ゴッドファーザー PartIII <デジタル・リマスター版> [DVD]

監督 : フランシス・フォード・コッポラ 
出演 : アンディ・ガルシア  ダイアン・キートン  アル・パチーノ  タリア・シャイア  ソフィア・コッポラ 
  • パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2012年3月10日発売)
3.85
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988113823845

感想・レビュー・書評

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  • 業の深さと孤独から最後の最後まで逃れられなかった男の哀しい末路が胸にくる、名作映画三部作の最終章です。

    アメリカでもっとも巨大なマフィア組織の二代目首領でゴッド・ファーザーと称される老境のマイケル・コルレオーネは、非合法ビジネスと決別して合法ビジネスのみで「ファミリー」を守れるようになろうと腐心していました。
    それは、彼の若き日からの宿願でもあり、父ヴィトーとの誓いでもあったのです。
    しかし、彼にもすでに老いの影がさし、持病にも苦しむ身。

    はからずも父の跡を継いだ自身のつらい体験もあったのか、実の息子や娘は「ファミリー」のビジネスから遠ざけていたことと、あるきっかけから、血の気は多いが度胸はある、長兄ソニーの私生児で甥のヴィンセントを後継者候補とすることになります。

    しかし、敵対組織との抗争は、ローマ法王庁内部の陰謀ともからまり合いながら激しさを増していく。
    そしてそれは、結果的に、マイケルがもっとも守りたかったものをもっとも残酷な形で彼の眼前で奪っていき…。

    物語の最後、狂ったように慟哭し、そして、孤独に生を終えるアル・パチーノ演じるマイケルの姿は鮮烈な印象を残します。

    三部作を通して観ると、まだ若き日の、家業に踏み込む前のマイケルの純真さや、「ファミリー」(この言葉には「家族」と「マフィア組織」の二重の意味がある)のために修羅の道に踏み込んでしまってからの苦悩や葛藤、彼が何より愛し守ろうともがき続けて結局は失ってしまったものの重さなどが、頭に次々と浮かんできて、哀しみがどっと胸に押し寄せてきました。

    実に印象的でよくできた作品だと思います。

    ただ、パート1、2の公開から二十年近くが経過していることでコッポラ監督の手法が少なからず変化しているためなのか、もっと別の事情があったのか、パート1、2の魅力の一つであった、哀愁を誘う陰影や空気感、象徴的な演出がほとんど無くなっている点はとても残念でした。

    • nejidonさん
      hotaruさん、感動が伝わってくるとても素敵なレビューです!
      ⅡとⅢを、それはそれは心待ちにしておりました。
      そして、あれこれ懐かしく...
      hotaruさん、感動が伝わってくるとても素敵なレビューです!
      ⅡとⅢを、それはそれは心待ちにしておりました。
      そして、あれこれ懐かしく思い出しながら読ませていただきました。
      このお話の原案は、なんと「カラマゾフの兄弟」なのだそうですよ。
      だからあんなに重厚な作品になったのでしょうね。
      撮影も音楽も脚本も、何より俳優さんたちの演技も、何もかもがトップクラスの作品だと思います。
      (思い出しましたが、カラマゾフの兄弟を初めて読んだ時、登場人物をノートに書きだしながら読みました・笑)
      余談ですが、可憐な花嫁さんだったコニーがⅢでは加害者側になりますよね。
      その時のツールが「カンノーリ」というお菓子ですが、ワタクシたまにあれを作ります。
      この映画の世界に憧れて作るようになりました。
      材料が全部そろわないので代用品だらけですが、それでもかなり美味しいです。
      2017/05/23
    • hotaruさん
      nejidonさん、こんにちは。
      カラマーゾフの兄弟が原案なんですか!?
      全く知りませんでしたが、我ながらなんてグットタイミング…。
      ...
      nejidonさん、こんにちは。
      カラマーゾフの兄弟が原案なんですか!?
      全く知りませんでしたが、我ながらなんてグットタイミング…。
      ヴィトーパパがあまりにもかっこよすぎるためか、全く気がつきませんでした。

      でも、そう聴くと、以前教えていただいた、「キリスト教観念」の意味がなんだか理解できるような気がします。
      マイケルも誰も、悪事や残酷なことに手を染めながらも、特に矛盾を感じるどころか、心の拠り所的に、十字架をきったり、祈ったりしているんですよね。
      あれってそういうことなのかー、と妙に納得しました。彼らの中では、何をしても矛盾なく神を信じてるんだなあ、と。
      いい加減な宗教観の私には、目からウロコでした。

      あの例のお菓子兵器は、カンノーリというのですね…。初めて知りました。しかも調べたらシチリア伝統菓子…。コッポラ監督、狙ってたんでしょうね、きっと。
      ご自身で作るなんて、色々な意味ですごいです!
      私はお菓子づくりは苦手なので、今度手に入るところを探してみます^_^

