子猫の涙 ラストファイト スペシャル・エディション [DVD]

監督 : 森岡利行 
出演 : 武田真治  藤本七海  広末涼子  紺野まひる  山崎邦正  鈴木砂羽  喜味こいし  唐渡亮  宝生舞  赤井英和 
  • 角川エンタテインメント
3.42
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本棚登録 : 19
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111285300

感想・レビュー・書評

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  • 1968年のメキシコ五輪で銅メダルを獲得した伝説のボクサー、森岡栄治の生涯を描いた作品だ。

    タイトルの印象から、「人畜無害な感じのお涙ちょうだい映画なのかなあ」というイメージを抱いていた(「文化庁支援作品」なんて冠もついているし)。その印象はよいほうに外れた。

    これは、お涙ちょうだい映画でもなければ偉人伝でもない。

    なにしろ、森岡はケンカっ早くて女好き。妻子がありながら美人と見れば即ナンパする「エロオヤジ」であり、網膜剥離のため引退したあとは長い間定職にも就かなかった「ダメオヤジ」なのだ。それでもなお愛すべき人物である森岡を、この映画は長女の視点からあたたかく描き出す。

    監督・脚本の森岡利行は、森岡栄治の甥にあたるのだそうだ。そのことも、この映画のあたたかい雰囲気の源の一つなのだろう。

    ちりばめられたユーモアは名作『どついたるねん』を彷彿とさせ(赤井英和も刑事役で出演)、昭和の風俗がていねいに描かれている点は『ALWAYS 三丁目の夕日』を思わせる。何より、「人情映画」として出色である。

    主演の武田真治がすごくがんばっている。体つきも動きも、ちゃんとボクサーに見えるのだ。これは、彼の代表作になるだろう。
     
    2人目の妻を演じる広末涼子もいいけれど、長女・治子役の藤本七海の好演がひときわ光っている。「アイドルリカちゃんコンテスト」なるものでグランプリを得て芸能界入りした子なのだそうで、ほんとうにお人形みたいな美少女。大きな瞳が愛くるしく、全国のロリオタ諸氏のハートを鷲づかみするにちがいない。

    治子は、父譲りのボクシング技術でいじめっ子男子をKOしてしまうような勝ち気な少女。ダメオヤジに何かと苦労させられながらも、明るくたくましく成長していく。この映画は、森岡の伝記であると同時に、一人の少女の成長物語でもあるのだ。

    すごく図式的に説明してしまうと、『どついたるねん』と『じゃりン子チエ』を足して2で割って、『ALWAYS 三丁目の夕日』の昭和レトロ風味もくわえてみました、という感じの映画なのである。

    心に残るいいシーン、いいセリフも多い。そのうちの一つを引こう。「お父ちゃんの人生、負けてばっかりや」とボヤく治子に、祖父が返すセリフである。
     
    「人生の勝ち負けは他人が決めるもんとちゃう。自分で決めるもんや。自分が負けてへん思たら、負けてへんのや」

    これは、この映画をつらぬくテーマを象徴するセリフでもある。

    それにしても、このタイトルはよくないなあ。
    子猫は序盤にちょっと出てくるだけだし、このタイトルでは映画の中身が少しも伝わらない。
    「子猫と涙がくっつけばもう最強! これで女性客が増えるはずだ」という妙な皮算用でつけたのではなかろうか。

    もっとも、映画の原作となった舞台劇のタイトルが『路地裏の優しい猫』なのだそうで、それをふまえたものなのだけれど……。 

  • 1968年 メキシコオリンピックの銅メダリスト
    森岡栄治の 物語。
    森岡栄治 1946年生まれ 
    アマチュア時代は 138戦128章 72KO。
    日本選手権 4連覇・・・
    2004年 食道がんで永眠 59歳
    監督は 森岡栄治の甥 森岡利行。 2007年作品

