感じるギャップの幅が大きくて、
    その幅が大きいというのは男性役の演技が優れていたということ。「あぁすんばらしい演技力だな」と唸ったよ。

    「君のためにこそ死ねる、は、君がいるから生きられる」
    愛するということを解り始めた、思春期の一瞬を切り取ったような2時間。

    また邦画をすきになった。

  • 両親が離婚し尾道から信州に引っ越してきた斉藤一夫は、転校先の中学校で幼馴染みの斉藤一美と再会する。
    昔行った「さびしらの水場」を訪れた二人は誤って落ちてしまい、心と体が入れ替わってしまう。

    尾道を訪れる前に尾道三部作を見ようと借りてきたが、リメイク版で舞台が長野だったという……(^_^;)
    入れ替わったあとの 蓮佛美沙子さんが劇中で一番漢らしい!

  • ほのぼのとゆるーく観てたのに
    最後、別に殺さなくても…
    普通のシナリオでよかったのに。

  • アングル、台詞、おもしろい。音楽、映像、きれい。あんまりないんじゃないかなぁ、こういう作品。(奇を衒っている風でもない)とにかく不思議な構成。ラストはちょっと泣ける。蓮佛美沙子かわいい。

  • 大林監督作品。『その日のまえに』に続いて二作目の鑑賞。
    いい。いいじゃないですか。

    『その日のまえに』でも感じたことだが、監督の願いや祈りがそのままかたまって物語になり、映画になっているという感じがすごくいい。それだけでもう胸がいっぱいです。セリフはところどころ難解で、演出も実験的なものが多いが、そこに確固たるものがこめられているのはわかる。鑑賞後に確かに何かを受け取った感触がある。

    『その日のまえに』に続いて作中の歌が印象に残った。想いを歌に乗せる感じも大林監督っぽくていいなと思う。

  • 大林監督のセルフリメイク作品。前作は未見です。
    前作の雰囲気から飛び出したくなかったのか、昭和テイストな作品に仕上がっています。セピア調、ですね。
    斜めに撮影されているシーンが頻繁に出現します。慣れないと…酔いそう。
    人体入れ替わってから、まずは池に飛び込んでみるという発想がなかったり、よくわからない病魔に侵されたりと、ツッコミたいところもありましたが、発想やキャストが良かったので気にならなくなりました。
    人体が入れ替わったまま死に至る病に落ちたら。考えてみたら恐ろしい話ですね。

  • 前作は観たことなくて、これを初めて観たので違いとかもわからないけれど

    普通にひとつの作品として面白かった

    一美の歌声が、きれいすぎて
    ピアノが弾きたくなる

    アケミと一夫のあごにたらららん(?)とやる秘密の合図みたいなのがとても切ない

    あと、お兄ちゃんがいい味出してた
    夕焼けの中であんな風に生きろ、と言われたら
    生きないわけがない笑


    切ない、切ない
    見終わったあと心に残るのは
    ピアノと"風になる"

  • 作品としては残念ながらイマイチのような気がします。

    リメイク対象になったオリジナル版では小林聡美がセミヌードになっていたので、ちょっと期待していたんだけど、さすがに蓮佛美沙子には、それはなかった。

    残念・・・。

    シリアスなシーンなんですけど、森田直幸くんが羨ましいぞ!と(^^;

    高橋かおりがピアノ運搬業者のチョイ役で出ています。

  • 大林監督のセルフリメイク。
    撮る意味あるの?と思っていたら
    後半になって話がずいぶん変わってくる。

    ただし前作のイメージが強すぎて
    なんか損している感じはする。
    そもそもこのテーマ?というか思いつき?を
    「転校生」という古い皮袋に入れる意味はあったのか?

    理事長の息子なんかの珍妙な演技も浮いているし
    木に竹をついだ、みたいになっている。

    男女入れ替わりということで、
    ヒロインは男の演技、おばさんくさい下着姿でのしのし歩く。
    もって露出が欲しいねぇ。

    前先も見ているのだが、ヒロインに恋人いたっけ?

    舞台は尾道から信州へ変更。
    ちょっとロケ地めぐりをしたくなる。
    ちなみに尾道は行きましたw

    エンドロール見ていたら水中シーンはスタント。
    素人じゃ難しいんだろうか?

    2007年【日】 上映時間:120分
    ( コメディ・ファンタジー・青春もの・リメイク・アイドルもの・小説の映画化)
    [テンコウセイサヨナラアナタ]

    ※評価の順番は「古いの→リメイク」
    みんなのシネマレビュー‥‥‥7.46点 Review77人 →6.15点 (Review 13人)
    映画批評空間(10点に換算)‥7.2→6.2

    2007年【日】 上映時間:120分
    平均点: (点数分布表示)
    ( コメディ・ファンタジー・青春もの・リメイク・アイドルもの・小説の映画化) [テンコウセイサヨナラアナタ]

    hefurere、へふれれ、ヘフレレ、ヘフレレ←自分識別用簡易タグ

  • 解説:

    大林宣彦監督の名作「転校生」を、大林監督自ら装いも新たにリメイクした思春期ファンタジー。

    舞台を信州に移し、ある日突然お互いの心と身体が入れ替わってしまった中学生の男女が、元に戻ろうと悪戦苦闘する姿をコミカルかつ切なく綴る。

    主演は蓮佛美沙子と森田直幸。

    両親の離婚を機に、尾道から母と共にかつて幼少期を過ごした信州の中学校に転校してきた斉藤一夫は、そこで幼なじみの一美と再会する。

    そして、思い出の場所“さびしらの水場”へと向かったふたりは、足を滑らせ水の中に転落、はい上がった時には互いの身体が入れ替わってしまっていた…。

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著者プロフィール

映画作家

「2018年 『大林宣彦 戦争などいらない‐未来を紡ぐ映画を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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