      カラマーゾフの兄弟の登場人物の書き出しは、試してみたいと思います。そして、今度こそ完読を…。

      色々と教えてくださって、ありがとうございました。
      nejidonさんのおかげで、この映画も、カラマーゾフの兄弟の読書も、もっと楽しくなりました。
      2017/05/23
  • シリーズの集大成。しかし、悲しすぎる。ファミリーを信じて大事にした父と信じきれない息子のマイケル。二人の最後が対照的です。アルパチーノが、シリーズを重ねるごとに演技に深みを増しているのが見事。これこそ大作映画だと思います。

  • 昨日のついでにそのまま

    「ゴッドファーザーPartⅢ」

    これは微妙なんですよね~殺しが多すぎるんですよ。身内の粛清に走っちゃってるんでちょっとどうかな?だったんですけど

    それに内容が…Ⅰ,Ⅱを感動してみた方には物足りなさを感じてしまうのは否めないかと…

    ただ娘が自分の代わりに撃たれて死んでしまうシーンでアル・パチーノ自身が悲しみのあまりにそのまま死んでしまいそうな涙を流したシーンが見れただけで感動でした。

    人はどんな思いをむかえたらあれだけの涙が流せるのでしょうかね?あのシーンばかりは本当に絶句です!あそこだけのために見る価値はありますよ♪

  • 組織の長として、
    家長として、
    そして男としての

    引き際の、
    後継者づくりの難しさ。

    残すものを無くした
    人生の結末の悲哀。

  • えーーーーーーーー。。。。。。。。

    という叫びをひと月以上前にしたことを記録しておく。

    いや、えーーーーーーーーーーー。。。。。。。。。。。。。。。でしょう、よ。。。。

  • マイケルは本当に護りたかったものを護りきれなかった。最終場面の椅子から崩れ落ちる様は、階段で叫んだ時の心の内側にも思えた。

  • 3部作完結。
    なんだか切なかった。マフィアから足洗って合法ビジネスに乗り出そうとするも、泥沼。政治家が腐ってたり、バチカンが腐ってたり。

    必死でなり上がって駆け抜けた人生も、愛する家族がいなけりゃ…と解釈しました。ガルシアもかっけーなー。

  • ヴィンセントは短気で長兄のソニーを彷彿とさせる。ソフィア・コッポラは言われてたほど悪く感じなかった。
    言葉に愛がにじむ、それが歳をとることなのか。心から愛している一方、相手の考えに耳を傾けなくなる。その頑固さは、若い頃にはなかったもの。
    人生の夕暮れに、愛を伝えられる相手がいる事の幸せを。

  • 最後、分かっている内容だつたけど、見直すとやっぱりいい。

  • 継承と衰退が描かれている。

    最後、娘とのダンス、そして元妻とのダンスが走馬灯の様にマイケルの脳裏を過るのだが、彼の人生は幸せだったと言えるのだろうか。娘を銃で撃たれたシーンを直前に出したことから察するに、幸せとは言い難い人生であったのではないだろうか。

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著者プロフィール

これまで六つのアカデミー賞を獲得。代表作として主に『ゴッドファーザー』3部作と『地獄の黙示録』の監督として知られる。1939年、デトロイト州に生まれ、ニューヨーク州クイーンズで育つ。幼少期にポリオ麻痺に感染し、その治療期間に物語を書くこと、そして玩具として与えられた映画投影機に没頭し、映画製作への興味を育んだ。
 ホフストラ大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で演劇と映画を学びつつ、短編小説や戯曲を執筆(コッポラ自身は己のキャリアの発端を「作家」であると見做している)。1970年、『パットン大戦車軍団』の脚本家としてオスカーを受賞、1970年代には『ゴッドファーザー』、『ゴッドファーザー PARTⅡ』、『アメリカン・グラフィティ』、『カンバセーション…盗聴…』、そして『地獄の黙示録』などの作品で監督・脚本・製作を手がけた。その間に、カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを2回、アカデミー賞では計12回のノミネートのうち5回の受賞を果たし、フィルムメイカーとして、その10年間は史上かつていない成功を成し遂げたことは疑い得ない。
 コッポラはまた35年にわたり、ナパ・バレーとソノマ・バレーにてワイナリーを経営し、ワイン生産を手がけていることでも広く知られている。その他のビジネス領域では、中米、アルゼンチン、イタリアでの豪華リゾート経営のほか、受賞実績もある短編小説を中心にした文芸誌『ゾエトロープ:オールストーリー』の発刊を手がけている。現在は、劇場、映画、テレビを組み合わせた「ライブ・シネマ」と呼ばれる新しい形式での芸術に取り組み、この新しいメディウムにおける脚本の執筆を続けている。

「2018年 『フランシス・フォード・コッポラ、映画を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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