    森岡栄治(武田真治)の娘の視点で 語る。
    大阪弁というのはなんと優しい言葉なのだろう。
    ボロクソにいっても 想いがあっていいなぁ。

    娘治子(藤本七海)から見ると 親父は 『エロ親父』。
    自分の半分が、父親のものだとおもうと・・・
    切なく、泣けてくる。

    『人は生まれたときに一生が決まっている。
    人生 なるようにしかならへん』という森岡。
    オリンピックでは 実績を残したが
    プロに転向してからは 十分な実績を残すことができず
    網膜はく離で 引退。
    その後は、高校のコーチや ボクシングジムをしながら・・・
    嫁(紺野まひる)に愛想つかされる。

    そんなところに・・・広末涼子が転がり込んできて
    おかあさん となる。
    治子はそんな母親に 抵抗する。

    サラ金から金を借りて 広末のクラブを開く
    サラ金から追いかけられる・・・
    兄から預かった偽造株券で逮捕されたりする・・・

    治子の『おかえりなさい』という言葉がすがすがしい。
    森岡栄治を演じる武田真治の好演が光る。
    森岡栄治への想いが丁寧に描かれている。
    治子の 表情が 豊か。

    武田真治の身体は、鍛えてあり・・
    脳が筋肉でできている肉体派を演じるとは驚いた。
    ボクサーの役をやるには 身体が鍛えていない限り
    やることはできないので・・
    ボクシングの映画はもっと 魅力的なものができると思う。
    どつきあうことが スポーツに昇華しているので。

    ボクシングをなぜするのか?
    娘の治子が質問した時に
    迷った発言をしたことを 
    治子は そんな父ちゃんが嫌いだ と言い切ったのが
    治子の父親への想いがつたわる。

  • 子役の娘がヨカッただけに、大人になってからがチョット残念....

  • なんと言われようと親子ものはグッときてしまう。
    父親のせいで娘である女の子が虐められるシーンで、それまで気の弱かった男の子が助けに入るんです。自身も虐められていたような気の弱かった男の子が。その男の子を変えたきっかけになったのはダメ親父。でもそんなダメ親父を認めたくない娘。
    広末涼子の「しんどいのはあんただけじゃないんよ」というセリフは、子供が理解するのは難しいかもしれないけど、いつか理解できる年になった時の下味になったと思うし、あれをきっかけに親子になれたのだと思う。

    でも成長して大人になった時の女優さんが、宝生舞だったのはなんだかがっかりした。久しぶりにあった好きだった子が、変わってしまったような感じ。

  • 子役の子が異様にかわいいです。武田真治の体の作りこみっぷりがすごい。あとほーせーさんすごい良い。大人時代は無理があったなぁ笑。

  • メキシコオリンピックで銅メダルという栄光をつかみながら、
    プロでは花開かなかったボクサー「森岡栄治」の
    引退後のダメダメ人生を娘「治子」の視点で描かれた本作品。

    いい映画です。

    素直じゃない、まがった、ゆがんだものかもしれませんが
    愛にあふれた映画です。

    久しぶりに大阪のあほなおっさんを描いた映画でいいものに出会いました。

    ちょっとびっくりしたのが「山崎邦正」
    いい演技してます。
    お笑いより才能あるんじゃないの?
    と、思えるぐらいでした。

  • 制作年:2007年
    監 督:森岡利行
    主 演:武田真治、藤本七海、広末涼子、赤井英和
    時 間:97分
    音 声:日:ドルビーステレオ


    オリンピック後にプロに転向するも、網膜はく離により引退。
    さまざまな職を経てジムを開き、第二の人生のリングでも波乱に満ちた日々を生きた栄治。
    仕事は長く続かず、喧嘩っ早くて女好き。
    そんな愛すべきダメ親父の姿が、正義感あふれるおてんばな娘・治子の視線で綴られている。
    『子猫の涙』はひとりのボクサーの真実の物語であり、父の思いを知り、受け止めることで成長していく少女の物語でもある。

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